月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.04.27

八村 塁が復帰戦で13得点、終盤のリバウンドでも奮闘 - ウィザーズは接戦を落とす

 

 左ヒザの痛みで4試合を欠場した八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)が、日本時間4月27日(アメリカ時間26日)の対サンアントニオ・スパーズ戦でスターターとして復帰を果たした。この試合はウィザーズがホームとするキャピタルワン・アリーナで行われ、ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイトと題して八村自身からファンに向けたメッセージ映像を公開したり、ジャージーのギブアウェイがあったり、富田浩司駐米日本大使のあいさつがあったりと、さまざまな催しが企画されていた試合。前日、対クリーブランド・キャバリアーズ戦を前にした会見で、スコット・ブルックスHCは八村の復帰について「明日(対スパーズ戦)がダメでも水曜日のレイカーズ戦には間に合ってほしいと思っています」と好感触を話していたが、日本との縁を祝す意味も込められたこの日の試合に間に合うことができた。
試合は残念ながら延長の末に143-146で敗れウィザーズの連勝は8で途絶えたが、八村は13得点、6リバウンドにアシスト、スティール、ブロックもそれぞれ1本ずつ記録。フィールドゴールは7本中5本を成功(3Pショットは1本のみのアテンプトが成功)させており、良好なコンディションで残るレギュラーシーズンの11試合に臨むことができそうだ。
最初の得点機は第1Q1分過ぎという早い段階で到来。ハイポストでラッセル・ウエストブルックのパスを受けデマー・デローザンの頭越しにジャンプショットを放ち、みごとに成功させ復帰後初得点を記録した。このショットは八村が得意としているパターンで、ホーム向けのチャンネルで試合の解説を務めるドリュー・グッデンがたびたび「レイアップショット」とか「オートマティック」などと言い表している「十八番」。それだけ確率の高い、「八村らしい」と言えるプレーで復帰を強く印象付けた。
ウィザーズは八村だけでなく、ブラッドリー・ビールが45得点と爆発的な活躍をするとともに、ウエストブルックが22得点、13リバウンドに14アシストのトリプルダブル。また、アレックス・レン(17得点)、アンソニー・ギル(13得点)、ダービス・ベルターンス(13得点)と合計6人が2ケタ得点を記録した。ビールはこの試合がキャリア通算で28度目の40得点越えで、これはギルバート・アリーナスに並ぶウィザーズのチーム最多タイ記録とのことだ。

 

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しかしスパーズもデローザンの37得点を筆頭にデジョンテ・マレー(25得点)、ケルドン・ジョンソン(21得点)、ルディ・ゲイ(17得点)、パティ・ミルズ(11得点)、ドリュー・ユーバンクス(10得点)、ヤコブ・パートル(10得点)と7人が2ケタ得点。両チームともバランスよくチーム全体からの貢献で得点を重ねる好ゲームだったが、その中で八村は第4Qの終盤から延長にかけてもベンチに下がることなくプレーする機会を得、延長だけで4リバウンドと奮闘した。得点面をビールが請け負って十分対抗できていた流れの中で、大きな意味がある頑張りだった。
ウィザーズはこの試合の結果を受けてシーズン通算成績が27勝34敗となり、イースタンカンファレンス10位。現時点では、プレーオフ進出権をかけて行われるプレーイン・トーナメントに出場できる位置に立っている。ただし、順位の近いシカゴ・ブルズ(同カンファレンス11位)とトロント・ラプターズ(同12位)が同日の試合で勝利してともに26勝35敗と1ゲーム差に追いすがっている。

 ポストシーズンの行方がまだまだわからない状況に加え、チームの最長連勝記録(9)に並ぶチャンスを迎えていたウィザーズとしては、是が非でも勝ちたかったところ。その状況下で八村は、延長の5分間を含め31分41秒間プレーした。今後の飛躍に対する期待の大きさをあらためて再認識させた一戦だったとも言えそうだ。

 

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文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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