月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.04.12

ウィザーズ、ウエストの強豪サンズに屈す – 八村 塁は6得点、7リバウンド

 ウエストコーストへの遠征に出ているワシントン・ウィザーズが日本時間4月11日(アメリカ時間10日)にフェニックス・サンズと対戦した。ウィザーズはウエスタンカンファレンス2位のサンズ相手に特に前半健闘。55-57の2点差で食らいついて後半を迎えたが、第3Qの開始4分間に4-21と圧倒され、その後挽回できず106-134で敗れた。
ウィザーズは前日の対ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で勝利のヒーローとなったブラッドリー・ビールと、シューターのダービス・ベルターンスが欠場していたことが大きく響いたと言えるだろう。ラッセル・ウエストブルックが17得点、11リバウンド、14アシストで直近16試合中12度目となるトリプルダブルを記録してチームをけん引したが、ビール不在の中で八村へのディフェンスは前日よりも厳しく、試合を通じてフィールドゴールを7本しか打たせてもらえなかった。それでも最初のディフェンス・リバウンドを奪うなど動きは悪くなく、最終的には6得点に加えリバウンドを7本奪う奮闘を見せた。

 


サンズはエースのデビン・ブッカーが27得点したほか、今シーズン加わったクリス・ポールが13得点に10アシストのダブルダブルを記録して勝利に貢献した。
ポールは過去にも移籍先でたびたび好影響をもたらしてきたが、今回のサンズ入りもその例に漏れない。昨シーズンのサンズは34勝39敗(勝率46.6%)でプレーオフ進出を逃したチームだったが、今シーズンはこの試合を終えた時点で37勝15敗(勝率71.2%)。これは冒頭で触れた通りウエスタンカンファレンスの2位であるだけでなく、リーグ全体でも2位にあたる成績だ。
試合後の会見に姿を見せた控えポイントガードのジェボン・カーターに、ポールからどんなことを学んでいるのかを尋ねると、「細部に気を配ることですね。オフェンスの些細なこととか」とのこと。さらに「それと、一歩先を読むこと。サイドラインの外から見ていると、オフェンスでの彼の動きは昨年まで見ることのできなかった類いのもので、それを生で見せてもらっています。オフェンスでの細かなことなんですけどね」と説明してくれた。カーター自身による英文の回答は以下のような流れだった。
“Just paying attention to the details, like the small things in our offense and just being one step ahead. Watching him, sitting over the sideline, watching how he moves with our offense and seeing things I didn’t see last year that he’s bringing to light this year. So it’s just a little stuff like that on the offensive end.”

 

ポールから学びながら成長中のカーターは2018-19シーズンにメンフィス・グリズリーズで渡邊雄太とチームメイトだったポイントガード(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)


この日カーターはシーズンハイの14得点を記録。若手の成長を感じさせる活躍で、好調なチームにもう一つポジティブな光をもたらした。
成績と欠場者の状況からすれば、サンズは序盤からペースをつかんでいてもおかしくなかったのかもしれない。にもかかわらずウィザーズが食い下がれた要因として、ウエストブルックや八村の存在に加えてこの日24得点を挙げたハウル・ネトや、リバウンドやルーズボールで精力的な働きを見せたダニエル・ギャフォードらの活躍を見逃すことはできない。控えプレーヤーたちに気迫の面で負けていたことを感じ取ったモンティ・ウィリアムスHCは、ハーフタイムに「そういった状態で必要と思われる話をした」とコメントしている。それに敏感に反応して修正できるのが、今シーズンのサンズの強さでもあるのだろう。

 

この日の27得点はゲームハイの数字であり、エースらしい仕事ぶりだった(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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