バスケットボール男子 U19日本代表 - 世界の高さに臨むヒントはプエルトリコのスタイル?

平均身長193cmのプエルトリコが善戦した前回大会

 

 今回メンバーに選出された30人の平均身長は189.8cm、平均体重は77.6kgとなっている。7月3日(土)から11日(日)までの8日間にわたりラトビアで開催されるFIBA U19バスケットボールワールドカップ2021で戦う上では小柄なロスター構成となりそうだ。というのも、前回大会の参加16チームのロスターを見ると平均身長が195cmに満たないチームが2チームしかなく、すべてのチームに身長200cm以上のビッグマンが3人以上登録されていたからだ。同大会公式サイトで各チームのロスターを確認できるが、そこには以下のようなデータが残されている。


前回大会出場16チームの平均身長と200cm以上のプレーヤーの人数 ※カッコ内は大会成績
アメリカ(優勝) 200cm 7人
マリ(準優勝) 195cm 7人
フランス(3位) 195cm 5人
リトアニア(4位) 198cm 6人
ロシア(5位) 200cm 7人
プエルトリコ(6位) 193cm 3人
セルビア(7位) 201cm 7人
カナダ(8位) 198cm 5人
オーストラリア(9位) 198cm 5人
ギリシャ(10位) 200cm 7人
アルゼンチン(11位) 196cm 5人
ラトビア(12位) 196cm 5人
ニュージーランド(13位) 196cm 5人
フィリピン(14位) 193cm 4人
セネガル(15位) 201cm 8人
中国(16位) 197cm 7人

 

 もちろん今回の出場チームにそのままあてはまるものではないが、多くの場面で200cm以上のプレーヤーがコート上に2人から3人、もしくはそれ以上出てくることが考えられる。今回の出場16チームは、アフリカ大陸代表のマリとセネガル以外は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で予選を行うことができていないが、昨年唯一行われたFIBA U18アフリカ選手権での登録を見ても、優勝したマリが平均身長197cmで200cm以上が5人以上、準優勝のセネガルは同203cm、9人となっていた。
対する日本の合宿メンバーで身長が200cmあるのは木林のみであり、サイズの差を克服するかが上位進出の大きなカギとみて間違いないだろう。簡単なことではないが、平均で5cmから10cm高さ(およびそれに伴う一歩の大きさ、手を挙げたときの広さ)のある相手に対し、勝機を見出す布陣、戦術、戦略を見出すことは不可能ではないはずだ。ただデカければよいというものではないことを、前回大会のプエルトリコがある程度実証している。

 

前回大会の5-8位決定戦ではプエルトリコはカナダに勝利した(左#7ジェルメン・ミランダ・ぺレス、右はカナダ#9ジョシュア・プリモ)


プエルトリコは前回大会で平均身長が最も低く、200cm以上のプレーヤーの人数も最も少なかったが、16チーム中6位と健闘した。簡単に言えば、ロングレンジのシューティングやトランジションの速さが目を引いたチームだった。それが十分に生かされるために重要な、安定感のあるクイックパスを次々と展開する技術と判断力、オフボールも含めた個々の局面における力強く賢い1対1、ハングリーに競い続けるディフェンスとリバウンドなどの要素が伴っており、見ごたえのあるバスケットボールを展開していた。大会を通じての成績は2勝5敗だが、平均身長が200cmあったロシア相手に74-77で敗れた5-6位決定戦を含め、5敗のうち3試合は5点差以内の接戦だった。
大会まではあと約3ヵ月半。特別指定でBリーグを経験したプレーヤーも含まれたメンバーからどんなロスターが作られ、本番で日本代表がどんなプレーを見せるか注目だ。

 

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文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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