月刊バスケットボール6月号

東京2020パラリンピック車いすバスケットボール情報

 8月24日(火)から9月5日(日)まで開催される第16回夏季パラリンピック競技大会。車いすバスケットボール競技に関しては、有明アリーナ(東京都江東区)、と武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)を舞台に、8月25日(水)から大会最終日の9月5日(日)まで熱戦が繰り広げられる。

 

 1960年に開催された第1回パラリンピック(ローマ大会)から行われている車いすバスケットボールは、第二次世界大戦後に下肢を負傷した兵士の社会復帰を助ける目的で、1945年頃からアメリカで発展を遂げたとされている。パラリンピックの父とも言われ、同時期にこの競技と似た「車いすネットボール」と呼ばれる競技を考案したルートヴィヒ・グットマン博士(Dr. Guttman, Ludwig)が提唱した、国際ストーク・マンデビル競技会(脊椎損傷者だけによるスポーツ競技会)にアメリカ代表が出場したことがきっかけとなり、その後広く世界に普及した。

 

 日本代表は過去に、女子が1984年(ニューヨーク・エイルズベリー大会=初出場)と2000年(シドニー大会)に銅メダルを獲得している。男子の最高成績は7位。前回2016年のリオ大会は男子のみ出場権を獲得し、最終順位は9位だった。今大会は男子代表が1976年のトロント大会から12大会連続出場となり、女子は2008年の北京大会以来3大会ぶりの出場となる。

 

 東京2020パラリンピックでは、男子12チーム、女子10チームが出場して開催され、日本は男女代表とも開催国枠で出場する。男子は6チームずつ、女子は5チームずつ2つのグループ(グループA・B)に分かれて、8月30日(月)まで総当たりのグループラウンドを行い、翌31日(火)からは、各グループの上位4チームずつでは決勝トーナメント。9位以下は、各グループの同順位チーム(グループA・Bの5位同士、6位同士)が対戦し、順位を決する。

 

 車いすバスケットボールと車いすを使わないバスケットボールの大きな違いは2点ある。一つはもちろん、全競技者が車いすを操縦してプレーすること。もう一つ大きく異なる点は、身体能力によりパラアスリートのクラス分けがあることだ。各パラアスリートが身体能力の低い方から順に、1.0点から4.5点まで0.5点刻みの8クラスに分けられている。

 

 コート上で同時にプレーできるのはその合計が14.0点以下の組み合わせ。したがって、例えば身体能力の高い4.5のパラアスリートを同時に5人コートに送り込むことはできない(その場合22.5点になってしまう)。このルールに基づき、それぞれがいかに個々の技術を発揮し、チームワークで攻守を展開するか、またベンチがいかに効果的な起用方法を実践できるかが、勝負を分ける大きな要素となる。

 

 このほか、ドリブルはいったんやめても再開が許される点、またボールを持ってホイールを3度以上こぐとトラベリングのバイオレーションとなる点など、細かな点の違いは存在している。しかし、スクリーンを生かしたハーフコートゲームやスピーディーな速攻が有効であることなど戦術面でも車いすを使わないバスケットボールと多くが共通しており、また車いす同士が激しくぶつかり合う激しい戦いぶりは非常に見ごたえがある。

 

☆男子出場12チーム

アフリカ: アルジェリア
アメリカ: アメリカ、カナダ、コロンビア
アジア: オーストラリア、韓国、イラン、日本
ヨーロッパ: イギリス、スペイン、トルコ、ドイツ

 

グループA: カナダ、コロンビア、日本、韓国、スペイン、トルコ

グループB: アルジェリア、オーストラリア、ドイツ、イギリス、イラン、アメリカ

 

女子出場10チーム

アフリカ: アルジェリア
アメリカ: カナダ、アメリカ
アジア: オーストラリア、中国、日本

ヨーロッパ: ドイツ、イギリス、オランダ、スペイン

 

グループA: オーストラリア、カナダ、ドイツ、イギリス、日本

グループB: アルジェリア、中国、オランダ、スペイン、アメリカ


東京2020パラリンピックにおける試合日程は、以下の東京2020パラリンピック公式サイトで確認できる。また、東京2020パラリンピックのテレビ放送はNHKが行う。車いすバスケットボールに関してもNHK公式サイトを随時確認してほしい。

 

☆東京2020パラリンピック公式サイト内車いすバスケットボール紹介ページ
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/paralympics/sports/wheelchair-basketball/

 

☆NHK公式サイト内東京2020パラリンピック情報ページ
https://sports.nhk.or.jp/paralympic/

 

☆男女日本代表紹介(月バスドットコム)

https://www.basketball-zine.com/20210617_wcb_mw


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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