月刊バスケットボール5月号

ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

ベンドラメ礼生 (28) PG 183cm/83kg サンロッカーズ渋谷(東海大学/福岡県) 東京オリンピック出場
キースタッツ(Bリーグ): G=14(11) M=22:14 P=11.0 FG%=43.1% 3P%=30.9% FT%=73.8% R=3.3 A=4.2 TO=2.5 S=1.29 B=0.07

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック

 

 東京2020オリンピックの経験についてベンドラメは、「不完全燃焼で終わっちゃった」と心のままの表現で振り返った。あの経験がどんなところで自分の糧になっているのか、「パッと出てこない、それぐらいの印象」。本音だろう。


晴れの舞台に出場はした。しかしその時間は2試合でわずか2分。最後のアルゼンチン代表との試合は「DNPCD」の5文字で表される不出場(Did Not Play – Coach’s Decision)という終わり方だった。試合にインパクトをもたらすことなく幕を閉じた母国開催の特別なオリンピック。「選手として参加できたというのは、何が良かったと言葉に言い表すことができないですけど、僕の中ですごく大きいことだったんじゃないかなとは思います」と前向きに付け加えたものの、振り返れば悔しさだけがこみあげてくるような体験だっただろうことが感じられる。


今回の代表招集は、闘志をくすぶらせたままのベンドラメに燃え尽きるまで戦う機会をもたらす招集だ。ただし再びそれは勝ち取らなければならない。ゴールは2年先にある。


ベンドラメは今回の24人の代表候補の中で、ガードであるにもかかわらず、最もリバウンドの強さを感じさせるがプレーヤーの一人だ。今シーズンのBリーグにおけるスタッツで話せば、バックコートの12人の中で平均3リバウンドを超えているのはベンドラメだけであり、ことオフェンス・リバウンドに限って言えば、総数の合計21本は24人中トップの数字だ。プレーメイカーとしての能力を買われて招集されていることは間違いないが、其れとは別に、ポイントガードの候補6人の中で最長身という特徴が形で表れた結果なのかもしれない。


トム・ホーバスHC指揮下の日本代表におけるポイントガードのポジション争いで、サイズのアドバンテージはほとんどない。そう感じているのはベンドラメだけではなく、6人の司令塔の中で2番目に長身の寺嶋 良(広島ドラゴンフライズ、179cm)も「まったくありません」と苦笑いで話していた。ただしベンドラメは、「ディフェンス面で体を張って相手のインサイドで貢献できるためには、身長が高い方がいいのかなというのもある」と、身長を長所として活かせる部分にも言及している。50-50のルーズボールや比較的身長の低いプレーヤー同士の競い合いになることも多いロングリバウンドで実際にそれが生きてくることを、ベンドラメの平均3.3リバウンドは示しているのかもしれない。


ホーバスHCが重視している速い展開のバスケットは、自身のアグレッシブさをしっかり表現できるスタイルで好きだという。その中で役割として、「純粋なポイントガードというよりは、2番ポジションで出ることもあるかもしれないから」と言われているそうだ。今回のチームでは、誰もがオープンになれば3Pショットを狙い、ペイントにアタックしていく積極性と、そこで決めきり、あるいはクリエイトできる実力が大前提。ベンドラメ自身が司令塔となる時間帯に加えて、もう一枚のより小柄なプレーメイカーとともにツーガードで攻め、そういったフィニッシャータイプとしての特徴をさらに生かす役割が加わる起用法なら、実戦の舞台がかなう場合には東京2020オリンピックのときとは異なるボリュームの貢献を期待できるだろう。


6月にFIBAアジアカップ2021予選で中国代表と対戦した際や、東京2020本番前のエキジビションでは、短い出場時間でもフィジカルなプレッシャーディフェンスで相手のバックコートを苦しめ、流れを変える得点を奪う、あるいはおぜん立てするシーンがあった。攻守両面での気持ちの入った献身に期待がかかる。

 

FIBAアジアカップ2021予選でのベンドラメ(右は竹内公輔[宇都宮ブレックス])(写真/©fiba.basketball)

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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