月刊バスケットボール6月号
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田中 大貴
PG/192 cm
アルバルク東京[/caption]

 

[東京2020 男子日本代表の横顔]

192cmの大型ガードが世界の強豪国を相手に戦う

 

 母体チームのアルバルク東京ではームの中心プレーヤーとしてシューティングガードを担うが、日本代表ではポイントガードも任される田中。

 192cmながらオールラウンドなプレーで、2018年にはBリーグのチャンピオンシップMVPにも輝くなど、“日本の顔”とも言って良い活躍を見せている。ボールをシェアし、ポイントガード以外のプレーヤーもボールスクリーン(ピック&ロール)を主体とした攻撃を得意とするA東京で存在感があるだけに、日本代表でポイントガードとして起用されてもハーフコートオフェンスでは余すところなく力を発揮している。

 東京オリンピック世界最終予選(OQT)を勝ちぬいたスロベニアが同じブロックに入ったが、初出場の原動力になったのが201cmのポイントガードのルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)だ。世界基準でポイントガードが190cmや200cmを超えることは珍しいことではないが、日本ではなかなか現れない。そこで白羽の矢が立ったのがオールラウンダーの田中だった。

 田中はチームの司令塔としてゲームメイクするようになったのは、日本代表に入ってからと、日がまだ浅い。自分の得点だけでなくゲームを、プレーをメイクすることは簡単ではないが、持ち味のオールラウンダーとしてのきゅう覚があるだけに吸収も早い。

「2019年のワールドカップでも経験が生きている」と田中自身が言うように、試合を重ねるごとにステップアップしていることがうかがえる。これまでのメンバーに加えて、NBAで経験を積んだ八村塁や渡邊雄太、オーストラリアで奮闘した馬場雄大らが交流したときにどのようなプレーを見せるのかが見どころだ。

 6月に開催されたアジアカップ予選(対中国、チャイニーズ・タイペイ戦)や国際強化試合(対イラン戦)ではポイントガードとして安定した力を発揮。自らも積極的に得点し、アシストなどで周囲のプレーヤーの良さも引き出している。また、ペリメータープレーヤーである渡邊もリバウンドからそのままボールキャリーできる能力もあり、全ポゼッションで田中がフロントコートにボールを持ち込む必要がないのは心強いだろう。

 田中は2016年リオオリンピックに向けたOQTではメンバーから外れた苦い経験があり、全てをこなせるオールラウンダーにとっては最大の屈辱だったことだろう。あれから5年、その屈辱を晴らすときがやってきた。日本代表が世界の強豪国を相手にどのようなゲーム運びを見せるのかはビッグガードの田中次第と言っても過言ではない。

(山本達人/月刊バスケットボール)



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