月刊バスケットボール8月号

渡嘉敷来夢の“今の想い” Vol.2

2018シーズンはWNBAでプレーせず、日本代表活動に専念することを発表した日本のエースである渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)。前回(Vol.1)では、その経緯や理由を聞いたが、Vol.2では9月末に控える女子ワールドカップに向けての意気込みや2020年に開催される東京オリンピックに向けての想い紹介する。  

今の想いをしっかりとした口調で語った渡嘉敷   あっという間に終わった4年前の世界大会 「今年は世界に自分を売り込んでいきたい」   ――女子ワールドカップには前回大会(当時大会名は女子世界選手権大会)にも出場しましたが、結果は予選敗退(3敗全敗)でした。   (スペインなど強豪国が多く)予選が厳しい組ではありましたけど、あっという間に負けて終わりましたね…。だから、今はあのときのことを聞かれても思い出せないぐらい(笑)。個人的には“世界デビュー”の大会でしたが、…ビミョー(笑)。    ただ、あのときの経験から『見返したい』という気持ちが芽生え、それが(翌年に優勝した)アジア選手権やリオデジャネイロ・オリンピック(ベスト8)につながったと思います。ですから、今年はもう一度女子ワールドカップで挑戦したいし、世界に自分を売り込んでいきたい。やっぱりアメリカと対戦したいですね。   ――女子ワールドカップではもちろん、メダル獲得を目指すと。    ここで獲っておかないと。それには選手全員が同じ気持ちになることも必要だと思います。全員が『女子ワールドカップに出たい』『オリンピックに出たい』という気持ちでやっているか。全員がそういう気持ちで取り組んでいけたら、メダルも取れるのではないかと考えています。
    ――その女子ワールドカップの組み合わせも決まりました(スペイン、ベルギー、プエルトリコと予選で同組)    ベルギーには、私と同じで今年はWNBAでプレーせず代表活動に専念する エマ(Emma Meesseman)がいます。おそらく、女子ワールドカップでは、彼女とマッチアップすると思います。    彼女はワシントン・ミスティックス(WNBA)でもスタートで出るぐらいの実力で、3Pシュートからドライブ、ローポストもできる選手。私自身のプレータイムが少ないながらにWNBAで何度かマッチアップしましたが、私にとって印象は悪い(笑)。結構やられているので、ここで一発やり返したいなと。    相手は『シアトルの渡嘉敷。大丈夫でしょ』と思っていると思います。逆に私は彼女のことを“うまい”と思っている。だからこそ、個人的にはWNBAでインパクトを残せていない分、女子ワールドカップでの対戦が楽しみですね。   ――インタビュー序盤に“世界の渡嘉敷”になりたいと言っていましたが(Vol.1)、今の話を聞くとすでに“世界の渡嘉敷”だと感じてしまいますが…。    いや、違いますよ。まだまだです。   ――基準としてはFIBAから『Happy Birthday』のツイッターを…。 ※FIBAは世界のトップ選手の誕生日には、それを祝うツイートをしている。    されたい! よし、されるようになろう! ただ、同じ誕生日にはダイアナ(タウラシ)、マヤ(ムーア)もいるからなぁ[いずれもアメリカ代表の主力]。WNBAなどアメリカのSNSでもまずはあの2人についてのツイート。私はその後、オマケみたいにちょびっと出る感じなんですよ(笑)。
   

今秋開催される女子W杯・予選の組み合わせ     今年の代表活動と女子ワールドカップを踏まえて 見据える先は「オリンピックでメダルがほしい!」   ――2度目の女子ワールドカップ、(昨シーズンまでJX-ENEOSのヘッドコーチなどを務めていた)トム・ホーバスヘッドコーチと一緒に戦うことも楽しみですね。    私は『トムの期待には応えられる』という自信があります。トムの練習はしんどいとは思うけれど、それぐらいしないとメダルは取れない。積極的に自分の考えやトムの考えを周りに伝えていきたいですね。    それこそ、トムと私は出会った頃から『(世界大会の)メダルがほしい』と言っていたので、トムの想いを代弁できるかなと。私たちは出会いが『メダル獲ろうね』から始まっていますから。そういったトムの気持ちに応えたいですよね。それがトムへの恩返しになるとも思っているので。    トムはハッキリしていて(要求を満たさず)ダメだったときは試合で使わない。(要求に応えられるように)頑張りなさいというスタンスです。だから選手は常に気を抜けない環境にいるのですが、私はそれが結構好き。そういう方が甘えることできないので。私がこうしてトムを信頼してしたっていても、ダメだと判断されたら切られる。そういう危機感を持っていられるのがいいですね。   ――久しぶりの代表活動も楽しみなのでは?    日本代表候補に選ばれたら、きっと代表活動の全日程に参加できると思います。2020年の東京オリンピックに向けての準備と考えたら、いろんな選手のことを知りたいし、逆に周りからも自分を知ってもらいたいと思っているので、そこも楽しみですね。今の代表チームは、新加入の選手も多く、一緒に戦ったことのある選手が少なくなっていますから。   ――今秋の女子ワールドカップ、そして2年後の東京オリンピック、気合いが入りますね!    だってメダルがほしいですもん! 平昌オリンピックをテレビで見ながら、『あー、メダルほしい!』って言っていました(笑)。アジアカップの金メダルはありますけど、世界大会、オリンピックのメダルがほしいんです!    

現在はJX-ENEOSの主軸としてWリーグ10連覇に向けて奮闘中   (月刊バスケットボール編集部)

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