月刊バスケットボール5月号

【近畿インターハイ2015記者の目】泥臭い高校生日本一決定戦?

※インターハイ期間、現地で記者の感じたこと・見たことを編集部ブログでお伝えしていきます。   男子3回戦、能代工対尽誠学園を観戦中、隣に座っていた福岡第一の井手口孝コーチがボソッと呟いた。 「どっちもいいディフェンスをしてるな…」

(やっぱり能代工は泥臭い!⑥斉藤大輔と⑦小室望海)   ともに選手は丸坊主、ディフェンスとルーズボールを信条とし、アメリカに縁のある“ユウタ”を輩出(能代工は田臥勇太【リンク栃木】、尽誠学園は渡邊雄太【ジョージ・ワシントン大】)。 共通点が多い両校の対決を、「泥臭い高校生日本一決定戦」と勝手に命名!   予想どおり、序盤から熱苦しい?ディフェンスゲームになった。ルーズボールに飛び込むたびに汗で濡れる床、体のぶつかり合いがすさまじいリバウンドを争い…。 結果的に最後まで走り抜き、96点を積み上げた能代工が勝利したが、やはりディフェンスとルーズボールから主導権を握った。 ゾーンディフェンスを敷いたため、オフェンスリバウンドこそ尽誠学園に与えてしまったが、能代工で最も泥臭い男・⑥斉藤大輔が鬼のような形相でオフェンスリバウンドを奪取。加えて長い手足を生かし、④盛實海翔がこちらはさらりとリバウンドを奪っていった。 ディフェンスでも⑦小室望海、盛實がルーズボールを最後まで追い続け、チャンスを次々と生み出したことが勝因に。 「気持ちで負けたら能代工ではないと思います。そこは負けないようにリバウンド・ルーズボールに集中しました」と盛實。必勝不敗を掲げるチームは、昨年のウインターカップから徐々に“らしさ”が見られるようになってきた。   一方の尽誠学園も、ローテーションの早いディフェンスで対抗したが、「1対1の能力が高かったです」と⑤小谷健太が言うように、能代工のエース・小室のドライブを止められず、ディフェンスから流れを作ることができなかった。

(身体能力の高さを生かした尽誠学園⑧リンダーライアン雅輝)   ただ、日本人のみで構成された両チームが見せた“ボールへの執着心”は、どのカテゴリーのチームでも実践できること。ほかのチームと比べると決して高さがあるとは言えない両チームが紡いだ“泥臭い戦い”は、私も含め多くの観客の心を動かしたに違いない。 (月刊バスケットボール編集部)

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