月刊バスケットボール5月号

【能代カップ2018】現地レポート5/5「中部大第一の予期せぬ化学反応」

大会最終日を迎えた能代カップ。第3試合、中部大第一がホストチームの能代工を96-72で下し、その瞬間に全勝優勝が決まった。2年連続2回目の出場にして、初の偉業である。  
大会最終日を迎えた能代カップ。第3試合、中部大第一がホストチームの能代工を96-72で下し、その瞬間に全勝優勝が決まった。2年連続2回目の出場にして、初の偉業である。   中部大第一は大会初日に洛南を下し、2日目は市船橋と明成、そして3日目は福岡大附大濠、能代工といった名だたる強豪を次々と撃破。「1試合ずつチームの調子が良くなっていきました。特に普段から追求してきたディフェンスに関しては、ある程度は合格点を与えられると思います」と、常田コーチは3日間を振り返る。  

昨年より外角シュートが安定し、速攻でも得点を重ねた⑥青木   中でも転機となったのが、「初戦を勝つか落とすかで、その後の戦い方も変わってくると思っていました」と、照準を当てていた初日の洛南戦だ。   この試合、序盤が硬かった中部大第一は、ベンチメンバーの活躍で何とか逆転勝利を収める内容だった。勝利したもののチーム状況はあまり良くなく、その日の夜、常田コーチはフラストレーションを抱えた留学生たちと、長い時間話し合ったと言う。そうして、彼らの意見も取り入れながら改めて自分たちのバスケットを見直し、翌日スターターのオーダーを変更。具体的には、これまで基本的にセットで起用してきた⑧ブバカーと⑦小澤、⑮バトゥマニと⑫深田という組み合わせをシャッフルし、試合で試してみた。   するとこれが、予期せぬ化学反応を起こした。スターターのサイズを落とすことになったが、その分、機動力が高まり、ディフェンスからブレイクの形でリズムよく得点を重ねられるように。そしてベンチから出る選手たちもその流れを崩さず、それぞれの持ち味を発揮したのだ。
“雨降って地固まる”という言葉があるように、トラブルを乗り越えようと試行錯誤する中で、結果的には選手起用のバリエーションを増やし、チームの層をより厚くした中部大第一。常田コーチは「僕の固定概念だけでやっていれば、こういう形は見出せませんでした。留学生たちにも言ったのですが、『お前が俺にプレゼントをくれたんだ』と。いろいろうまくいかないこともありましたが、考え方を変えるきっかけになりました」と言う。   春先から、④中村の代表活動や⑥矢澤のケガなどでなかなかメンバーが揃わず、交歓大会や練習試合を戦っても自分たちの力は未知数だった。だが今大会、ようやくメンバーがそろい、しかも“全勝優勝”という結果で自分たちの力を確かめることができたことは大きい。この能代カップで得た手応えと収穫を胸に、この夏、地元・愛知県で開催されるインターハイで、目指すは初の全国制覇だ。  

  ※詳しくは能代カップWEBページへ。 https://ncup.snowland.net/2018/   (月刊バスケットボール)

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