3×3

3×3

2022/05/31

改めてそのルーツを思い出させた「3x3.EXE PREMIER」開幕戦

 2014年、世界初の3人制バスケットボールリーグとしてスタートし、その後、5か国1地域が参戦するグローバルリーグへと発展を続けてきた「3x3.EXE PREMIER」。新型コロナウイルスの影響により、2020、2021年は各国の状況に応じて中止または規模を縮小しての開催となったが、今シーズンは日本(男子42チーム、女子6チーム)をはじめ、ニュージーランド、タイ、チャイニーズタイペイが加盟し、100を超えるチームを擁する世界最大規模のリーグとして開催されることとなった。シーズンチャンピオン、そして9月に開催される各国各地域のカンファレンス上位チームが一堂に集うプレーオフを目指して、男子レギュラーラウンドの開幕戦となる「3x3.EXE PREMIER JAPAN 2022 Round.1 presented by WATERRAS」が、5月28・29日の2日間、東京都千代田区の「ワテラス」を会場に繰り広げられた。

 

 

 好天に恵まれた2日間、夏を思わせる強い日差しの下では、“コロナ前”と変わらぬファンとの距離の近さで、4つのカンファレンスの熱戦が展開された。各カンファレンスのリーグ戦の結果は、下記のリーグ公式ウェブサイトを参照されたい。

 

SCHEDULES

 ここでは各カンファレンス準決勝、決勝の結果を写真とともに紹介しよう。

 

DAY1:5月28日(土)

 

<CENTRAL TOKYO 準決勝1>
TOKYO CRAYON.EXE 21‐8  BELE.EXE

 

 

<CENTRAL TOKYO 準決勝2>
TOKYO DIME.EXE 21‐17  NIHONBASHI WEALTH MANAGEMENT.EXE

 

 

<CENTRAL TOKYO 決勝>
TOKYO DIME.EXE 21‐14  TOKYO CRAYON.EXE

 

 

 

「久しぶりにこういう場でプレーできてうれしい」

 

 CENTRAL TOKYOの開幕戦で見事優勝を飾ったのは、過去2度、シーズンチャンピオンに輝いているTOKYO DIME.EXE。決勝で顔を合わせたのは、リーグ戦最終戦で対戦し、我慢比べの展開の末に勝利をもぎ取った相手、TOKYO CRAYON.EXEだった。
 MVPを獲得したTOKYO DIME.EXEの♯3藤髙宗一郎は、「久しぶりにこういう場でプレーできてうれしいというのが素直な思い」と笑顔をみせながらも、「(決勝は)最後は点差を離すことはできましたが、リバウンドを取られたりターンオーバーしたりと詰めの甘い部分があったので、もっと自分たちのやるべきことを徹底していかなければ」と気を引き締めていた。

 

 

<KANTO 準決勝1>
ALPHAS.EXE 21‐12 SAITAMA WILD BEARS.EXE

 

 

<KANTO 準決勝2>
INZAI RHINOS.EXE 21‐20  TACHIKAWA DICE.EXE

 

 

<KANTO 決勝>
ALPHAS.EXE 21‐7  INZAI RHINOS.EXE

 

 

 

「3x3はファンと選手が一緒に作り上げるスポーツ。まだまだこれから!」

 

 昨夏の東京2020オリンピック代表の♯91落合知也を擁するALPHAS.EXEが圧倒的な強さを見せつけて優勝を飾った。その落合は、「ずっと無観客でしたが、僕としては正直、無観客だとマジでやる気が出ない。ファンの方が入って楽しんでくれると僕らもやる気が出るし、パフォーマンスのエナジーも出てくるので、ありがたいでしすごくうれしいです」と満面の笑み。だが、日本における3x3の現状に決して満足しているわけではなく、自分自身を奮い立たせるようにこう続けた。「オリンピック後の反響はすごくありますけれど、メダルを獲れていればもっと景色は変わっていただろうと思う。3x3はファンと選手が一緒に作り上げるスポーツ。まだまだこれからだと思います。今はパリに向けてやっているので、そこで必ずリベンジできるよう、代表に選ばれて結果を残すことができるよう、一つ一つ積み重ねていくしかない。その意味で今日は本当に新たなスタート、というのが素直な思いで、すごく気持ち良くプレーできました」と清々しく語った。

 

 

「情熱を持ってバスケットをプレーし、誰にも負けたくないという思いを表現する」

 

