月刊バスケットボール5月号
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篠崎 澪
G/167cm/富士通 レッドウェーブ
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[東京2020 3x3 女子日本代表の横顔]

5年越しの思いを込め、高い得点力と
無尽蔵のスタミナでメダルを目指す

 

 スピーディーな展開と激しいフィジカルバトルが繰り広げられる3x3。多くの選手が5人制との大きな違いとして挙げる部分だ。篠崎澪にとって、この点は自身のプレースタイルよくマッチしていると言えるだろう。もともとは5人制が主戦場で、現在も国内トップリーグであるWリーグの強豪、富士通の中心選手として活躍を続けている彼女は、ドライブからアウトサイドまでどこからでも得点できるスコアラー。それでいて、無尽蔵のスタミナを武器にコートを駆け回り、フィジカルなディフェンスで相手を翻弄する点も魅力の一つだ。

 神奈川県出身の篠崎は2人の姉の影響でバスケットを始めると、小学3年生の頃にWリーグ入りを志すように。トップリーグ入りを実現すべく県内屈指の強豪校である金沢総合高に進学し、名将・星澤純一コーチの指導のもと、チームをインターハイベスト4に導く大活躍を見せた。

 卒業後は当時関東1部に所属していた松蔭大に進学。高卒でのWリーグ入りこそならなかったものの、大学での4年間でユニバーシアードに3度選出されるなどカレッジ界屈指の有力選手に成長。4年時にはインカレ決勝で39得点を奪う圧倒的な得点力を見せつけて、優勝の立て役者となった。

 そして、念願のWリーグ入りを成し遂げてから7年。リーグの強豪であり続ける富士通のアップテンポなバスケットを体現する一人として、欠かせない存在となった。得点力、フィジカルの強さ、スタミナ…サイズこそ大きくないものの、3x3を始める前から彼女にはそれに必要なスキルセットが備わっていたように感じられる。

 そんな篠崎が3x3に出会ったのは2019年の春。それまでは競技未経験だった彼女だが、「せっかくの合宿招集なのだからやれるところまでやってみよう」と、この世界に飛び込んだ。競技を続ける中でだんだんと5人制とは異なるバスケットに順応し、国際大会へ出場する機会も増えた。「5人制とは違うストリートバスケのような雰囲気、観客との距離感や速い展開のバスケットが自分のプレースタイルにも合っていると感じました」と、未知の世界だった3x3という競技が、新たな自分を発見するきっかけとなっていたのである。

 そして迎えた東京オリンピック本番。篠崎にとってオリンピックは5年越しの思いを晴らす場所でもある。2016年のリオデジャネイロオリンピックで日本代表がベスト8入りを果たしたことは記憶に新しいが、前年の2015年、リオへの切符をつかんだアジアカップのメンバーには篠崎の名があった。しかし、最後の最後で選考落ちしオリンピアンになる夢は叶わなかったのだ。

「私が競技を続けていく中で、今後、東京でオリンピックが開催されることはないと思います。オリンピックには絶対に出たい。とにかくその思いが一番強い」という彼女の並々ならぬ思いが、3x3女子日本代表に自国開催大会の出場権をもたらしたに違いない。

 今回の代表メンバーの中では最年長ということもあり、篠崎にはプレー内外でチームを引っ張ることが求められるはずだ。

(堀内涼/月刊バスケットボール)



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