月刊バスケットボール5月号

関東大会女子は明星学園と昭和学院が2日間3試合を全勝で1位を獲得

 第75回関東高等学校バスケットボール選手権大会は、前週の男子に続き、6月12、13日の2日間にわたって女子大会がALSOKぐんまアリーナ(群馬県前橋市)を会場に開催された。今年は競技規則により、決勝および3位決定戦が行われないのも男子と同様。

 

 

 上位校が競うAブロックでベスト4に勝ち上がったのは明星学園(東京)、桐生商(群馬)、八雲学園(東京)、昭和学院(千葉)の各校。

 

 勝ち上がり表のトップハーフ(上の山)で1位を争った明星学園と桐生商の対戦は、明星学園がこの時期としては高い完成度の戦いを見せた。

 

 大会2日目は2試合をこなすハードなスケジュールとなったこともあり、試合の序盤は両チームともプレーの精度が下がり、ややスローなスタートに。ともに、エンジンが温まるのを待つような展開で、1Qを終えて得点は21‐18と明星学園がわずかにリード。

 

 そして、時間の経過とともに大会最後の試合で集中力をグッと高めたのは明星学園だった。♯75佐藤桃菜、♯58酒井杏佳を中心に高い個人技とスピーディーな連携で攻撃のリズムをつかめば、3年生の♯47アディクペ・エスター(185㎝)と2年生の♯85アダム・アフォディヤ(193㎝)という2人の留学生が戦況に応じて交代でコートに上がり、長身を生かしたリバウンドやゴール下のシュートで貢献。得点ペースを一気に上げ、2Qを終えて51‐38、3Qを終えて86‐50とその差を開げてゆく。

 

 

 

 

 最終4Q、桐生商も最後まで諦めない粘りとゴールへの執念を見せ、♯3帆足咲、♯19橋本彩夏らが得点。試合を通じては、帆足に加え、♯38星野璃音、♯57舩戸姫夢の3人が2桁得点を挙げる奮闘を見せた。

 

 

 

 結果は112‐62で明星学園が勝利を収めた。明星学園は5月に行われた東京都の関東予選大会で、佼成学園女、八雲学園、東京成徳大を破って優勝を飾っているが、今回、関東大会を制したことにより、今年のチーム力が確かなものであることを示しつつある。間近に迫ったインターハイ東京都予選での戦いぶりにも注目だ。

 

 明星学園の張一コーチは、「新型コロナウイルスの影響もあり、まだ練習が足りませんが、それは他のチームも同じ。その中でも、昨年はこの時期のすべての大会が中止になってしまったのに対して、今年は大会が行われ、(関東予選大会も関東大会も)全部勝てたのでよかった。これから東京予選に切り替えて、もう一度集中力を高めていきます」と大会を振り返りつつ語った。

 

 

 勝ち上がり表のボトムハーフ(下の山)では、八雲学園と昭和学院がしのぎを削った。

 

 1Qは一進一退の攻防を見せ、21‐19と八雲学園がわずかにリード。2Qの序盤までその流れが続いたが、26‐26の同点から昭和学院の♯5石橋花穂が3Pシュートを2本連続で決めて32‐26とリードを奪う。八雲学園のタイムアウト後も昭和学院は守りを固めつつ攻撃の手を休めず、前半を終えて昭和学院が49‐34とリードを奪った。

 

 

 ここまで昭和学院の♯12アチャラ・オゲチ・クランシー(184㎝)のブロックに阻まれていた八雲学園は、後半に入ってアウトサイドからの攻撃に切り替えると得点のリズムをつかむ。♯5薮未奈海、♯6中村愛美を中心に点差を詰めるべく果敢にゴールを狙い、3Qのみの得点では30‐27とリードをわずかにリードした。

 

 

 

 しかし、昭和学院はクランシーがゴール下を守りつつ、個々の機動力と連携の精度の高さを生かしてメンバー全員が積極的にシュートを狙い、終わってみれば♯4⻄ファトゥマ七南、石橋、♯7田中真弥、♯8花島百香、♯9⽥嶋優希奈、そしてクランシーの6人が2桁得点を挙げ、96‐80と前半のリードを守る形で試合を制した。

 

 

 

 敗れたものの、八雲学園も藪と中村が試合を通じてそれぞれ25点、23点を稼ぎ、得点力の高さを見せつけた。両チームを通じて20点台の数字を残したのは2人だけだ。

 

 昭和学院の鈴木親光コーチは、「練習試合もまったくできていませんでしたので、審判の方が付いてくださる緊張感ある試合が3試合できたことは本当に良かったと思います」と語った。準々決勝では、昨年のウインターカップ準優勝の東京成徳大との緊迫した競り合いを制しての勝ち上がりだったが、「選手たちが場面に応じて考えるべきことのテーマをいただいた試合だったと思います。そのテーマを克服しながら、次のステップに行けるといいなと思います」と、間近に迫ったインターハイ予選に向けての思いを言葉にした。

 

 

 “コロナ以前”と比べ練習環境はまだまだ不安定で、選手個々のトレーニングによる体作りも十分とは言えない。そして、その体を土台とした個人技およびチームとしての連携にも不安を抱えながら臨んだ大会だった…と言えるだろう。

 

 2年ぶりに開催される予定のインターハイを目指して、この関東大会に出場した各チームは、これから各都県の厳しい予選に臨む。目の前の目標はもちろんだが、その先も見据えて、すべての選手が無事に戦い終えてほしいと願うばかりだ。


写真/山岡邦彦
取材・文/村山純一(月刊バスケットボール)



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