月刊バスケットボール5月号

馬瓜 ステファニー

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馬瓜 ステファニー
F/182cm/トヨタ自動車アンテロープス
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[東京2020 3x3 女子日本代表の横顔]

助っ人として始まった3x3競技人生
輝く足跡を残し、今さらに大きな一歩

 

 ガーナ出身の両親のもと、愛知県で生まれ育った馬瓜ステファニー。日本国籍を取得し、地元の名門・桜花学園高でバスケットボールの技術を磨く。キャプテンとしてチームを引っ張った3年時には見事にその大役を果たし、同校を2年ぶりの高校三冠(インターハイ、国体少年の部、ウインターカップ優勝)に導いている。同年にはU18アジア選手権で日本代表キャプテンを務めチームは準優勝と、若くして数々の経験を積み重ねてきた。

 卒業後の2017年にはトヨタ自動車に入社し、国内最高峰Wリーグの世界へ。3つ上の姉・エブリンもアイシンから移籍したことで、姉妹はチームメイトとなった。長身と優れた身体能力を生かしたインサイドの攻撃を持ち味とするステファニーは、さらに、外角のシュートやドライブなどスピードあるプレーも身に付けたことで、2年目の2018年には女子日本代表候補に選出されるまでになった。

 3x3をプレーするきっかけとなったのは、その2018年のアジア競技大会。3x3の代表メンバーにケガ人が出たため、5人制代表からステファニーが急遽、助っ人としてメンバーに加わることとなったのだ。初めての3人制にもかかわらず、5人制で磨いてきたスキルは見事に生かされ、同大会で日本の銀メダル獲得に貢献、同年はさらにFIBA3x3 U23ワールドカップで準優勝の成績を収めた。そして、翌2019年には同大会で優勝を果たし日本バスケットボール史上初めての世界チャンピオンとなるなど、ステファニーは短時間のうちに日本の3x3の顔となる実績を築いていった。

 今回のオリンピックは、厳しい予選を勝ち抜いての出場権獲得だった。「たくさんの方から『おめでとう!』という言葉をいただいて、すごくうれしかったです。でも、まだ“出場権”にすぎません。個人的な課題は、ディフェンス面と2Pシュートの確率を上げること、ドライブの合わせなどたくさんあります。チーム全員で勝つためにも、自分自身のレベルをもっと上げていきたい」と気を引き締めている。そして、『日本らしいバスケットをして、必ず金メダルを獲りたい』と目標を高く掲げている。

 競技としても新しく、今回の東京オリンピックから正式種目となった3x3だが、ステファニーが考えるその魅力とは? 「試合時間はわずか10分。その中で攻防が目まぐるしく入れ替わっていく展開を楽しんでほしい。DJや音楽による演出も加わって、見ていても本当に気持ちが高ぶってきます。今回、声を出しての応援はできないかもしれませんが、手拍子などで見てくださる方も一緒になってノッてもらえたら嬉しい」。

 助っ人として3x3の競技人生が始まった馬瓜ステファニー。しかし、託された役割に真摯に向き合うその姿勢は、日本のバスケットボールの歴史に輝く足跡を残し、今、さらに大きな一歩を踏み出そうとしている。

(村山純一/月刊バスケットボール)



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