 今大会、ボールに対する一際強い執念と会場に響き渡る咆哮で見る者を引きつけたのが、KANTOカンファレンスで惜しくも準優勝となったINZAI RHINOS.EXEの#10井後健矢だった。昨シーズン、リーグ初参戦のINZAI RHINOS.EXEはKANTOカンファレンス2位となりプレーオフ進出を果たしたものの、レギュラーラウンド、そしてプレーオフ初戦で対戦したTACHIKAWA DICE.EXEには全敗を喫していた。そして迎えた今回の開幕戦、INZAI RHINOS.EXEは準決勝でTACHIKAWA DICE.EXEと顔を合わせ、序盤で3‐9の劣勢から、終盤の井後を中心とした猛攻による連続得点で見事な逆転勝利を飾った。井後は、「今シーズンは絶対に負けないという気持ちで臨み、それが決勝進出へとつながったと思います」と語る。
 2016年から3年間、スペイン・バルセロナに渡り、5人制地域リーグのcb ciutat vellaに所属していたという井後。「僕がスペインで学んだのは“情熱”。情熱を持ってバスケットをプレーし、誰にも負けたくないという思いを表現する。見ている人たちにもそんな情熱を伝えられるような選手になりたいと思ってやってきましたが、その学びが今日の(準決勝の)勝利では生きたのではないかと思います」。決勝では、リーグ戦に続けてALPHAS.EXEに力の差を見せつけられる結果となったが、試合後は井後をはじめ、メンバーの「やり切った」という表情が印象的だった。「今年の目標はカンファレンス優勝とプレーオフ優勝。絶対にテッペンを獲ります」。井後は自分に言い聞かせるように力強く言った。

 

 

DAY2:5月29日(日)

 

<NORTHERN ISLANDS 準決勝1>
HACHINOHE DIME.EXE 21‐20  SENDAI AIRJOKER.EXE

 

 

<NORTHERN ISLANDS 準決勝2>
UTSUNOMIYA BREX.EXE 21‐10 HOKKAIDO IWAMIZAWA FU.EXE

 

 

<NORTHERN ISLANDS 決勝>
UTSUNOMIYA BREX.EXE 21‐14 HACHINOHE DIME.EXE

 

 

 

「全身全霊をかけて、挑戦者として頑張りたい」

 

 準決勝1試合目、SENDAI AIRJOKER.EXEに対し19‐20と1点のビハインドの場面。HACHINOHE DIME.EXEは残り0.8秒のチェックボールから、それ以外選択肢のない2Pシュートを#91寺嶋恭之介が見事に決め切り、劇的な勝利を収めた。だが、そのHACHINOHE DIME.EXEに対して、昨シーズン王者のプライドを示して優勝を飾ったのがUTSUNOMIYA BREX.EXEだった。
 しかし、MVPを獲得した#7飯島康夫は複雑な表情を見せながら、その優勝を振り返った。3x3の世界最高峰サーキット、「FIBA3x3ワールドツアー」の今シーズン開幕戦が5月13~15日に、UTSUNOMIYA BREX.EXEの地元である栃木県宇都宮市で開催されたが、セルビアのLIMANに17‐22、リトアニアのŠAKIAIに16‐22とUTSUNOMIYA BREX.EXEは敗戦を喫していた。「あの負けで、自分の中では心が入れ替わった(意識が変わった)。あの次元の強度をどうやって国内の試合で身に付けるかが課題」と飯島は語る。「ディフェンスの強度、1点を確実に決めにいくところ、シュートの確実性…上げたらキリがありません」。
 そんな飯島をはじめとしたUTSUNOMIYA BREX.EXEのメンバーに見えない力を与えたのは、B1チャンピオンシップでアウェイの戦いを勝ち抜きファイナル進出を果たした宇都宮ブレックスだった。「本当に力になりましたし、負けていられないという思いはありました」と飯島は振り返る。昨シーズン、国内3冠を果たしたUTSUNOMIYA BREX.EXEだが、ワールドツアーでは世界との差を見せつけられた。身を持って体験したその差を埋めるには、アウェイの逆境を跳ね返すのにも似た力が必要に違いない。国内最強の称号を奪いに立ち向かってくる数多くのライバルとの戦いは、すべてがアウェイと言ってもいい。「全身全霊をかけて、挑戦者として頑張りたい」。飯島はそう言葉を結んだ。

 

 

<BAY ZONE 準決勝1>
NATUREMADE.EXE 18‐14 SHINAGAWA CC WILDCATS.EXE

 

 

<BAY ZONE 準決勝2>
SIMON.EXE 20‐15 BEEFMAN.EXE

 

 

<BAY ZONE 決勝>
SIMON.EXE 21‐11 NATUREMADE.EXE

 

 

 

未来へとつながってゆく子どもたちの夢

 

 リーグ戦2試合でノックアウト勝ちを収めたSIMON.EXEと、リーグ戦と準決勝の3試合すべてが対戦相手との激しい攻防戦となり10分間をフルに戦い続けてきたNATUREMADE.EXEとの決勝は、スタミナに余裕を見せるSIMON.EXEが勝利を収めた。
 開幕戦2日間の最後を飾る試合となった決勝は、コートを照らす灯りが夕暮れ時の公園やストリートのような雰囲気を醸し出し、それが3x3のルーツを思い出させた。時間を忘れてボールを追い続けた少年たちの夢は、10分という限りある時間の中で「どちらが強いか?」決着をつける競技に進化し、さらに、見る人を楽しませるエンターテインメントとなった。3年ぶりに実現した多くのファンを前にしての開幕戦は、まだまだ予断を許さないコロナ禍の中ではあるが、大事なものを一つ取り戻したような時間だった。
 表彰式後には、SIMON.EXEの戦いを見守った家族や友人、そして多くの子どもたちがコート内でメンバーと記念撮影。その温かな光景もまた3x3ならではのもの。子どもたちの夢は、未来へとつながってゆくに違いない。

 

 

取材・文〇村山純一(月刊バスケットボール)
写真〇山岡邦彦

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