月刊バスケットボール6月号

寺嶋 良(広島ドラゴンフライズ) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

寺嶋 良 (24) PG 179/77 広島ドラゴンフライズ(東海大学/東京都)
キースタッツ(Bリーグ): G=14(14) M=26:50 P=12.0 FG%=45.8% 3P%=46.2% FT%=73.7% R=2.4 A=3.8 TO=1.6 S=1.00 B=0.07
G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック


今シーズンのB1序盤戦で広島が好調な滑り出しに成功した大きな要因の一つが、寺嶋の得点力とプレーメイクだった。「広島に移籍して、自分の長所が生きて試合に勝つということが自信につながっています」というのが、寺嶋自身による今シーズンのパフォーマンス評。自信に満ちたプレーはさらに良い結果につながり、今回トム・ホーバスHCが新たに編成する男子日本代表合宿に、候補の一人として参加する機会が巡ってきた。

 

「日本代表候補選手として選出されたことをうれしく思います。多くのことを学び、成長して戻って来られるように頑張ってきます。応援よろしくお願いいたします!」。寺嶋はチーム広報を通じて広島のブースターに向け招集への喜びをこう明かしている。


この知らせを受け、ミニバス時代の恩師からはその当日に激励の電話が入ったという。「家族からも、チャンスなので後悔のないようにしっかり頑張ってきなさいと声をかけてもらいました」と、寺嶋は明るく話してくれた。ブースターも近しい人びとも、寺嶋の肩を押している。


寺嶋は9月に父親の急逝という悲しみに直面した。10月2日に行われた今シーズンの開幕戦(寺嶋の広島における初戦)を見るため、東京から広島にやってくる直前のことだった。その開幕戦でレバンガ北海道に勝利した後、寺嶋は「開幕戦の試合に来るはずだったので絶対に勝つと約束して戻ってきたので、勝ててよかった」と話すとともに、2桁得点、3アシストを今シーズンの目標数値として挙げていた。


人生における難しいときを乗り切ろうしている寺嶋に、近しい人びとからの期待がこもった言葉は力になっていることだろう。今シーズンの成績が、それを物語っている。


例えば平均12.0得点は昨シーズンの平均8.1得点から、3P成功率46.2%は同31.3%からのジャンプアップ。アシストも得点と並んで「公約」どおりの平均3.8本だ。冒頭でも触れたとおり、代表招集は著しい成長を示すこの成績がもたらした結果だ。「今まで日本代表にはかすりもしてこなかったので、こういった機会をいただいてうれしいです。日本代表になるというのは夢の一つでもあるので、チャンスをつかみきれたらいいなと思っています」と寺嶋は意欲を語る。

 

 必要なのは、普段の実力を示すことだろう。「リーグを通して、持ち味であるスピードや得点力が通用して成績を残せていることを踏まえて日本代表候補に呼んでいただいているので、それを候補の練習でも、もし選んでいただけたら試合でも発揮できたらいいなと思います」

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



PICK UP