月刊バスケットボール5月号

日本代表

2021.08.28

車いすバスケ男子日本代表、ライバル韓国代表破って2連勝

 東京2020パラリンピックの車いすバスケットボール3日目、8月27日の有明アリーナにおける5試合の最後に行われた日本代表対韓国代表の一戦は、同じ東アジアの隣国同士によるライバル対決。日本代表は得点源の藤本怜央(持ち点4.5)を中心に序盤から良い流れをつかみ、59-52で今大会2勝目を手にした。


8月27日第5試合 予選ラウンドグループA(有明アリーナ)
日本(2勝)59-52韓国(3敗)
日本 59(14 17 16 12)
韓国 52(09 12 15 16)

 

 この試合で日本代表は、序盤から藤本にボールを集めてオフェンスを展開した。藤本は最初のオフェンスで、ローポインターの鳥海連志(2.5)と川原 凜(1.5)のセットアップからミドルショットを沈めると、一人で8連続得点してチームをけん引。すると第1Q後半には秋田 啓(3.5)が6連続得点でそれに続き、日本代表は第1Qを14-9と5点リードして終えた。

 

 第2Qに入っても勢いが止まらない藤本が、再びクォーター開始から8連続得点と爆発する一方、日本代表は韓国代表を開始から3分間無得点に封じ、22-9とリードを拡大。その後、キム サンギョル(4.0)の連続得点などで韓国代表の追撃を許したものの、藤本に代わってコートに入った香西宏昭(3.5)が最初のショットで初得点を決め、古沢拓也(3.0)が香西のアシストで川原のスクリーン背後からミドルショットで加点。さらにはここまでセットアッパーとなっていた川原が、ゴール下で古沢のパスを受けファウルを誘いながらゴールを奪い、3Pプレーを成功させる。クォーターの締めくくりには鳥海がスティールから香西の速攻をおぜん立てし、得点を30点台に乗せるとともに31-21と2桁リードで前半を終えた。

 

 前半の日本代表は、藤本と秋田が得点面で軸となる活躍を見せただけではなく、コートに出てくるそれぞれのプレーヤーがアグレッシブさを前面に出してプレーしていた。韓国代表側にも同じことが言えるが、得点の場面はもちろん、そうではない場面でも好プレーが山ほどあった。

 

 秋田の最初の得点は、鳥海が右ウイングからカットしながら藤本からのパスを受け、コンテストに来る相手の手をきわどくかわすフローターがこぼれたところをフォローしたものだった。また、古沢が前半残り1分あたりに見せた速攻もみごとの一言。最後のフィニッシュが惜しくも外れたが、鳥海からのルックアウェイ・パスを受けてフロントコートに進む際の、ディフェンダーを一瞬にしてかわすボディーコントロールとチェアワークは、いわゆる“ヘジテーション・ムーブ”と言えばよいだろうか。いったん相手の左に行くかと見せかけ、そこから体重を右に寄せてディフェンダーの逆サイドを突き、今度は左のホイール1本に全体重をかけてグンと加速。一気に駆け抜けブレークアウェイの状況を生み出した。見ごたえのある瞬間の積み重ねは、ライバル対決に向けた全員の集中力と闘志を表しているようだった。

 

 後半に入っても好調の波に乗る日本代表は、第3Q終盤に最年少20歳の赤石竜我(2.5)が2連続ゴールを成功させ、47-36とクォーター開始時のリードをさらに1点広げ第4Qに突入。15点差がついた後の終盤約3分間にターンオーバーが多くなったものの、勝負を脅かすような危うさはなく、最終的には59-52の7点差で前日に続く連勝となった。

 

 ミドルレンジのタッチが良かった藤本はこの試合で、チョ スンヒュン(4.0)と並ぶゲームハイ・タイの21得点。フィールドゴールは14本中10本成功(2Pショットは11本中9本)という高確率だった。藤本に次ぐ得点源となった秋田は17得点に11リバウンドのダブルダブル。鳥海は4得点、4リバウンドに加え10アシスト、4スティール、1ブロックとオールラウンドな貢献ぶりだった。ローポインターの豊島 英(2.0)は、±がゲームハイの+17。川原も豊島に次ぎ、秋田と並んで+13だった。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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