月刊バスケットボール6月号

比江島 慎(宇都宮ブレックス) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

比江島 慎 (31) SG 191cm/88kg 宇都宮ブレックス(青山学院大学/福岡県)
キースタッツ(Bリーグ): 14(14) M=23:22 P=12.5 FG%=51.3% 3P%=46.2% FT%=64.6% R=2.4 A=3.6 TO=1.6 S=1.50 B=0.57

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック


B1の2021-22シーズンも、比江島は攻守に存在感を見せ続けている。フィールドゴール成功率と3P成功率はバックコートの12人の中でいずれもトップタイ。ディフェンス面ではブロックショットが同トップであり、スティールも藤井祐眞に次ぐ2番目の数字だ。比江島はまた、今回の代表候補の中でFIBAワールドカップ2019と東京2020オリンピックの両方に出場したプレーヤー2人のうちの一人でもある(もう一人はシェーファーアヴィ幸樹[シーホース三河])。


国内リーグでの実績と豊富な国際経験は、間違いなくトム・ホーバスHCの新チームでも大きな力になりそうだが、何より比江島自身が今回の招集に強い気持ちで臨んでいることが頼もしい。代表合宿中の11月22日に行われたズーム会見で、比江島は「新体制になっても僕を必要としてくれたことが光栄で、本当にうれしいです」と今回の招集への思いを述べた。「覚えることがたくさんあったり、メンバーも入れ替わっている中で、良い意味で切磋琢磨できていますし、フレッシュなメンバーが自分のモティベーションにつながっています」と、語る言葉は力強い。


田中大貴(アルバルク東京)が代表活動からの引退を表明するなど、オリンピック終了後の今回の招集に、同大会で戦ったメンバーの数人が“難色”を示したのは周知のとおりだ。比江島も「燃え尽きないかというところはすごく心配だった」と正直な思いを会見で明かした。しかし代表継続の背景に関する質問に対し、「まだ世界の舞台で1勝もしていない状況で終われない」と、闘志のこもった返答をしている。攻守両面でハイレベルな貢献を期待できるシューティングガードの存在はそれだけでも貴重だが、その魂がこれだけ熱を帯びていることにさらに大きな価値がある。


国内の環境にとどまらず海外挑戦をしたこともある比江島は、バスケットボール・プレーヤーとしての自らの現状にまだまだ伸びしろを感じているように思える。「純粋にトムさんのバスケ、女子を世界2位まで持っていってくれたバスケを経験してみたかった」とも話していたが、それも世界で勝てる、活躍できるという自信と、自分の成長に向けた意欲の表れではないだろうか。

 

東京2020オリンピックの日本代表は海外組3人を軸としていたが、3試合すべてに出場した比江島はその3人に続くチーム4位の平均7.7得点。フィールドゴール成功率47.6%、3P成功率も33.3%で力になっていた(写真/©fiba.basketball)


3Pショットを重視しながら、速い展開でポゼッションを増やしていこうというホーバスHCのバスケットボールには、実際やりがいを感じているという。オフボール・オンボールの全員が連動し、頭を使うオフェンスは、「習得するのには時間がかかるかもしれない」とも話しつつ、自らの持ち味であるドライブを生かしやすいシステムとも感じているようだ。インサイドに広いスペースが空くファイブアウトやフォーアウトのエントリーをベースとするシステムで、「ドライブをどう生かしていくかはまだ模索中」とのことだが、3Pショットも見せながら自分らしさを出していくことに意欲的だった。


ベテランとしての豊富な経験とスキル、そして熱烈な思いを持って今回の合宿に臨んだ比江島の言葉には、これまで以上にバスケットボールを楽しんでいるような明るさがある。ライバルたちにとってはこの上なく手ごわい存在に違いない。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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