月刊バスケットボール5月号

【ウインターカップ2020】中部大第一、期待を込めて2年生に渡されたバトン

 大会2日目、武蔵野の森総合スポーツプラザの最終試合は、42年連続43回目の出場で優勝歴もある北陸(福井)と、6年連続9回目の出場で決勝進出の経験を持つ中部大第一(愛知)という注目の1回戦が行われた。

 

 1Qを終了しての得点は、16‐14で北陸がわずかにリード。2Qを終えてその差は少し開いたものの、40‐31と後半の競り合いを予感させるものだった。

 

 しかし、ハーフタイムを挟んだ後半は様相が一変。牙をむいた北陸が、#⑥米本信也の3ポイントを起点に怒とうの攻勢に転じ、最大21点差までリードを広げる。中部大第一も必死に食らい付き、3Qの終了時には69‐53として望みをつないだ。

 

 中部大第一のスタメンは、♯4葉山隆誠(184㎝)、♯8アブドゥレイ・トラオレ(208㎝)、♯10福田健人(194㎝)、♯11谷口歩(174㎝)、♯12田中流嘉洲(195㎝)という“高さ”を生かした布陣。同校の常田健コーチは、「うちは高さの部分で、2点の勝負をしたかったんですけれど、なかなかそこが…思うとおりにゲームプランがいかなくて、外の打ち合いになってしまった。北陸高校さんと外の打ち合いっこをしたら、うちは絶対にダメだと僕自身は思っていました」と試合後に振り返っている。スモールラインナップの北陸に対して、「マッチアップの関係で守りやすい選手がいなくなって、振り回されてしまった。高さの有利さをオフェンスで出したかったのが、ディフェンスの負の部分が出て、逆に外で打ち合ってしまった」(常田コーチ)


4Qも得点差は縮まることなく、85‐72で中部大第一は敗れた。

 



高さを生かしたバスケを展開したかった中部大第一。

しかしそのゲームプランは北陸に阻まれた

 

 中部大第一にとって、この試合は実に2月の東海新人大会以来の公式戦だった。
「(ウインターカップの初戦で)いきなりのこのレベルだと、やっぱりちょっと難しい…。(選手たちも)一生懸命やりたいとは思っているんですけれど、思うとおりに進まなかった。(大会に向けて)どういう調整をしたらいいのかというのも二転三転しましたし、練習試合の変更や、遠征が急遽中止になることもありました」。常田コーチは、今年の困難な状況下でのチーム作りの難しさを語った。

 

 キャプテンの葉山は、「僕たちのチームは、今年は2年生が多くて、トラオレも、流嘉洲も、健人も2年生です。2年生の時点で試合に出て活躍してくれているので、来年は本当に期待しています」と、後輩たちのさらなる成長に思いを馳せ、気持ちを込めてバトンを渡した。

 

試合終了後、応援席に挨拶をする中部大第一の選手たち。

この瞬間、バトンは後輩たちに引き継がれた

 

写真/JBA
取材・文/村山純一(月刊バスケットボール)



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