月刊バスケットボール8月号

大学

2020.12.12

【インカレ2020/女子決勝】“ワクワクのエネルギー”で成長した東京医療保健大が4連覇達成

 関東リーグ1位の白鷗大×2位の東京医療保健大の対戦となった今年のインカレ女子決勝戦。10月18日に行われたリーグ戦では、前半で10点差をつけた白鷗大が東京医療保健大の猛烈な追い上げを振り切り90-89の1点差で勝利していることもあり、この決勝戦でも出足がカギを握ると予想できた。

 

 そして始まった第1Q。両チームとも序盤が重要ということは十分に分かっており、東京医療保健大が#8ジョシュアンフォノボ テミトペ、#2赤木里帆といったポイントゲッターで得点すれば、白鷗大も#7今村優花、#8佐藤京香、#20シラソハナ ファトージャと点取り屋が応戦。どちらもこの決勝にかける意気込みの高さを見せた第1Qは19-18で東京医療保健大がリードするも、ほぼ互角の戦いとなった。

 

前半はまだどちらに流れが行くか分からなかった

 

 続く第2Q、どちらもディフェンスが固くなかなか内に切り込めない状況となるが、東京医療保健大は#77岡本美優、#12木村亜美の3Pが決まったことでじりじりと点差を広げていく。それでも#15三浦舞華の奮闘などで何とか食らいつく白鷗大。前半は38-33と東京医療保健大が5点リードして折り返す。

 

 そして迎えた3Q、ここで爆発力を見せたのが東京医療保健大の#2赤木。ドライブ、3P、ミドル、フローターと放つシュートをことごとく沈めてみせると、それに呼応するかのように#18池松美波、#12木村も3Pを決め、東京医療保健大が56-43とさらなるリードに成功。一方、守ってはディフェンスのレベルがさらに上がり、白鷗大が攻撃の起点とする#4神﨑璃生、#7今村、#8佐藤を好きにダイブさせない。その結果、白鷗大は外角シュートが多くなるが、これがなかなか入らず、佐藤智信監督が「外からのシュートが入らず点差が開いたことがますますプレッシャーとなりました」というように悪循環に陥ってしまう。

 

#2赤木を中心に攻守にわたり高い闘争心と集中力を見せた東京医療保健大

 

 その後、最終4Qになってもディフェンスの手を緩めない東京医療保健大。このQでは相手を7得点に押さえた上で、攻めては#2赤木、#8テミトペ、#25伊森可琳がどんどん加点。結局73-50とさらに差を広げて勝利し、4連覇を達成した。

 

後半、白鷗大は得意の速い展開を封じられリズムに乗れなかった

 

 傍から見ると圧倒的な強さを誇った東京医療保健大だが、恩塚亨監督によると「昨年の4年生たちが優勝した翌日、新4年生たちは自分たちが優勝できると思っていなかったところからのスタートでした」とのこと。それでも、その不安を乗り越えて、自信を持って今回の試合に臨むことができた裏には、恩塚監督の指導法の変化があった。

 

 それが、「スーパーヒーローになるマインド」(恩塚監督)だ。「それまでは“やらなければいけない”ことを教えていましたが、“自分で自分の理想像を描く”ような指導の仕方にしたのです。“理解納得”で教えられたことをやるのではなく、自分軸でどうなりたいのか“ワクワクのエネルギー”を出していこう、と」。

 

 今回の優勝は、そのワクワクのエネルギーによって成長した選手が達成した、意味のある4連覇となった。

 

(月刊バスケットボール)



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