月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.04.08

八村 塁(ウィザーズ)は非常に才能豊かなプレーヤー - スティーブ・クリフォードHC(マジック)、日本時間4.8対戦前会見で語る

ウィザーズとの試合前会見で、クリフォードHCは八村のプレーぶりを高く評価していた(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます。この部分は2分13秒あたりから始まり、3分ちょうど過ぎあたりで終了します)

 

 日本時間4月8日朝ティップオフを迎えるオーランド・マジック対ワシントン・ウィザーズの一戦を前に、マジックのスティーブ・クロフォードHCが会見に応じた。この会見時点では八村 塁の出場は明確になっていなかったが、今シーズンのウィザーズにとって大きな存在であることは今や明らか。そこでクロフォードHCに、八村のプレーについての印象を聞いてみた。ちなみに、続いて行われたスコット・ブルックスHCの会見で、この日八村が戦列復帰することが明かされている。
クロフォードHCの評価は非常に高かった「彼は今夜の出場がquestionable(疑わしい)となっていますね。私は彼を非常に才能豊かなプレーヤーだと思っています」とクリフォードHCは切り出した。「我々のリーグにきて最初の2年間、彼は大きな故障に見舞われその影響を受けてしまっていますが、実際にプレーする機会を得られた時には非常に良いプレーをしてきました。大きいし頭脳的だし、我々のリーグで昨今重要視されている、複数ポジションのディフェンスをできるという点もいいですね。そして何より、私に言わせれば、その成長を助けるサポートのシステムがあります。それも豊かな才能あってのことですね」。

 クリフォードHCは八村本人に加え、ウィザーズのチームとしての若手育成環境についての好印象を持っているようだ。スコット・ブルックスHC以下のコーチ陣の能力、そしてラッセル・ウエストブルックやブラッドリー・ビールらベテランが良い影響を若手に与えていることが見て取れるのだろう。クリフォードHC本人による英文での回答は以下のような流れだった。
He’s questionable tonight, you know. I think he’s a very talented player you know. For his first two years in our league, he’s really had significant injury issues that had slowed him down. But when he had that chances to play, he’s played very well. You know he’s got good size. He has good basketball IQ. You know he can guard two positions I think which is important in our league now. And I ‘d say the biggest thing is you know just for him to get helped…, so he can continue his development. But he’s certainly a talented player.

 

八村はこの日のマジック戦で3試合ぶりにコートに戻ってくる

 

 この日の対戦を前にして、17勝32敗のウィザーズがイースタンカンファレンス12位であるのに対し、17勝33敗のマジックはわずか0.5ゲーム差の13位で追いかける立場。どちらもレギュラーシーズン・ゲームを20試合以上残し、プレーオフへの望みが残っている。マジックはトレードデッドライン直前の動きでそれまでインサイドの主軸を務めていたニコラ・ブチェビッチ(現シカゴ・ブルズ)を手放しており、シーズン前半とは異なる状況になっている。
八村関連の質問と別に、コロナウイルスの影響についても聞いてみた。ウィザーズの成績にはその影響が色濃く反映されてしまっているが、オーランドはどうなのか。過日ユタ・ジャズのクイン・スナイダーHCが、ウォークスルーなどのチーム活動の重要事項を、コート上ではなくホテルの宴会場でやらなければならないことを明かしていたが、クリフォードHCはマジックも遠征では同じことをしていると話してくれた。「ホテルで検査を受け、外出しなくてよいようになっているんです。朝起きたらだいたい11時くらいからでしょうか、ウォークスルーをやって、午後は試合会場に向かいます。我々も同じですし、正直なところ、グループごとに分かれて全員が検査を受ける体制が敷かれている中では、(練習のために)アリーナに行くのはほとんど不可能だと思います。できるチームもあるのでしょうけれど、取りまとめるのが非常に難しいというのが私の意見です」とのことだ。
このやり取りの英文回答は以下のとおりだった(上の写真からのリンク先映像で1分ちょうど過ぎあたりから八村の話題に入る前まで続きます)
“We do the same things on the road. You know we get tested in the hotel so that the guys don’t have to leave the hotel. You know we get up in the morning and we usually have, like a mid-morning, like eleven o’clock walk through and then we go to the arena there afternoon to play the game so… We do the same thing, plus to be honest with the way the testing is set up, because you know it has to be taken to get to another groups so that we can make sure everybody is tested, it’s almost impossible to go to the arena. Some teams do it. But it’s very difficult to coordinate in my opinion.”
こうした状況をクリフォードHCは言い訳にはしていない。どれだけのインパクトがあったかはわからないが、チーム状況への影響がないとも思えない。
負けが先行している両チームだが、前述のとおりプレーオフへの望みが現実的に残っている。八村がウィザーズのスターターとしてコートに戻ってくるこの日、彼自身がどんなプレーを見せるか、マジック側がどんな対応をしてくるか。クリフォードHCの上記のような称賛は、それだけ危険な存在として八村を捉えている証しでもあり、見ごたえのある展開を期待できそうだ。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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