月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2019】名門対決となった洛南vs.福岡大附大濠。ビッグゲームを制した大濠がメインコートへ!

「本当の強さがなければこの先(ベスト8以上)へは勝ち上がれない」。試合後に洛南の吉田コーチが語ったこの言葉がスッと胸に刺さるような一戦だった。男子3回戦で今年初の全国お披露目となった洛南と福岡大附大濠が激突。伝統校同士の、しかも久しぶりの全国の舞台での直接対決とあって、好ゲームが予想された。

 

 そんな周囲の予想どおり、試合は序盤から取ったら取り返す、守ったら守り返すという一進一退の攻防。洛南が#5星川、#8淺野、#9小川を起点に持ち味の“パス&ラン”を駆使して得点すれば、大濠は#14横地、開志国際戦で大活躍した#13岩下が前日同様にアグレッシブなオフェンスを仕掛け、前半を終えて互いに30点ずつを積み上げる全くの互角の展開となった。

 

(大濠は洛南が見せた隙を一気に攻め込んだ)

 

 10分間のハーフタイムを挟んだ3Q。ここで試合が動く。「大濠はディフェンスが良いチームなので裏を突いたプレーの指示を出したのですが、それが機能せずにみんながストレスを抱えてしまった。それでオフェンスとディフェンスの動きが悪くなってボールが止まってしまいました」と吉田コーチ。前半のようにパスが回らなくなり、オフェンスが停滞。その隙を見逃さなかった大濠に逆にブレイクを出された。2年生が主体の洛南に対して、経験値で勝る大濠が一気攻め立てた結果だ。2年生ながら22得点を挙げて洛南を引っ張った#9小川も「みんながバラバラの方向を向いてしまった」と吉田コーチ同様に3Qを悔いた。

 

 一度悪くなってしまったリズムを取り戻すことはできず、洛南は4Qにも横地、#8木林らにリズムよく得点を許してしまう。それでも食い下がり、何度も1桁点差に詰め寄るが、その度に突き放される苦しい展開が続いた。そして残り1分40秒に#4西田(公)が試合を決定付ける3Pシュート。最終スコア75-60で試合終了のブザーが鳴った。2年前にも同じ3回戦、同じBコートで涙をのんだ洛南は、またしてもベスト16。

 

(星川にとっては、この大濠戦が洛南でのラストゲームに)

 

 2年前の冬を知る#5星川は「3年間、早かったなって思います。吉田先生が(終盤にベンチに下がるときに)ハイタッチをしてくれました。普段はあまりやらないんですけど。お疲れ様って感じで」と終盤のベンチでの出来事を明かしてくれた。

 

 注目された洛南vs.大濠は大舞台での強さを示すための一戦となり、勝利した大濠は2回戦の開志国際に続いてビッグゲームをモノにしたことによる自信を、敗れた洛南も敗戦の中から先につながる大きな経験を得た。吉田コーチの言う「本当の強さ」を示した大濠は、洛南の選手の思いも背負ってメインコートでの戦いに挑む。

 

(月刊バスケットボール)



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