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2021/09/23

トロント・ラプターズ、渡邊雄太を含むトレーニングキャンプ・ロスター20人を確定

 トロント・ラプターズは9月21日にあらたに2人のプレーヤーとの契約を発表し、2021-22シーズン開幕前のトレーニングキャンプに参加する20人枠を確定させた。

 

 NBAはレギュラーシーズン中に、ツーウェイ契約2名を含め17人のプレーヤーを保持できる。それがオフシーズンには20名まで拡大され、その中からトレーニングキャンプとプレシーズンゲームを通じて、レギュラーシーズン開幕ロスターを絞り込んでいく。


ラプターズのトレーニングキャンプ・ロスター

 

 ラプターズのキャンプ・ロスターは以下のとおりとなった。記載は氏名(キャンプイン時点での年齢/NBA年数)、ポジション、身長(cm)/体重(kg)、昨シーズンの成績(ルーキーはチーム入り前の情報)だ。


<既存プレーヤー>

OGアヌノビー(24歳/4年) F 201/105 15.9P, 5.5R, 2.2A
ケム・バーチ(29歳/4年) C 206/106 7.2P, 5.8R, 1.3A
クリス・ブーシェイ(28歳/4年) F-C 206/91 13.6P, 6.7R, 1.1A
マラカイ・フリン(23歳/1年) G 185/79 7.5P, 2.5R, 2.9A
パスカル・シアカム(27歳/5年) F 206/104 21.4P, 7.2R, 4.5A
ギャリー・トレントJr.(22歳/3年) G-F 196/95 15.3P, 2.6R, 1.4A
フレッド・バンブリート(27歳/5年) G 185/89 19.6P, 4.2R, 6.3A

<既存プレーヤー中のチーム・オプション>
フレディー・ギレスピー(22歳・1年) F 206/111 5.6P, 4.9R, 0.5A
渡邊雄太(26歳/3年) G-F 206/98 4.4P, 3.2R, 0.8

<新加入プレーヤー>
プレシャス・アチウワ(22歳/1年) F 203/102 5.0P, 3.4R, 0.5A
ダラノ・バントン(21歳/ルーキー) G-F 206/93 2巡目全体46位(ネブラスカ大学)
スコッティ・バーンズ(20歳/ルーキー) F 201/102 1巡目全体4位(フロリダ州立大学)
イザック・ボンガ(21歳/3年) G 203/82 2.0P, 1.7R, 0.6A
サム・デッカー(27歳/4年) F 206/99 6.1P, 3.1R, 1.0A
ゴラン・ドラギッチ(35歳/13年) G 191/8613.4P, 3.4R, 4.4A
スビ・ミハイリュク(24歳/3年) G-F 201/93 8.5P, 2.5R, 1.7A
レジー・ペリー(21歳/1年) F-C 203/113 3.0P, 2.8R, 0.5A
イシュ・ウェインライト(27歳/ルーキー) F 196/113 ドラフト外(ベイラー大学)

<ツーウェイ契約(Gリーグ提携チーム: ラプターズ905)>
ジャスティン・シャンペニー(20歳/ルーキー) G-F 198/93 ドラフト外(ピッツバーグ大学)
デイビッド・ジョンソン(20歳/ルーキー) G 191/92 2巡目47位(ルイビル大学)

 


 昨シーズン中の今年4月にNBA本契約を手にした渡邊雄太だが、その内容は「チーム・オプション」と呼ばれフロントの判断で放出できる条項が含まれており、現時点では2021-22シーズンの立場が完全に保証されていない。それを確定させるには、9月28日(日本時間翌29日)からのトレーニングキャンプと10月4日から始まるプレシーズンゲームで実力を認められ、レギュラーシーズン初日(現地時間10月20日[日本時間翌21日])に開幕ロスター入りを果たす必要がある。


 ラプターズは2021-22シーズン開幕初戦で、ホームのスコシアバンク・アリーナに八村 塁所属のワシントン・ウィザーズを迎え撃つ。渡邊が順調に開幕ロスター入りを果たす場合、この対戦は日本のファンにとっては史上初めて、開幕時点で日本人対決を見られる可能性のあるゴールデン・カードとなる。

 

自信を深め、意欲を強めた東京2020オリンピック


 長身で機動力に富み、3Pショットを40%以上の確率で決める力があり、攻守両面でハッスルし続ける渡邊の力量は、昨シーズン中に広く知られるものとなった。特にリバウンドが課題だったラプターズで、ルーズボールも含めてがむしゃらにボールに食らいつく渡邊は力となっていた。


