月刊バスケットボール5月号
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東藤なな子
SG/174 cm
トヨタ紡織 サンシャインラビッツ[/caption]

 

[東京2020 女子日本代表の横顔]

開花し信頼を勝ち取った期待の最年少プレーヤー

 

「調子の波もないし、20歳とは思えない」

 トム・ホーバスHCがそう評するのは、チーム最年少でオリンピック代表の座をつかんだ東藤だ。

 昨年、A代表の候補に初めて選出されたばかり。そのときはオリンピック予選に出場する最終ロスターには残らなかったが、東京五輪の開催時期が延期されたこともあり、その後の1年半で指揮官の信頼を勝ち取って見事夢の舞台に立つことになった。

 さかのぼれば、リオオリンピックが開催された2016年、東藤は札幌山の手高の1年生。ほぼ同時期に行われたインターハイでルーキーながら全国3位入賞に貢献していた。当時の取材、東藤は憧れの選手として同校出身の本川紗奈生(デンソー アイリス)の名を挙げている。その本川も出場したリオオリンピックを、東藤は地元のパブリックビューイングで食い入るように観戦。先輩たちの活躍を目の当たりにしたことが、日本代表、そしてオリンピックへの強烈な憧れにつながった。

 ただ、全国3位で幸先のいいスタートを切ったはずの高校3年間は、決して順風満帆ではなかった。特に最上級生として迎えたラストイヤーは、夏のインターハイが接戦で敗れてベスト16敗退、冬のウインターカップに至っては不出場。というのもU18日本代表としてU18アジア選手権に出場していた東藤は、同時期に行われたウインターカップ道予選に出られず、エース不在の札幌山の手高が敗れてやむなく引退となったのだ。

 高校時代はそこまで日の目を見なかった東藤だが、卒業後、トヨタ紡織サンシャインラビッツに加入すると状況が一転。1年目から得点源の一翼を担い、高いレベルで揉まれながらその実力を開花させた。その際、変わらぬ目標としてあったのは「東京オリンピックの日本代表に入ること」。常に“世界での戦い”を意識することが、飛躍的な成長につながったのだ。

 東藤のプレースタイルについて、ホーバスHCが高く評価しているのは体の強さを生かしたタフなディフェンスやリバウンド。駆け引きのうまいクレバーさも備えており、東京五輪では相手の2番ポジションを徹底マークする役目を担うと見られる。また、オフェンスでは豪快なドライブが武器。課題だった3Pシュートも積極的に狙いながら確率を向上中で、若手らしい思い切りの良いプレーでチームを勢い付けるだろう。

「『オリンピック選手になる、東京オリンピックに出る』という夢をずっと追い掛けてきて、こうしてチャンスをつかみ取ることができ本当にうれしいです」と喜びをコメントした東藤。「大舞台に立てることに感謝しつつ、バスケを楽しむことを忘れずに自分の力を最大限出せるよう準備していきたいです」と意気込んでいる。

(中村麻衣子/月刊バスケットボール)



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