月刊バスケットボール5月号

大学

2021.12.11

【インカレ2021】東京医療保健大が3Pシュート攻勢で5連覇を達成(女子)

 インカレ(全日本大学選手権大会)は11日、女子決勝を迎え、5連覇を目指す東京医療保健大と、5年ぶり2度目の優勝を狙う白鷗大が顔を合わせた。両校の決勝での対決はこれで3年連続。秋の関東リーグでは、全勝どうしで対戦した最終節で東京医療保健大が勝ち、2年ぶり3度目の優勝を飾っている。

 


3年連続で同じ顔合わせとなった今年のインカレ女子決勝

 

 1Q、東京医療保健大が♯8ジョシュア・ンフォノボ・テミトペのゴール下からのシュートで先制。白鷗大も♯4山下詩織、♯20オコンクウォ・スーザン・アマカ、♯12松永夏海らの得点で対抗するが、東京医療保健大はキャプテン♯12木村亜美、♯22林真帆、♯1古木梨子、♯18池松美波らの3Pシュートで効率よく加点し、序盤からじわりと得点差を広げてゆく。前日の準決勝でチームハイの17点を挙げた白鷗大の♯7鈴置彩夏は厳しいディフェンスを受けシュートチャンスに恵まれず。このクウォーターで、東京医療保健大は早くも23-8と大きなリードを確保した。

 


試合は5連覇を目指す東京医療保健大が序盤から白鷗大をリードした

 


白鷗大の5年ぶり2度目の優勝をめざし、キャプテンとしてチームを引っ張った♯4山下詩織

 

 続く2Qは、序盤で♯18池松が3Pシュートを連発するなど、東京医療保健大が勢いを加速させるかに見えたが、白鷗大も♯12松永、♯15三浦舞華が巧みな空中バランスで相手ディフェンスをかわしながらの難しいシュートを決めるなど躍動。終盤には♯7鈴置の3Pシュート、♯20アマカのゴール下も決まるなど、白鷗大が攻撃のリズムをつかみ始める。このクウォーター単体では、白鷗大が19-14とリード、総得点では東京医療保健大が37-27と依然リードを保ち、前半を終えた。

 


昨年のウインターカップで優勝した桜花学園高のメンバー、白鷗大♯20オコンクウォ・スーザン・アマカも奮闘

 

 3Qのスタートはお互いの攻防が行き来し、東京医療保健大の41-31までは一進一退の様相。ここから白鷗大は♯⑦鈴置がレイアップ、フリースロー2本、さらにスティールからゴールを奪うなどして6点差まで詰め寄るが(この間に東京医療保健大は♯1古木が得点)、中盤から終盤にかけて東京医療保健大は♯18池松、♯22林、そして♯77岡本美優にも3Pシュートが飛び出し、白鷗大に傾きかけた勢いを食い止め、58-43と再びリード。昨年まで4連覇を誇る同校が、底力で大きな圧をかけるように最終クウォーターへの節目を迎えた。

 


後半に入り本来のプレーを取り戻し、反撃の姿勢を見せた白鷗大♯7鈴置彩夏

 


白鷗大に傾きかけた勢いを食い止める働きをした東京医療保健大♯18池松美波

 

 そうして迎えた4Qは、序盤で東京医療保健大が♯12木村、♯77岡本の3Pシュートでリードをさらに広げる。71-50の場面から、白鷗大も♯20アマカのフリースローとゴール下、さらに、仲間が必死につないだボールを♯15三浦が3Pシュートでゴールに沈めるなど対抗して71-56まで戻すが、ここから東京医療保健大は♯12木村がフリースロー(1/2)、ミドル、フリースロー(2/2)、さらに3Pシュートと連続得点で79-56と23点差に。白鷗大も諦めることなく、♯6桐原麻尋の3Pシュート、♯4山下、♯15三浦のシュート、♯20アマカのゴール下などで食い下がるが、東京医療保健大は♯16髙野柚希の3Pシュートがとどめとなり、88-67で5年連続5回目の優勝を達成した。

 

 


キャプテンとして仲間を引っ張り、自らチームハイとなる18点を挙げた東京医療保健大♯12木村亜美

 

 

 東京医療保健大は3Pシュートで、チームトータル55.5%(15/27)という高い数値で効率よく加点。最後に決めた♯16髙野は出場わずか1分45秒で決めたゴールで、同大は誰がどんなタイミングでコートに立っても高い技術力を発揮することを裏付けている。対する白鷗大は18.2%(4/22)と水をあけられ、勝敗を分ける要因ともなった。

 

 東京医療保健大の恩塚亨監督は、「今シーズン最高の試合ができたのではないかと思います。いつでもどんなときでも、ポジティブな気持ちで、やらなければならないという義務感ではなく、自分の内側から湧いてくるエネルギーでプレーすることであったり、自分自身のエネルギーや笑顔をチームメイトに与える、そういう思いを常に持ち続け、表現することができました」と選手たちを称えた。

 

 今大会の最優秀選手賞を獲得した東京医療保健大キャプテン♯12木村は、「大学4年間で本当にたくさんの学びを得て、自分自身すごく成長したなと思う4年間でした。特にマインドの面で学びを得て、ポジティブなマインドを持つことで、自分のプレーや、見る世界が本当に変わって、改めてバスケットがすごく楽しいと思えるようになりました。これからのバスケットボール人生でもこの学びを生かしてプレーしていきたいなと思います」と大学生活を振り返り、今後の抱負を語った。

 


東京医療保健大の恩塚亨監督(写真前列中央)は「今シーズン最高の試合」の選手たちを褒め称えた

 

 一方、3年連続の準優勝となった白鷗大の佐藤智信監督は、「お互いにいろんな特徴を知り合った中での対戦でしたが、1Qの入りでインサイドを警戒しすぎて3P(シュート)を決められてしまいました。出足の5分間の攻防が、そのままゲームの最後まで影響してしまったかなと思います」と振り返り、キャプテンの♯4山下は、「追いつきそうなところで離されて、そのまま医療(東京医療保健大)のペースになってしまいました」と、悔しさを言葉に表した。

 

 なお、決勝の前に行われた3位決定戦は、早稲田大が86-70で愛知学泉大に勝利した。

 

 また、今大会の各賞は下記のとおりに決定した。

 

【個人賞】
<最優秀選手賞>
木村亜美(東京医療保健大 ♯12 4年)

 

<敢闘賞>
鈴置彩夏(白鷗大 ♯7 3年)

 

<優秀選手賞>
ジョシュア・ンフォノボ・テミトペ(東京医療保健大 ♯8 3年)
池松美波(東京医療保健大 ♯18 2年)
山下詩織(白鷗大 ♯4 4年)
江村優有(早稲田大 ♯23 1年)
石原柚香(愛知学泉大 ♯9 4年)

 

<得点王>
フェスタ―ガード・ヤヤ(早稲田大 ♯3 2年)103点

 

<3ポイント王>
江村優有(早稲田大 ♯23 1年)15本
鬼塚彩乃(愛知学泉大 ♯2 4年)15本

 

<アシスト王>
石原柚香(愛知学泉大 ♯9 4年)28本

 

<リバウンド王>
オコンクウォ・スーザン・アマカ(白鷗大 ♯20 1年)68(OF23/DF45)


取材・文〇村山純一(月刊バスケットボール)
写真〇山岡邦彦



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