月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2021】初出場のれいめい(鹿児島)が夏の苦しみを乗り越え全国の舞台へ!

 ウインターカップ初日。駒沢オリンピック公園運動場体育館Eコートの第1試合に、初出場を果たした、鹿児島県代表れいめいのメンバーが立った。対するは、島根県代表の松徳学院。

 

 

 試合は序盤からお互いの攻防が激しく入れ替わりながら、♯10今若羽菜、♯11伊藤桜らの3Pシュートで効率的に加点してゆく松徳学院が先行。追いかけるれいめいも、エース#18永德夢々がドライブ、3Pシュートと果敢に得点につながるプレーを見せ、それに引っ張られるように#17森月羽、♯4岩下ふうからがゴールへの執念を燃やし、試合は白熱した。

 

 

 34‐40と6点差で迎えた3Q。その終盤でれいめいは♯17森の3Pシュートで57‐57と追い付き、そして#18永德3Pシュートも決まってついに60‐57と逆転。そのままこのピリオドを終えて、試合は最終4Qへ。

 

 だが、2年連続2回目の出場で、昨年の経験も記憶に新しい松徳学院は、その最終4Qに高い集中力で猛攻を見せ、#11伊藤と♯7渡辺乙環が2P、3Pを連発、れいめいは60-71と一気に突き放され、その差を埋めることはできないまま試合終了のブザーが鳴った。

 

 れいめいには、ウインターカップに対する特別な思いがあった。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、インターハイ鹿児島県予選の辞退を余儀なくされた。


「乗り越えるまでには本当に時間がかかり、子どもたちも本当に苦しい思いをしてきました」。そう語るのは、れいめいの松永真至人コーチ。全国1勝の壁は厚く、「鹿児島でできたバスケットがなかなかできなかった」と振り返りながらも、「自分たちの進路とバスケットを両立することにも悩みを感じていたので、ここまで乗り切って、鹿児島県代表として切符をつかんでくれた選手を誇りに思います」と胸を張った。

 

 

 松永コーチにとっては、今年の3年生が、3年間見続けることができた初めての代だったという。そんな3年生の一人である#18永德は、「負けてしまいましたが、やってきたことを全部出し切って試合ができたのかなと思いました」と晴れ晴れとした笑顔を見せた。「県大会(ウインターカップ予選)で初優勝して、たくさんの方からお祝いの言葉をいただき、全国1勝という次の目標を掲げて、そこに向けてチーム全員で取り組んできました。練習では、一つ一つのプレーのレベル上げていくために、全員で声を出して質高く取り組んでこられたかなと思います」

 

 

 高校生として、最初で最後となったウインターカップ。「最初は体育館を見ただけで大きくてビックリしましたが、ワクワクだったり、楽しみの方がとても大きくて、リラックスした状態で臨めたかなと思います」。目標だった全国1勝は後輩たちに託された。「負けた悔しさをバネにして、来年もまたこの会場に戻ってきて、今度は私たちが達成できなかった1勝を必ず達成してほしい」

 

 卒業後はバスケットからは離れ、管理委栄養士の資格を取ることを目指すという永徳。「いろいろな人をサポートできるような、裏側に回る仕事ができたらいいなと思っています」。フィールドを変えても、バスケットボールというスポーツで培った“支える心”は、永徳を力強く後押ししてゆくに違いない。

 

 

写真/JBA
取材・文/村山純一(月刊バスケットボール)



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