月刊バスケットボール8月号

Bリーグ

2019.05.17

【WEB限定スペシャルコラム】竹内譲次 ―変化の1年―

 アルバルク東京(以下、A東京)が連覇を成し遂げ、Bリーグ2018-19シーズンは幕を下ろした。激戦から2日後の5月13日に都内某所にて行われたA東京の祝賀会の取材をした際、竹内譲次に話をうかがうことができた。
 アルバルク東京(以下、A東京)が連覇を成し遂げ、Bリーグ2018-19シーズンは幕を下ろした。激戦から2日後の5月13日に都内某所にて行われたA東京の祝賀会の取材をした際、竹内譲次に話をうかがうことができた。

 

 まず口にしたのは、対戦相手の千葉ジェッツ(以下、千葉)について。「今回のファイナルでは僕たちはチャレンジャーとして戦いました。千葉の底力を感じた試合でした」と語り、千葉への敬意を表した上で、「そのチームに勝ち切ったことはチャンピオンシップを通して結束力や単純なチームとしての実力が磨かれたからこそ」と自分たちへも高評価を与えていた。

 

 昨シーズンまでのレギュレーションでは、出場可能な外国籍選手の人数は4つのクォーターで合計6人(1Q最大2人)。それは試合中の4分の2は外国籍選手が1人ということであり、試合の半分近くの時間帯で竹内の“高さのアドバンテージ”があった。

 

 

 しかし、今シーズンはオン・ザ・コートルールの改定に伴い、全てのクォーターで外国籍選手が2人コートに立つことが可能に。帰化選手を有するクラブに関しては事実上、オン・ザ・コート3を実践することができた。このルール改定はA東京にとっては良い知らせとは言い難い。これまで多くのクラブに対して差を生み出していた高さのアドバンテージが弱まったからだ。

 

「これまでももちろん大変でしたが、より気が抜けなくなりました。(相手の外国籍選手に)やられた試合も多かったし、その影響で自分自身も波に乗れない試合がありました」と竹内自身もその対応に苦戦した。難しい時間を過ごす中でもルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは竹内をスターターとして起用し続け、竹内もその期待に応えた。

 

 スタッツ自体は大きなインパクトを残すものではなかったが、数字に残らない部分の活躍は過去3シーズンを通しても最も大きかったように感じられる。実際にファイナルでもフロントコートを形成するアレックス・カーク、ミルコ・ビエリツァと共に千葉の要であるギャビン・エドワーズとマイケル・パーカーをシャットアウト。マッチアップする時間帯が長かったパーカーに対しては僅か6点しか与えなかった。

 

千葉のインサイド陣に果敢に挑んだ

 

「厳しい環境の中で自分が戦える術を模索していました。それが去年との違い。その中で戦い抜くことができたので自信が付きました。いろいろな課題を見つけながらシーズンを過ごせたことは良かった」と試行錯誤してきたシーズンを振り返る。それだけに連覇は竹内にとって、今シーズンの集大成として手にした渾身の勝利だったはずだ。

 

 パヴィチェヴィッチHC体制になって2年目が終了。チームにも『ルカのカルチャー』が浸透し、A東京は攻防ともにより研ぎ澄まされた集団となった。竹内自身もパヴィチェヴィッチHC のリーグ屈指の厳しい練習やBリーグのタイトな試合スケジュール、日本代表での活動を重ねる中でさらに一皮むけた。

 

 年々激しさを増すBリーグで、34歳のベテランは貪欲に成長する道を模索していく。

 

(月刊バスケットボール)



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