月刊バスケットボール6月号

シェーファー アヴィ幸樹(シーホース三河) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

シェーファー アヴィ幸樹 (23) PF 206cm/106kg シーホース三河(ジョージア工科大学/兵庫県) FIBAワールドカップ2019出場 東京2020オリンピック出場
キースタッツ(Bリーグ): G=14(14) M=27:28 P=6.9 FG%=44.4% 3P%=31.6% FT%=54.5% R=5.9 A=1.4 TO=1.0 S=0.43 B=0.71

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック

 

 シェーファーは比江島 慎(宇都宮ブレックス)とともに、今回の代表候補24人中でFIBAワールドカップ2019と東京2020オリンピックの2つの舞台を踏んだプレーヤーだ。この2つの大会のどちらにも出場したのは、日本ではこの2人のほかには八村 塁(NBAワシントン・ウィザーズ)、馬場雄大(Gリーグ、テキサス・レジェンズ)、渡邊雄太(NBAトロント・ラプターズ)の海外組3人しかいない。


その意味では経験が豊富なベテランとも言えそうだが、シェーファーはまだまだ伸び盛りであり、キャリアのピークを迎えるのは何年も先だろう。オリンピックを終えた後、日本代表候補の顔ぶれが大きく変わるとともに、世代交代に向かう雰囲気も感じられる状況にもなったが、シェーファーに関しては、それは当てはまらない。代表候補への招集を受け、「自分自身はまだ結果を出している気がしないので、次のステージに入るところで呼んでもらえて、チームでアピールできるというのはうれしく、楽しみです」とこれからの進化に貪欲な姿勢を見せている。


ワールドカップでもオリンピックでも、主軸が海外組の3人だったのは歴然たる事実であり、シェーファーは平均出場時間も10分に満たない。もっともっとできるという思いが強いはずだ。B1開幕前に話を聞く機会があった際、シェーファーは今シーズンのベストファイブ入りを目指していることを明かしていた。


昨シーズンからは、サイズを生かしたゴール近辺でのプレーに加えてアウトサイドからのショットにも積極的にチャレンジするなど、プレーの幅を急速に広げている。代表での活躍やBリーグでのハイレベルなパフォーマンスをできるだけのポテンシャルは十分感じさせてきた。高い目標を掲げる心の持ちようには、海外組の存在というよりは、NCAAディビジョンIの強豪であるジョージア工科大学でのプレー歴など、これまでにNBAプレーヤーが身近な環境にいたことが影響しているという。「今まで僕が見てきたNBAの選手から見習うべき点はマインドセットや考え方ですね。スキルや身体能力は練習でしかどうにもならないので、それはもうとにかくやり続けるしかありません。そういうことに対する取り組みだったり、自分に自信を持ったりとか、一つ一つの練習や試合に対する取り組み方、自分の立場を理解してどういう行動をするかなどの考え方が違うなと。そういうところは見習って、大事にしています」


高い意欲を持っている点では、トム・ホーバスHCとも共通している。その指揮の下でのプレーも、さらなる飛躍のばねになるにちがいない。ホーバスHCは日英バイリンガルだが、シェーファーは「トムさんとは、直接話すときには英語でしゃべっていますけど、周りに人がいたりみんなでしゃべるときは日本語」なのだという。ホーバスHCにとってより自然な言語でのコミュニケーションが可能なことで、戦術の理解はもちろん、元NBAプレーヤーだった指揮官からあらたなインスピレーションを得ることも多くなるだろう。

 

 シェーファーは今年6月のFIBAアジアカップ2021予選で中国代表と対戦している。その経験がどれだけ選考に影響しているかはわからないが、実際プラスに働く部分があることは間違いないだろう。活躍を期待できる要素の多い人材だ。

 

FIBAアジアカップ2021予選でのシェーファー(写真/©fiba.asiacup2021)

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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