月刊バスケットボール6月号

【ウインターカップ2019】"心を籠めて"市船橋のモットーを渾身のプレーで表現する樋口陸

 市船橋が2回戦、中部大第一に88-82で勝利した。#4永野、#5楊、#7和田らは目立った数字を残して活躍したが、市船橋には欠かすことができないプレーヤーがいる。#6樋口だ。

 

 とにかく、よく動き、手数も多い。174㎝ながら自分よりも20㎝大きい相手にも怯むことなく、気迫あるディフェンスを見せる。そんな市船橋の伝統とも言える魂の籠もったアグレッシブなプレーがチームを勢い付ける。

 

 

 初戦の広島皆実戦では、エース#8三谷(191㎝)をフェイスガード。得点はされたが、三谷を起点とする流れは十分に断ち切った。それが市船橋に勝利を引き寄せたのである。

 

 樋口は試合後、「三谷選手は広島皆実の絶対的エース。彼を少しでも困らせて相手リズムにならないようにフェイスガードしていました。アグレッシブなプレーでチームも盛り上げ、全体の雰囲気が良くなるように心掛けています」と、自分の役割を全うしただけだと淡々と話す。

 

 そして2回戦も先日同様、立ち上がりから市船橋の猛攻。その陰には樋口のディフェンスがあった。終盤に試合はもつれて接戦になったが、残り4分、4反則でベンチに下がっていた樋口を79-73の場面で投入。すぐにリバウンドからのルーズボールを得ると、得意の超高速ボール運びからアシストを見事に決め、市船橋を生き返らせた。

 

「樋口は自分のストロングポイントをよく理解し、毎日誰よりも早く来てサイズを補う体と気持ちを作ってきました。その地道な努力の結果だと思っています」と、斉藤コーチも樋口に信頼を寄せる。

 

 市船橋の部旗にある"心を籠めて"—―樋口は正に、それを体現した渾身のプレーを見せた。それは数字に現れないが、チームの躍進には欠かすことのできないものなのだ。

 

(月刊バスケットボール)



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