月刊バスケットボール6月号

合言葉は「楽しむ」…小林高(宮崎)を率いる前村かおりコーチの指導論

 5月25日発売の月刊バスケットボール7月号では、指導者インタビューの第34弾として、小林高女子バスケットボール部を率いる前村かおりコーチが登場!

 

 昨冬のウインターカップで全国ベスト8に入った小林高。同校のOGでもある前村コーチは「田舎の県立高校なので、いる選手でどう勝っていくかが昔からのテーマ」と話し、毎年小柄ながらディフェンスの激しい好チームを築き上げている。「楽しむが合言葉」と語る、前村コーチの知られざるフィロソフィーとは――。(下記に一部抜粋)

 

 

母校の指揮官を任された恐怖

救ってくれたのは選手たちの姿勢

 

――大学院時代に筑波大で3年間アシスタントコーチを経験した後、2011年から小林高に赴任しました。

 県の採用試験に受かり、たまたま母校に赴任することになりました。最初の3年間は恩師の西田先生の下、アシスタントをやらせてもらって、4年目からヘッドコーチを任された形です。ただ、アシスタント時代は見て学ぶだけの3年間でした。もちろん学びはすごくありましたが、今思えば選手に対して自分がもっとしてあげられることがあったのではと後悔しています。初めての教員でおっかなびっくりというか、自分から何か行動することなく過ごしてしまった3年間でした。突然ヘッドコーチを任せると言われたとき、もっと主体的に行動していればとすごく後悔しましたね。

 

――突然の任命だったのですね。

 どこかでまだ早いだろうと思っていて、心の準備もしていないですし、まさかという感じでした。チームを任された喜びよりも、当時は恐怖しかなかったです。自分が負けさせてしまったらどうしようとか、こんな自分が監督を務めていいのかとか…。徐々に割り切れるようになりましたが、最初は毎日ネガティブなことばかり考えていました。

 

――徐々に考え方を変えられたのはどうしてですか?

 選手たちに救われました。忘れられないのは、ヘッドコーチになって1年目の最初のインターハイ予選。そこで負けて、チームを全国に連れていけなかったんです。当時は2年生に五十市中の全中優勝メンバーが5人いたのですが、それなのにチームを負けさせてしまい、責任を感じてすごく落ち込みました。でも4人しかいなかった当時の3年生たちが、試合後に「先生、私たちの今の実力はこんなものです。負けたけど自分たちではよくやれた方です」と言ってくれたんです。「これから練習して、ウインターカップ予選で勝てばいいんですよ!」って…。その言葉に、本当に救われましたね。落ち込んでいる私より、選手たちの方が前を向いていました。チームを負けさせて本当に選手たちには申し訳なかったですが、彼女たちが前を向いているのに私が沈んでいたらだめだなと。いつも大会後に自分たちで反省点などレポートを書くのですが、そのインターハイ予選のレポートは今でも大事にしていて、何かあるたび読み返しています。

 

――3年生自身も悔しかったと思いますが、すぐ切り替えて前を向いたのはすごいですね。

 人数も少なかったですし、1個下の全中優勝メンバーが注目されがちでしたが、チームに欠かせない3年生たちでした。インターハイに出られない夏、ハードな合宿も3年生たちが明るく引っ張ってくれて、そこに下級生が付いていく感じでしたね。それでウインターカップ予選は、延長戦の末に勝つことができたんです。4Q、残り1秒を切ったところで2年生の夏井麻朱(筑波大卒)がシュートを決めて延長に持ち込むというすごい試合でした。神様は見ているんだなというか、本当に選手たちがすごかった。悔しい夏があったからこそ最高にうれしかったです。

 

――その翌年、夏井選手たちが最上級生になった年には、県内のみならず九州大会でも優勝しました。

 

※続きは『月刊バスケットボール7月号』へ!

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(月刊バスケットボール)



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