高校生

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2021/12/18

U18プレーヤーが最先端施設で「己を知る」ための特別な体力測定

全身持久力測定

 

 11月のとある日、Bリーグに所属するサンロッカーズ渋谷U18のプレーヤーたちがTSRアローズラボで体力測定を行った。体力測定といってもただの測定ではない。最先端の装置を使用した“本格的”体力測定である。

 アローズラボとは、「測定→分析→評価」を柱に基礎体力を見える化することで、競技力や健康の質の向上をサポートする施設。スポーツ科学の専門家が基礎体力を測定し、詳細な分析を行い、その結果から個々の課題を明確にし、競技力や健康の質を高めるためのエビデンスに基づいたアドバイスを提供してくれるのだ。その施設が東京スポーツ・レクリエーション専門学校内(東京都江戸川区西葛西7-13-12)にオープンしている。同校(TSR)ではスポーツトレーナースペシャリスト科(4年制)の学生たちが、実際にこの施設での測定補助を行いながら、最先端のトレーニング理論に触れることができる。国内有数の最先端の設備環境の中で、根性論ではなく科学的に裏付けられたエビデンスをもとにした、競技力や健康の質を向上させることができるトレーナーの育成を目指しているのである。

 

瞬間の速さと、それを繰り返す力を測る

 

 TSRアローズラボでは競技力向上と健康増進において重要な「視力・筋力・持久力・瞬発力・跳躍力」の5 つの基礎体力が測定できる。「これだけの施設を整えているのは、国内では珍しいんです。国公立の専門機関や、一部の大学などの研究機関を除き、民間施設ではここだけでしょう」。そう話してくれたのはアローズジム&ラボ事業を展開する株式会社日本スポーツ科学でスポーツ科学研究員を務める中塚英弥さん(TSRで講師も務める)。今回の測定会の責任者でもある中塚さんは体育学博士の資格を持つスペシャリストである。

 

中塚英弥さん

 

「実際にこうした機器を使用した本格的な測定を利用できるのは、それこそオリンピックを目指すような一握りのトップアスリートに限られます。私たちは老若男女問わず、できるだけ多くの人たちにこうしたサービスを提供したいと考えています。子どもたちの適正を測ることで、可能性を高めたり、よりその競技に適したスキルを伸ばしたりしていくためにも、しっかりとエビデンスのある基礎体力の情報を得ることは大切なことです」と中塚さん。

 サンロッカーズ渋谷U18でアシスタントコーチを務め、U12やU15を含めたユース全体のトレーニングコーチを兼務する師玉祐一さんは、「Bリーグのトップチームですら、ここまでの測定はなかなかできないので、とてもいい機会だと考えお願いすることにしました。一つのクラブでここまでの機材をそろえているところはないと思います」と、測定会に参加した意義を語る。

 

師玉祐一さん

 

「成長期のプレーヤーを預かっていますので、プレーヤーたちの適正や弱点を知り、将来の成長につながるアドバイスができることは、我々にとってもとても有益ですし、プレーヤー自身にとっても大切なことですよね。例えば、我々が感覚的にプレーヤーの弱点に気付き、それを克服するためのトレーニングを勧めたとしても、本人がそれを納得していなければ、ただキツイ練習、嫌いな練習をさせられていると思うでしょう。しかし、こうした計測で数字を見せられれば、プレーヤー自身が納得して、自発的なモチベーションで苦手の克服に取り組めると思います。

 また、測定によって筋力のバランスが分かるので、ケガの予防につながるのではと感じました。できれば定期的に行い、数値がどう向上しているか、変化していくかをチェックしていきたいですね」と今後への期待も大きい。こうした機会を与えられるのもサンロッカーズ渋谷のユースチームならではのアプローチと言えるかもしれない。

 測定会に参加したサンロッカーズ渋谷U18でキャプテンを務める山澤礼音君は「本格的な体力測定とは聞いていましたが、予想以上にハードな測定もありました。ここまでの測定はもちろん初めてのことで、自分の長所や短所が数字として表れるので分かりやすいと思います。オリンピックに出るようなトップアスリートしか体験できないような測定をしてもらえたのは、Bリーグのユースチームだからこそ体験できたことなのだと思いますし、体力的に苦手な部分や、得意な部分が分かったので今後のプレーヤー生活に生かしていきたいと思います」と話してくれた。

 

山澤礼音君

 

長く活躍するアスリートは視力がいい

 今回の測定では「視力・筋力・持久力・瞬発力・跳躍力」の5 つの基礎体力を計測しているが、例えば、バスケットボール選手に求められる瞬発力測定では、スプリントスコア、すなわち速いダッシュを繰り返す能力を測る。結果に応じて、ダッシュのスピードを鍛えるべきか、速度を維持できるようなトレーニングをするべきかを知ることができる。また、跳躍力測定は、数種のジャンプによる測定を行い、脚の反動、腕の反動といったものを評価する。因みに、持久力測定では最大酸素摂取量、VT速度、ランニングエコノミーが測定でき、(詳細は省くが)こうした数値からフルマラソンの予想完走タイムも分かるという。

 大きく5つに分かれる測定項目の中で、中塚さんが注目しているのが「視力=スポーツビジョン」測定だそうだ。動体視力、眼球運動、周辺視、瞬間視、さらに眼と手の協応動作などを測定するもので、ベテランになっても活躍しているアスリートは、このビジョン能力が高い傾向があるという。「他の筋力などと比較して、年をとっても衰えにくい能力です。ベテランになっても活躍しているアスリートを調べると、この能力が高い傾向にあります。若いうちからトレーニングすることで、ビジョン能力は高まりやすいので、意識して取り組むことを勧めています」とその理由を明かしてくれた。

 

さまざまな「視力」を測定する

 

 先の2020東京オリンピックでは、5人制女子バスケットボール、男子車いすバスケットボールにおいて、共に史上初の銀メダルを獲得した。身長の高さが大きく試合の結果を左右すると言われるバスケットボール競技において、スピードや、緻密さ、3Pシュートなど、日本人ならではの特性を生かしきったうえでの快挙だった。一部のトップアスリートだけではなく、より多くの人が、自分の身体能力的な特性・得手不得手知り、生かしていくことで日本のスポーツシーンがより発展し、彩を鮮やかにしていくことは間違いのないことのように思える。「彼(敵)を知り、己を知れば百戦危うからず」とのことわざもあるが、最先端のテクノロジーを活用し、己をよく知ることで、一歩も二歩も敵に先んずることができそうだ。

 

(飯田康二/月刊バスケットボール)

 

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