その他の海外

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2021/03/14

ジェフ・ウォルツが語る今野紀花 - ルイビル大女子バスケットボールチームヘッドコーチインタビュー(1)

日本時間の2月24日、ルイビル大女子バスケットボールチームのヘッドコーチを務めるジェフ・ウォルツ氏にインタビューすることができた。アメリカ現地の東部時間で23日の朝だったが、2日前にフロリダ州大に手痛い黒星を喫し今シーズンの通算成績を20勝2敗とした時点でのことだった。その1敗が影響して、毎週発表されるAP通信社の全米トップ25ランキングが前週までの3位から6位へと下降したことが知らされた翌日であったが、ウォルツHCは明るい表情で質問に応じてくれた。

 

元気な笑顔でインタビューに応じてくれたウォルツHC

 

――今野紀花選手をどのような形で知ることになったのですか?
ウォルツ ノリカを最初に見たのは、ビデオを通してでした。映像をメールで送ってくれた人がいて、彼女がプレーする試合をいくつか見ることができたのです。とても印象に残ったのですが、その後連絡を取ることができるようになり、スカイプをはじめとしたツールで彼女と話すようになりました。

 

――今野選手のどんなところに引かれたのでしょうか。
ウォルツ 負けん気の強いところが気に入りました。彼女は負けず嫌いですよね。一生懸命だし、ショットがうまい。プルアップ・ジャンプショットが素晴らしく、バスケットボールIQが非常に高いですし、コート上で賢いプレーをします。彼女が私たちのところに来てくれて本当にうれしく思っています。

 

――ご覧になったのは高校生の大会でしょうか。
ウォルツ 高校の試合をいくつかと、3x3の試合も見ました。日本代表での試合も見ましたよ。

 

――日本のバスケットボール全体についてどのような印象を持たれていますか?
ウォルツ とても良い印象を持ちました。私は幸運にもアメリカのU19代表チームのコーチとして日本を訪れたことがあり、スクリメージや親善試合を日本のU19代表とやらせてもらったことがあるんですよ。楽しい体験でした。確か2017年だったかと思いますが、U24チームのコーチとして4ヵ国対抗戦に参加するために日本に行きました。オーストラリア、カナダ、日本、そしてアメリカが参加していた大会です。2017年の8月ですね。

 

――今野選手がいる間に日本にいらっしゃるようなお考えはありますか?
ウォルツ 実は昨年の夏に日本に行きたいと考えていたんですよ。コロナが広がる前のことですが。オリンピックに合わせて日本に飛んで、メダルがかかった試合を見てから親善試合のツアーをできたらいいなと思っていました。コロナのためにできなくなりましたが、来年か再来年にできたらいいなと思っています。

 

 ウォルツHCはルイビル大女子バスケットボールあチームを率いて今シーズンで14シーズン目。その間、今シーズンのACCトーナメントを終えた時点までの成績は以下のようなものだ。

 

☆ジェフ・ウォルツHC率いるルイビル大の成績(今シーズンのACCトーナメント終了時点)
通算成績 382勝107敗(勝率78.1%)
ACCでの成績
レギュラーシーズン 優勝4回(現在4連覇中)
ACCトーナメント 優勝1回(2018)
NCAAトーナメント
出場 11回 ※昨年は大会自体中止であり、出場を逃したのは1度だけ
ファイナルフォー進出3回(2009, 2013, 2018) ※2009年、2013年は準優勝
エリートエイト進出5回 ※うち3回は上記ファイナルフォー以上に進出
スウィートシックスティーン進出9回 ※うち5回は上記エリートエイト以上に進出

 

 ウォルツHCはインタビューで本人が話している通り、USAバスケットボールのスタッフとしても活動しており、輝かしい足跡を残している。
 U19アメリカ代表のヘッドコーチとして臨んだ2019FIBA U19ワールドカップでは、チームを7勝0敗の完勝で世界チャンピオンに導いた。この功績からウォルツHCは、同年のUSAバスケットボール最優秀コーチ賞を受賞している(同大会で男子子代表を率い優勝したカンザス州大のブルース・ウィーバー氏と同時受賞)。その前段階の2018FIBAアメリカU18チャンピオンシップでも、U18アメリカ代表に金メダル(この時も6勝0敗の完全優勝)をもたらした。

 

2019FIBA U19ワールドカップでのウォルツHC。ちなみに右は現在コネチカット大の主力として活躍しているバックナー・ペイジ(写真/©FIBA.BASKETBALL)


 またアシスタントとして臨んだ2014年から2015年にかけてのU18、U19アメリカ代表でも、FIBAワールドカップ優勝に貢献していた。
 今野は日本代表として上記の2019FIBA U19ワールドカップに出場。ルイビル大に加わる直前の時期におけるこの大会で7試合に出場し、平均8.3得点、3.7リバウンド、1.9アシストという数字を残している。チームは決勝トーナメントの準々決勝でハンガリーに敗れたが、この試合に勝っていればウォルツHC率いるアメリカとの“直接対戦”がかなうという状況だった(7・8位決定戦でマリに敗れ最終順位は8位)。
 その機会こそ実現しなかったものの、身長179cmでシューティングだけでなくボールハンドリング能力も高い今野のプレーぶりを、ウォルツHCはこの時も確認したことだろう。ベテランのバスケットボール・ジャーナリストの青木 崇氏の記事によれば、この大会の時点でウォルツHCが今野の能力に確信を持っていたことが明らかだ。

 

2019FIBA U19ワールドカップには今野も日本代表として出場していた(写真/©FIBA.BASKETBALL)


 アメリカ時間3月3日から7日まで行われたACCトーナメントでルイビル大は決勝に進出し、今野は大会期間中ルイビル大がプレーした3試合すべてに出場、平均5.3得点、フィールドゴール成功率77.8%(9本中7本成功)、3P成功率50.0%(4本中2本成功)と好調。特に準決勝の対シラキュース大戦では11分間の出場で10得点。しかもフィールドゴール成功率80%(4/5)3P成功率も60%(2/3)という効率的な貢献をもたらした。終了間際に逆転を許してノースキャロライナ州大に56-58で敗れた決勝では、今野はその終了間際の時間帯を含む20分間コートに立ち、フィールドゴール・アテンプト2本をいずれも成功させ4得点を記録した。今シーズンの大事な時期に突入して、ウォルツHCが今野に対する信頼をさらに厚くしていることがうかがえる出来事だ。
 昨年はコロナ禍で開催中止となったNCAAトーナメントは、今年はアメリカ時間の3月21日(日)からテキサス州サンアントニオを舞台としたバブルで開催される予定。何事もなければ、今野にもその舞台での出場機会が巡ってきそうだ。最終的な大会出場チームの顔ぶれとシードは、アメリカ時間3月15日(月=日本時間16日の火曜日)に発表となる。

 

アイキャッチ画像/UofL Athletics

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール) 

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