吉田亜沙美選手インタビュー「今日、私と一緒にコートに立った子どもたちが、これからもずっとバスケットを続けてくれたらうれしい」
スポーツの新たな体験ができるスポットとして注目を集めている新豊洲の「TOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT × ART(トーキョー スポーツ プレイグラウンド サポ―テッド バイ スポーツ バイ アート)」。11月1日、ここを舞台に近隣の小・中学生を対象としたバスケットボールレッスン「三井不動産レジデンシャルpresents TOKYO SPORT PLAYGROUND Basketball Kid’s Academy」が行われた。
この日ゲスト講師を務めたのは、宇都宮ブレックスの田臥勇太選手、比江島慎選手、そして元女子日本代表キャプテンの吉田亜沙美選手という豪華な顔ぶれ。今回、その中から吉田選手にインタビューを行う機会を得た。
和かな秋の日差しの下、緊張感漂う試合時とは対照的な、チャーミングな笑顔で子どもたちと触れ合った吉田選手の言葉は、バスケットへの愛、子どもたちへの愛にあふれていた。
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月刊バスケットボール(以下BB):今年、このようなコロナ禍の中での今日のクリニックでしたが、子どもたちと触れ合った感想をお聞かせください。
吉田:これまで、普通の生活をするのにも様々な困難が伴い、子どもたちがバスケットと触れ合えないというのは私自身も寂しく、苦しい思いでした。少しずつ落ち着いてきて、今日こうやって子どもたちとバスケットを通して触れ合い、笑顔が見れたり、楽しそうにいろんなことに挑戦する姿を見ることができて、いちバスケットファンとしてすごくうれしいです。こういう素敵なコートで一緒にバスケットができたというのは、私のバスケット人生の中でもすごく幸せな時間だったなと思います。
BB:こちらの新しい施設(TOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT × ART)の印象はいかがですか?
吉田:アウトドアというのが気持ちいいですし、外でバスケットをするというのは私にとっては新鮮だったので本当に楽しかったです。またぜひここに来てバスケットをしたいなと思います。
BB:9月からWリーグの新シーズンも始まりましたが、どのようにご覧になっていますか?
吉田:昨シーズンは(新型コロナウイルスの影響で)途中で終了してしまいましたが、また新しいシーズンが開幕できたということは、選手にとってすごく良かったなという思いと、ファンの方々、Wリーグを応援してくださっている方々にとってもすごく喜ばしい出来事になったと思います。このまま何事もなく進んでいってくれればいいなと思います。
BB:今回のクリニックには女の子も数多く参加していましたが、今日のような子どもたちの育成なども将来的には考えていますか?
吉田:私はどちらかというと、子どもたちにはまず楽しんでバスケットをしてほしいなと思っています。楽しくないと上手くなれないと思うので、まずバスケットの楽しさを伝えることに興味があります。
それと、ポイントガードの育成というのはすごく興味がありますし、将来やってみたいことですね。ポイントガードの楽しさというのは、自分がこれまで経験してきた中で感じている部分があります。たとえ身長が小さくても世界で通用するんだということを自分自身、証明してきたつもりなので、私の経験値を伝えることが育成につながればと思っています。
BB:バスケットボール以外でチャレンジしたいこと、もしくは今チャレンジ中のことがあれば教えてください。
吉田:私は、たぶんバスケット以外のことはできないと思いますし、ずっと何らかの形でバスケットには携わっていきたいと思っています。その中で将来は、やはり指導者というのはやってみたいと思っていた仕事で、今はそれが夢から目標に変わってきているところです。
BB:最後に、今回のような子どもたちにバスケットを教える機会を通じて、あらためて感じるバスケットボールというスポーツの素晴らしさとは?
吉田:アメリカでは、屋外の公園などにバスケットリングがあるというのは珍しい風景ではなくて、バスケットボールは多くの人にとって日々の生活の中でとても身近なスポーツになっています。日本ではまだまだそういう環境が少なく、体育館に行かないとコートもリングもないという状況で、普段はなかなか接することができないスポーツです。
今回、こんな素敵なコートができたこと、身近な環境にリングができたことで、誰でももっと気軽にバスケットに触れられるようになってくれればいいなと思いますし、これをきっかけに、今までバスケットをやったことのない人たちに「バスケットってこんなに楽しいんだね!」って思ってもらえるような機会がもっと増えてくれればいいなと思います。今日も初心者のお子さんが1人いましたが、初めてバスケットと触れ合える環境ができたというのは、本当に素敵なことだと思います。
私は、自分の経験からバスケットの楽しさを伝えることができます。バスケットは観ても楽しいし、やっても楽しいスポーツ。年齢に関係なく、大人から子どもまでバスケットを通してコミュニケーションがとれるというのも、私がバスケットをやっていてよかったなと思う部分です。
今日、私と一緒にコートに立った子どもたちが、これからもずっとバスケットを続けてくれて、楽しいな! 気持ちいいな! と思ってくれたらうれしいですね。
(月刊バスケットボール)