月刊バスケットボール5月号

三度目の正直で中部大第一が開志国際を撃破!【インターハイ2021】

 

 大会3日目の3回戦で、地元の開志国際(新潟②)×中部大第一(愛知①)という強豪校同士のカードが実現した。2018年のインターハイ決勝や2019年のインターハイ3回戦でも相対した因縁の対決で、そのときは二度とも開志国際に軍配が上がったが、果たして今回は…。勝負の行方に注目が集まった。

 

 試合は、1Qこそ互角の戦いとなったが、2Qは完全に中部大第一ペース。今大会でケガから復帰したスピード抜群の司令塔#11下山瑛司を起点に#5福田健人らが果敢に攻め、インサイドでは#8アブドゥレイ・トラオレ、#7田中流嘉洲が高さとフィジカルの強さを生かしてリバウンドを掌握する。対する開志国際は#6白澤朗が1回戦で負傷して戦線離脱したこともあり、インサイドがやや手薄。ゾーンディフェンスで中を固めたものの2Qのスコアだけ見れば9‐29と中部大第一に一方的にリードされてしまった。

 

 

 しかし開志国際も、3Qの出だしから反撃開始。ディフェンスをマンツーマンに切り替えてプレッシャーをかけ、攻めてはルーキー#10澤田竜馬の2本の3Pシュート、#13介川アンソニー翔のスティールからの速攻などで勢いに乗る。開始4分間のスコアだけ見れば14‐2と圧倒的で、その差を一桁に縮めて射程圏内に収めた。だがその後は点差をなかなか詰められず、57‐66と9点を追いかける形で運命の最終Qへ。

 

 

 だが、中部大第一もやすやすと流れを渡すわけはなかった。我慢の3Qを耐え忍んだ中部大第一は、4Qになると#13小田晟がバスケットカウントを獲得してチームを盛り上げ、#7田中も体のぶつかり合いを厭わずフリースローから着実に加点。運動量を落とさず激しいディフェンス、リバウンドから速攻を繰り出してその差を広げていく。追い付きたい開志国際はエースの#13介川が積極的にシュートを狙っていくが、反撃の糸口をつかむことはできず。そのまま88-76でタイムアップとなった。

 

 三度目の正直で、因縁の対決を制した中部大第一。「インサイドでイニシアチブを握れたことと、運動量が落ちなかったこと」(常田健コーチ)が大きな勝因となった。#7田中が37得点、20リバウンド、#8トラオレが16得点、16リバウンドを挙げ、特にリバウンドについては敵将・富樫英樹コーチも「誤算だった」と舌を巻く。

 

 

 こうして、メインコートの経験を知らない選手たちがつかんだ価値あるベスト8進出。常田コーチは「この3回戦は一つの山場でしたが、次の試合からも強敵ばかり。ここから本当の戦いが始まる気持ちで臨みます」と気を引き締めていた。

 

 一方、開志国際の富樫コーチは「ディフェンスに甘さがありました。そして最後はリバウンドの差」と反省の弁。ただ、3Qで見せた怒とうの追い上げについては「我がチームにとっては収穫。子どもたちも『やれる』という感覚があったと思います」と言う。主力には下級生も多く、「伸びしろはある」と富樫コーチ。可能性を秘めたチームは、冬に向けて新たなスタートを切った。

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

写真/石塚康隆

 

(月刊バスケットボール)



PICK UP