月刊バスケットボール5月号

マシュー・アキノ(信州ブレイブウォリアーズ) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

マシュー・アキノ (25) C 205/100 信州ブレイブウォリアーズ(ナショナル大学/フィリピン)
キースタッツ(Bリーグ): G=1(0) M=2:27 P=2.0 FG%=100.0% 3P%=0.0% FT%=0.0% R=2.0 A=0.0 TO=1.0 S=0.00 B=0.00

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック


フィリピンのセミプロリーグでプレーした後、今シーズンから信州ブレイブウォリアーズに加わったアキノは、生まれはフィリピンだが日本国籍を持っている。母方の祖母が日本人だというアキノは、フィリピンのスポーツ情報サイト『TEIBREAKER TIMES』によれば、大学時代から日本を訪れる経験をしてきたという。


日本国籍を持つアキノは、実力を認められさえすれば帰化申請の必要なく日本代表入りが可能な立場。しかし、今回の招集がわかった当初は、それまでフィリピンでの代表入りを念頭に置いていた(ただし、FIBAワールドカップ2023がフィリピンで開催されることを知らなかった)こともあり、受けるべきか躊躇があったそうだ。最終的には、プロバスケットボール・プレーヤーだった父親マーロウにも相談して、今回の招集を受ける決心をした。


そんな心の葛藤を経て臨んだ今回の代表合宿中に行われたズーム会見で、アキノは「このチームの一員になれたことをとても光栄に思います」と心境を語っている。「毎日コーチ陣やチームメイトからいろいろなことを学んでいます。こんな機会をもらえて、光栄で恵まれていると感じます。一所懸命頑張ってどの試合でもどの練習でもみんなのために貢献したいです」


フィリピンの人々はこの決断に驚いているそうで、アキノは「正直なところ、みんなびっくりした様子でした。僕に日本の血が流れていたとは知らなかったからですね」と話して笑顔を見せた。「公表した後の最初の週にインタビューなどもあって、日本人だったことが知られるようになったんです」との話を聞くと、前述のフィリピンのメディアもそのインタビューを行ったうちの一つのようだ。合宿の様子も報じられていく過程で、フィリピンの人々の驚きは応援へと変わってきていることも感じている。「ずっと応援してくれて、全力を尽くしてきなさいと背中を押し続けてくれています。誇りに感じてくれていると思いますよ」とアキノは会見で話してくれた。


身長205cmのアキノは、今回招集された24人の中で竹内公輔(宇都宮ブレックス、206cm)、シェーファー アヴィ幸樹(シーホース三河、206cm)に続いて3番目に長身だ。登録はセンターだが、プレースタイルとしてはオーソドックスなタイプではなく現代的なストレッチビッグとしての柔軟性を持っている。今回の招集もあり、まだBリーグで1試合しかプレーしていないが、今後頭角を見せてくるだろう。Bリーグでも、今後の代表活動でも注目する価値のある人材だ。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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