【関東高校大会2019/男子レビュー】実践学園が土浦日本大にリベンジ! チーム史上初優勝を飾る!!

 6月1、2日の2日間、山梨県の富士北麓公園体育館と鐘山スポーツセンター総合体育館にて開催された“第73回関東高校選手権大会”が閉幕。Aブロックは実戦学園(東京1位)、Bブロックは東海大付相模(神奈川5位)が優勝を飾った。

 

 激戦のAブロックを勝ち上がったのは、関東新人大会優勝の土浦日本大(茨城1位)と今大会初優勝を目指す実践学園だ。

 

 土浦日本大は関東新人大会でも手を焼いた桐光学園(神奈川3位)を1回戦で破ると、準々決勝では正智深谷(埼玉1位)を下して勢いに乗る成立学園(東京3位)、八王子学園八王子(東京2位)に対して見事なアップセットを演じた法政大二(神奈川2位)を次々と退けた。エーススコアラーの⑩鍋田亜廉が桐光学園戦で15本の3Pシュートを沈めて52得点の大爆発。④陳岡燈生、⑤結城智史らも尻上がりに調子を上げ、選手層の厚さを見せた。

 

 一方の実践学園は、埼玉栄(埼玉2位)、横浜清風(神奈川2位)を相手に共に15点以上の差をつけ、危なげなく勝利。準決勝では高さに勝る市船橋(千葉1位)に対してリバウンドを徹底。攻めてはエースの⑦江原信太朗、ルーキーの⑰新井翔太らのアウトサイドシュートを起点に試合の主導権を握り、そのまま逃げ切った。

 

チームを引っ張った⑦江原(実践学園)

 

 決勝戦は後に優勝する実践学園にとってはリベンジの場。2月の関東新人では74対91で大敗していることからも、その戦いに注目が集まった。

 

 そんな中、まず試合を引っ張ったのは土浦日本大。陳岡、鍋田のアウトサイドを軸にバランス良く得点。対する実践学園も徐々にエンジンが掛かり、1Q終盤には⑧山口浩太郎の連続3Pで同点に。続く2Qでも互いに一歩も譲らず、実戦学園のわずか2点リードで前半を折り返した。

 

 試合が動いたのは後半開始早々の実践学園の連続8得点のランから。この間、土浦日本大の足が完全に止まり、この時点で最大の11点差が付いた場面で佐藤信長コーチ(土浦日本大)はたまらずタイムアウト。「ああいう場面は我慢するしかない。そこですべて守ろうとして逆に相手の攻撃を分散させてしまった」(佐藤コーチ)と負のスパイラルにハマってしまったのだ。

 

反撃の起点となった④陳岡(土浦日本大)

 

 

 しかし、試合の行方が見えたかに思われた4Qに土浦日本大が息を吹き返す。開始早々、陳岡の連続6得点で点差を詰め、残り4分の時点で点差は1桁。実戦学園に悪い流れが立ち込める中、そのムードを一蹴したのは1年生の新井だった。昨年の全中で大暴れしたスコアラーは「勝ちたい気持ちが先行しました。絶対に決め切る」(新井)と右コーナーからタフな3Pをヒット。リードを2桁に押し戻し、チームの危機を救って見せたのだ。

 

 結果的にはこの1本が勝利を手繰り寄せる上で大きな一弾となり、最後まで食い下がる土浦日本大を69対63で振り切った。この勝利により、実戦学園は関東新人のリベンジを果たすとともに今大会初優勝。

 

関東大会初優勝に沸く実践学園の選手たち

 

 

 高瀬俊也コーチは「終盤はドキドキしましたよ。江原もファウルアウトしてしまったので。あの場面はタイムアウトを取ってもよかったのですが、逆に相手に考える時間を与えてしまうと思い、我慢しました」と試合終盤の心境を振り返った。エースとしての役割を全うした江原は「ディフェンスとリバウンドを頑張って、自分たちのペースで試合を進められました。リベンジもできて本当にうれしいです」と満面の笑みを浮かべた。

 

 

 また、Bブロックでは神奈川5位から躍動した東海大付相模が文星芸大附(栃木2位)を105対78と圧倒。小柄なチームながら、身体能力と体の強さを武器にガードからセンターまですべてのポジションの選手がリバウンドに飛び込み、フィジカルなゲームを展開。攻めては⑮御林の25得点を筆頭にスターターの5人全員が2桁得点を記録するバランスの良いオフェンスでBブロックを制した。「このチームには中学時代に県選抜などに選ばれた選手はほとんどいません。そこから育て上げてきたので、この優勝がチームにとって一番の栄養です。大きな自信につながりました」と原田政和コーチ。

 

東海大付相模はフィジカルの強さで文星芸大附を圧倒

 

 

 出場全32チームがインターハイ予選を前に多くの収穫と課題を持ち帰り、大会を後にした。

 

 

(月刊バスケットボール)



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