月刊バスケットボール5月号

古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

古川孝敏(34) SF 190cm/92kg 秋田ノーザンハピネッツ(東海大学/兵庫県)

キースタッツ(Bリーグ): G=14(13) M=24:47 P=10.9 FG%=41.5% 3P%=42.2% FT%=93.3% R=1.6 A=1.3 TO=1.3 S=0.43 B=0.07
G=出場試合数(先発回数) MIN=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック

 

 トム・ホーバスHCは11月19日のズーム会見で、今回の候補24人にはシューターのスペシャリストがおらず、さまざまなことができる人材が多いと話し、その例外的な人材が古川であることを明かしていた。今シーズンのB1におけるスタッツで、古川の平均得点は今回招集されたフロントラインのプレーヤー12人の中で2番目に高く、3P成功率に関しても40%を越えている5人のうちの一人だ。数値としてその5人の中で突出してはいないものの、合宿の初期段階ではタッチの良さを示していただろうことを、ホーバスHCのコメントは感じさせる。


そうした見方を後押しするように、古川は11月22日に行われたズーム会見で、合宿中も新たなプレースタイルの中でシューティングに自信を持ってプレーできていると話した。「直接シューターと言っていただいている中、自分としては思い切ってシュートを打っていけます…。このバスケットの中で、どんどんチャンスがあれば狙っていきたいと思っています」


加えて代表入りへの意欲も非常に高い。古川はFIBAワールドカップ2019のアジア地区予選の日本代表に名を連ねたが、本大会での最終ロスター入りを逃している。東京2020オリンピックでも事前の合宿に呼ばれながら本番での機会には届かなかった。上記の会見で古川は、「こうして代表になれるチャンスをもらえたのがうれしいです。若い頃、ずっと昔から代表でトップとして戦うのは一つの夢でした」と招集されたことへの喜びを語っている。


東京2020オリンピックまでの過程では、オリンピック出場への強い意欲の一方で、スポット争いにおける自分の立ち位置が厳しいことも自覚していたそうだ。それだけに本番を複雑な心境で見ていたという。「何としてでもやりたいなと思ってやっていましたが、結果として一員としてコートに立つことができなかったのが悔しいという思いでした。夢だったので…。悔しい思いとともに試合も全部見ていました。すごいなという部分もありましたし、もちろんみんなの応援もしていましたが、やっぱりここで一緒に戦いたいという思で、何とも言えない気持ちでした」


現在34歳。今回の24人の中では竹内公輔(宇都宮ブレックス)に次ぐ年長プレーヤーだ。ベテランらしく気持ちを切り替え、今回の合宿には悔しさを意欲に転換して臨んでいる。「自分の中で何かをあきらめたわけではなかったです。さらに自分の向上心、常に上を目指していきたいという思いがある中で、できることを最大限コートで発していこうと意識してやってきました」


何とかして…。何としても…。古川はこの会見の短い時間に何度かこの言葉を使った。古川が決めてくる。古川が止めてくれる。そうした瞬間をホーバスHCも期待しているのではないだろうか。

 

今夏の悔しさを胸に、古川は夢の代表織を目指している(©JBA)

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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