月刊バスケットボール5月号

【WINTER CUP HISTORY vol.3】圧巻だった「タク」時代

 

「たくましい」という言葉からついた「タク」のコートネームで知られる渡嘉敷来夢が、桜花学園に進んだのは2007年春のこと。それまで桜花学園は3年連続してウインターカップ制覇を逃していたが、渡嘉敷がフロントラインのスターターに入ったこの年、4年ぶり15度目の頂点に立つと、その後3年連続3冠を達成し栄光の時代を築いている。

 

 ウインターカップ2007での渡嘉敷自身は、成長痛のため出場時間が短かった準々決勝までの試合こそ特筆すべき数字がないものの、準決勝の対山形市立商業戦で大会初の二桁得点(11得点)を記録すると、東京成徳大を89-68で下した決勝では18得点、7リバウンド、3ブロック、2スティールとオールラウンドな活躍を見せた。

 

 入学時から身長が5㎝以上伸びこの大会での登録は190㎝。しかも、小学校6年生の時には走高跳で全国優勝したほどのバネと機動力を備えていた。渡嘉敷の活躍は、日本の女子バスケットボール界に未来を背負うあらたなスーパースターが登場したことを強く印象付けた。

 

 2年生になった2008年の大会では、初めて大会のベスト5に選出されている。再び東京成徳大を下した決勝(88-74)では前半だけで19得点し、最終的には37得点(FGは25本中17本成功の68.0%)、13リバウンド、1ブロック。いかに支配的な存在だったかを、驚くべきこれらの数字が物語る。

 

 しかしこれがピークではなかった。在学期間におけるいわゆる“9冠”がかかった最終学年の2009年大会、渡嘉敷はさらなるステップアップを見せたのだ。決勝の相手はみたび東京成徳大。是が非でも勝利をと食い下がるライバルを相手に、渡嘉敷は40分間フル出場で31得点、20リバウンド、2アシスト、1ブロックのモンスターゲームを披露してみせたのだ。

 

 桜花学園は東京成徳大の終盤の追い上げをしのぎ68-59で勝利。自身も2年連続で大会ベスト5に選出され、栄光に彩られた高校時代を締めくくっている。この3年間、高校女子バスケはまさしく「タク」の時代だったと言って過言ではないだろう。

 

 その後も渡嘉敷は2016年のリオ五輪で女子日本代表をベスト8に導き、Wリーグや皇后杯全日本総合バスケットボール選手権大会でも幾度となく優勝を飾るなど、コートネームのもう一つの由来の通りに、日本バスケ界を「託される」選手として活躍を続けている。

 

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(月刊バスケットボール/柴田 健)



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