 相手の3Pショットに対する俊敏なクローズアウトと、そこからの粘り強いディフェンスは、ニック・ナースHCが「当初から素晴らしいとは思っていました。しかし彼は本当に秀でています」と絶賛するレベル。この能力は、ライバルたちと一線を画する技能だと思われる。


 これらの実績や評価にもかかわらず、渡邊の北米メディアにおける評判は、はっきり言えば低くはないが決定的な高さにない。それは現実として受け止めなければならないだろう。NBAでさらなる実績を積まなければ、それだけの評判は得られないものなのだ。しかし、特に東京2020オリンピックを経た後、渡邊の中でそうしたレベルに駆け上がろうという意欲は、周囲が思う以上に強いのではないだろうか。


 渡邊は東京2020オリンピックでキャプテンとして日本代表を、文字通りけん引した。3試合で平均17.7得点、8.0リバウンド、1.0ブロック、1.7スティール。フィールドゴール成功率45.2%、そのうち3P成功率は33.3%だった。3Pショットはアルゼンチン代表との最終戦で4本すべてをミスしたのが数字上は響いている(最初の2試合は11本中5本成功の45.5%)。これらの数字は、渡邊が「世界に通用する」のではなく、すでに世界のトッププレーヤの一人として認識されるべき立場にあることを示している。特に、“3&D”タイプとしての能力に加えてコンタクトを受けながらフィニッシュに持ち込み得点してくる力も見せられた点で、ラプターズのフロントに強くアピールできる活躍だったのではないだろうか。

 

 チームを悲願の1勝に導けず、言い表せないような悔しさを味わったことは、最終戦の最後の2分間を見れば痛いほど伝わってくる。残り50秒、大会における自身最後の得点となったスラムダンクも、その悔しさを自分の心に刻むようなプレーに思えた。ラプターズのキャンプは、その思いをぶっつけて前進できる場所になることだろう。

 

自信をつけたとともに悔しい思いもかみしめた東京2020オリンピックで、渡邊は一回りも二回りも大きくなった(写真/©fiba.basketball)

 

競争相手はボンガ、デッカー、バントン、ウェインライト


 ラプターズのキャンプ・ロスターで、渡邊のライバルになりそうなプレーヤーは誰か。上記の一覧で既存プレーヤー枠に入れた7人はまず動かないと見て、すでに確定しているツーウェイ契約を除くと、8枠に対しプレーヤーが11人いる形になる。


 今夏のドラフト1巡目4位で獲得したスコッティ・バーンズは、チームとしての期待値が言うまでもなく高い。カイル・ラウリーとのトレードで加入したゴラン・ドラギッチはベテランのプレーメーカーで、即戦力となる上トレードの駒としての価値もある。同じトレードで獲得したプレシャス・アチウワは、ケム・バーチとスターティング・センターの座を競う戦力として期待されている。スビ・ミハイリュクは昨シーズン、デトロイト・ピストンズとオクラホマシティ・サンダーでプレーしたが、特に後者では平均10.3得点を記録しており、2022-23シーズンのプレーヤーオプションをつけた2年契約という報道からもチームが高く評価していることがうかがえる。この4人はかなり確定的と思われる。


 となると、残る4つの枠に対し渡邊雄太、フレディー・ギレスピー、サム・デッカー、イザック・ボンガ、イシュ・ウェインライト、ダラノ・バントン、レジー・ペリーの7人が競争する形になる。この中でゴール近辺での活躍が期待されるギレスピーは、渡邊と同じく2021-22シーズンの保証がない契約内容だが、サマーリーグで力を示すことができなかった。また、同様の期待を持ってキャンプに招待されたとみられるペリーは、Exhibit10契約でキャンプ後の立場が保証されていない。腕が長くリバウンドにも強いことから、ギレスピー以上にインサイド・プレゼンスを期待できる存在となるかもしれないが、彼らのどちらかはカットされる公算が強そうだ。アチウワの仕上がりとフィットの具合によっては、そろってカットとなるかもしれない。


 こうした見方から最終的に、柔軟性を特徴とするプレーヤーのグループで渡邊とのし烈な競争を展開しそうなのは、ボンガ、デッカー、バントン、ウェインライトと思われる。ギレスピーとペリーの状況を踏まえると、3-4つの枠をこの5人で競う形だが、渡邊が開幕ロスターに残れる可能性は、昨シーズンまでと東京2020オリンピックでの実績を鑑みると、かなり高いと言えるだろう。しかし、名前や過去の実績よりもコート上のパフォーマンスがモノを言うNBAのトレーニングキャンプ。開幕までは、日本のファンにとっては日々のニュースにドキドキさせられる日々となりそうだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

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