月刊バスケットボール6月号

中学(U15)

2021.08.21

男女同時出場の菊陵中(福岡)、それぞれの大きな一歩【全中2021】

 

 2年ぶりの開催となる全国中学校大会。今回、男女同時出場のチームは複数あるが、その中の一つが菊陵中(福岡)だ。そのうち男子は、1955年の創部以来、待望の初出場となった。

 

 大会初日の予選リーグ戦を1勝1敗の2位で突破し、20日の決勝トーナメントに進出。1回戦で顔を合わせた真正中(岐阜)との戦いは、キャプテン#4津崎浬を起点とした攻防ともに活気に満ちたプレーを展開。多彩な技でバリエーションに富んだ得点能力を見せる#6八田滉仁の活躍もあり、初出場とは思えない戦いぶりを見せて3Qまでを50‐43とリードして折り返した。

 

 

 しかし4Qに入ると、ここが勝負どころと集中力を高めた真正が#4福田玲生の3Pシュートを反撃ののろしに猛攻。#9佐々木泰佑、#10山岸直史なども加点して一気に逆転を果たす。この4Qだけの得点では真正が29‐10と圧倒し、菊陵は手を伸ばせば届きそうなところにあった勝利をつかむことができなかった。

 

 試合を振り返って菊陵の本山剛コーチは、「昨日の反省を踏まえて、前半から飛ばしていたのですが、後半は足にきてちょっと動けなくなってしまいました。しかし、選手たちは最後まで頑張ってくれたので、全中のこのコートに立たせていただいたことに本当に感謝の気持ちでいっぱい」と語った。惜しくも決勝トーナメント1勝はならなかったものの、その果敢な戦いでチームの歴史に新たな一歩を記した。

 

 

 一方、その本山コーチが「隣どうしのコートで相当ハードな練習をやっているので、それに負けまいと男子も頑張ってきました」という女子は、全中2回目の出場。初出場となった平成30年の山口全中ではベスト8、そして今冬のJr.ウインターカップにも出場という実力あるチームだ。

 

 男子と同様、初日の予選リーグを1勝1敗の2位で突破。そして20日の決勝トーナメント1回戦では豊野中(埼玉)と対戦した。前半は豊野が38‐28とリードを奪うが、ともに走力と攻防の切り替えの早さを生かしたバスケットを展開した試合は、4Qに入ると2年生の#17原田誉などの奮闘もあり、菊陵がジワリとその差を詰めてゆく。すると、試合も残り20秒を切った場面で#5平野紅鈴がスティールから一気にゴールを奪い65‐67とワンチャンスの射程距離に。そして試合終了間際、またも#5平野が放った渾身の3Pシュートは見事リングに吸い込まれ、菊陵が劇的な勝利を飾った。

 

 

 続く決勝トーナメント2回戦でも、最終4Qで1点を争う攻防となった弥富北中(愛知)との接戦に競り勝った菊陵は、目標としていたベスト4を達成。全中の歴代優勝校に名を連ねる豊野、続く弥富北とのタフな戦いに連勝した勢いはまだまだ続きそうだ。大会前、チームの課題を「流れをつかむのが苦手なこと」としていた菊陵だが、そうした懸念も吹き飛ばしてしまうほどの成長を見せた2試合だった。

 

 男子と女子それぞれの歩みで、菊陵はこの全中で大きな一歩を記した。

 

 

取材・文/村山純一

写真/山岡邦彦

 

※全中の模様は9月25日発売の『月刊バスケットボール11月号』で!

 

(月刊バスケットボール)



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