月刊バスケットボール5月号

FIBA幹部が日本のオリンピック出場に言及! バスケ推進協議会には怒りをあらわに

  JBAは成功例と取組を高評価 3月末の朗報に期待を   12月16日、都内の日本バスケットボール協会(JBA)において、「ジャパン2024タスクフォース(以下タスクフォース)」の会見が行われた。タスクフォースは2014年11月に国際バスケットボール連盟(FIBA)により、資格停止処分の制裁を受けることになったJBAの組織改革のために立ち上げられたプロジェクトチームで、川淵三郎氏(現JBAエグゼクティブアドバイザー)、インゴ・ヴァイス氏(現FIBAエグゼクティブコミッティー・メンバー)をコー・チェアマン(共同議長)として、2015年1月28日に第一回の会合を開催した。以後、日本バスケットボール界の改革の方向性を定め、2015年8月にFIBAの資格停止処分解除に導いた。これをきっかけに、国内に2つ存在したトップリーグが、Bリーグとして一つにまとまり、JBAの組織改革も行われていったのである。<続きを読む> 今回行われたタスクフォースの会見の趣旨は2つあった。まずは良いニュースからお伝えすると、ヴァイス氏は現在のJBAの取組について「JBA、Bリーグがこれまで行ってきた改革は、グッドガバナンスの一言に尽きます」と、Bリーグの観客動員数の増加や、JBA公認指導者ライセンス保有者、レフェリー資格保有者の増加などを例に挙げて高い評価を与えた。「FIBAのセントラルボード(中央理事会)でも、JBAの改革は成功例として話題になる」という。その上で、2019年3月29日、30日に開催されるFIBAセントラルボードにて、2020年オリンピックにおける開催国枠による日本の出場について検討されることを明かした。そして、あくまでも個人的な見解として「朗報を期待していいのでは」とコメント。特に女子については「何の問題もない」と付け加えた。     JBICの行動には「黙っていろ!」  

しかし、会見で最も時間を割かれたのは上記の話題ではなく、会見の冒頭あいさつで川淵氏が「日本のバスケ界には、まだ不安なところがある」と指摘したことであった。   「日本のバスケット界には問題があり、不満があるので調査して欲しいという要望書がFIBAに届いた」ということについての報告だ。送り主は「日本バスケットボール推進協議会(JBIC)」であり、元オリンピック選手、監督らで構成された一般社団法人である。これに対し川淵氏は「現実とかけ離れた、内容を理解していない批判ばかりでした。日本のバスケット界は、そういうことを過去にずっと続けていたからこそ、FIBAのタスクフォースができるような混乱を起こしたわけです。その反省がなく、よくこんなことが言える」と怒り心頭。週刊誌報道もされたように、一部のJBA評議員もこうした反体制的な動きに呼応していることから「過去の理事会や、評議員会の議事録を見ても、ずっと同じことを繰り返してきている」と、いまだくすぶるバスケットボール界の足の引っ張り合いこそ、不安な部分としたのだ。<続きを読む> FIBAのヴァイス氏はEメールで届いたというこの書面を「傍若無人、慇懃無礼」とし、「同じテーブルで対話するつもりがないなら『黙っていろ!』と言いたい」と語気を強めた。というのも、今回の来日に際し、同席のスコット・ダーウィン氏(タスクフォース・ワーキンググループ)とともにJBICとの会談を申し入れたが、スケジュールが合わないと断られたという。ヴァイス氏はドイツから、ダーウィン氏はオーストラリアからわざわざ来日したにもかかわらずである。   その書面の内容についても、「JBAの運営は貧弱であると書いてありますが、現実は正反対」とJBAが日本バスケットボールの発展に尽力していることを明言。またJBAとBリーグが出資して設立したB.MARKETING(ビーマーケティング)の株主に、民間の電通が名を連ねているのはなぜなのかとの指摘もあったが「FIBAからプロフェッショナルなマーケティング会社と連携するようにアドバイスした」とし、「株式比率も5%であり、問題ない」とむしろ喜ばしい状況であると説明した。さらに2014年12月に、当時FIBA事務総長を務めていたパトリック・バウマン氏(2018年10月に急逝)とともに、「五輪会(JBICの前身団体)」の幹部と面会したことを明かし「彼らの考えはモントオールや東京のオリンピックで止まっているようだった」と振り返った。これから改革をしなければならないというときに「新しいJBAの中で、なんらかの役職に就きたい」と言われ、愕然としたことを覚えているという。   今回の記者会見はFIBAからの要請で開かれた。ヴァイス氏はFIBAを代表し「ポジティブな発展を遂げているJBAに対し、このような誹謗中傷はあり得ないと皆さんにお伝えしたかった」と語ったことからも、現体制への支持とともに、JBICをはじめとする反体制的な動きに対し、警告を発することが目的だったと受け取れる。   JBICの幹部に名を連ねる方々は、選手として、指導者として、日本のバスケットボール界を支えてきた方々である。だからこそFIBAとしても敬意を払い、会談を申し入れたのだろう。それに応えることなく同様の行動が続くようであれば、誹謗中傷のそしりは免れない。そして、日本バスケットボール界の益を損ねかねないのである。   (月刊バスケットボール/飯田康二)

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