月刊バスケットボール6月号

NBA

2020.04.20

【コービー・ブライアント追悼コラム】コービーは、僕らの世代の神様だった

イラストレーターとして修業中のYU氏から、コービー・ブライアントのポートレイトが届きました。実は元月バス編集者ですが、編集よりもアーティストとしての意欲にしたがってその道を生きるYUに、コービーの生き方はインスピレーションとなったようです。

イラスト・文=YU

 

 

 

 1990年生まれの僕らの世代にとって、コービー・ブライアントはバスケットボールの神様だった。

 

 2003年、中学生になってからバスケットボールを始めた僕は、正直なところ、当時はマイケル・ジョーダンのことをあまりよく知らなかった。ジョーダンは引退をするシーズンだったし、動画メディアもまだあまり発達していなかったから、プレーをお見かけする機会も少なかった。

 

 一方で、よく耳にする選手がいた。コービーだ。有名なレイカーズ、そのチームの中心選手として活躍している選手、その程度の知識だったかもしれない。けれども彼のプレーを見て、僕は一気に引きつけられた。そうは言っても、ちょうどそのシーズンあたりから数年間、コービーにとって難しい時間を過ごす訳だが。

 

 否、だからこそ僕は、コービーの事がどんどん好きになっていった。

 

 苦しみながらもがきながら、それでも彼は挫けなかった。

 

 そして2008-09シーズンに、彼はまた頂点へと返り咲いたのだ。

 

 少し話が逸れるけれども、僕は映画や漫画にしても、少しクレイジーで、苦しみながら血だらけになりながら、それでも信念を曲げず突き進む系のキャラクターに惹かれるタチだ(映画の中だといささかおかしな方向へ行きがちだが…)。コービーはまさしくそれに当てはまっていた気がする。

 

 彼はバスケットボール・プレーヤーとして、あるいは一人の人として、常に高みを目指していた。その姿は、アスリートでも何でもない一般人の僕のような人にも、影響を与えてきた。

 

 引退後も、僕はSNSで常に彼を見ていた。

 

 娘のジアナもだ。

 

 僕の周辺のNBAをあまり知らない人にも、自分の事のように話をしていた――コービー・ブライアントっていうすごいプレーヤーがいるんだよ、そしてその娘が、もう彼みたいなプレーをするんだ。

 

 頭の片隅に、というよりはもう完全に僕の思考のちょうど右側にいるような、そんな存在になっていた。

 

 僕は、あの日のことを今でもはっきりと覚えている。スマートフォンの画面に表示された、コービーの写真と1978-2020の文字。

 

 何年にどこが優勝したとか、誰が何点入れたとか、そういう話にはあまり興味がない。そんなことより、アスリートの闘う姿勢やメンタリティの部分に興味がある。

 

 コービーは、「マンバ・メンタリティー」を残してくれた。

 

 OK、コービー。僕もこの先どうなっていくかはわからないけれども、とにかく進んでいこうじゃないか。

 

 極めて個人的な話だけれども、僕の誕生日は8月24日でコービーの背番号と一緒だ。細やかにコービーと繋がれているような気がして、うれしい気持ちになる。

 

 あらためてコービー、あなたは僕ら世代のバスケットボールの神様だったと思うし、それを超越してもいた存在でした。

 

 本当にありがとうございました。

 

 

<作者プロフィール>

著者:YU

元月刊バスケットボール編集者で今は絵描き。ニックスを応援している。作品はInstgram(ut0824)で、また最近ではYouTubeチャンネル『YUの訪問先【YU's Journey】』でイラストのメイキング動画も公開を開始。今回のコービーに関しては、以下のリンクでそのメイキングを閲覧可能!

https://www.youtube.com/channel/UCMzItLndJPcPmywC28AWQJA?view_as=subscriber

 

 

コービー追悼特設ページ『Dear Kobe Bryant』

↑画像をクリックして特設ページへ↑

 

(月刊バスケットボール)



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