月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.03.29

八村 塁(ウィザーズ)、「コンニチワ!!」ダンクでピストンズを粉砕

 

 八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)の活躍がいよいよ加速してきている。日本時間3月28日(アメリカ時間27日)にデトロイト・ピストンズを106-92で倒した試合では、ホンダ・ドライブ・オブ・ザ・ゲームに輝く豪快なドライビング・ダンクを含む14得点、6リバウンド、1スティール。しかもブラッドリー・ビールが第3Qに故障でロッカールームに下がり、ピストンズの急激な追い上げに合って79-75の僅差で迎えた第4Qに8得点、2リバウンドでチームを支え、今や“go-to-guy”として頼れる存在であることを証明してみせた。
この試合での八村は最初の第1Q残り4分30秒の初得点から力強さをみせていた。この場面では自らのスティールで奪ったボールをドリブルして2人のディフェンダーの間を突き抜け、速攻でスラムダンクに持ち込んで決めた。冒頭のドライブ・オブ・ザ・ゲームの一撃はアイザイア・スチュワートの頭越しに雄たけびを上げながらぶち込んだ「ポスター・ダンク」。これにはNBAリーグパスの実況陣から、すでに八村のシグニチャーとも言えるフレーズとなった「コンニチワ!!」が飛び出し、もう一人前のスターであるということをリーグの他のプレーヤーたちに知らしめるような一撃だったことを意味する“statement dunk”という表現も飛び出した。
この日の6得点目、第3Q残り9分28秒のハイポストからのターンアラウンド・ジャンパーに対しては、解説のドリュー・グッデンから“Michael-Jordan-ish(マイケル・ジョーダンっぽい)”という最大限の賛辞も飛び出した。
試合後の会見にダルビッシュ有(MLBサンディエゴ・パドレスのピッチャー)のTシャツを着て臨んだ八村は、「2試合悔しい負け方をしたので、今日の試合には最初から気持ちを出し、ディフェンスを頑張ってアグレッシブにプレーしようと話して臨みました(We lost a couple games, tough ones. Today, our mentality from the beginning was “show the emotions”, “play defense” and “just being aggressive”)」と話したが、まさしくその言葉通りの脅威を感じさせるプレーぶり。この八村の活躍に、試合後のスコット・ブルックスも“I love it!”と称賛の言葉を贈り、明るい笑顔を見せていた。
八村は3月21日に、自身が初プロデュースした着物『ブラックサムライDC桜版kimono』を発表するなど、コート上のパフォーマンスだけでなくカルチャー・アイコンとしての存在感も高まってきている。ウィザーズは現在16勝28敗でイースタンカンファレンス13位だが、プレーイン・トーナメント出場権の10位に位置しているシカゴ・ブルズとの3ゲーム差はレギュラーシーズンの残り30試合で捉えられる位置。この日は一時30点差だったリードをほぼ失いかけるという危うさもあったものの、八村自身に試合を預けられるという手ごたえも感じさせているだけに、ポストシーズンに向けてチームをけん引する活躍が期待できそうだ。八村の飛躍は「すごい」、「素晴らしい」と言った形容詞ではもう表現できそうにない。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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