月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2017.12.16

アグレッシブな攻防で流れを変えるA東京の元気印

東地区1位のA東京は、11月以降に勝利を重ね、調子が上向きつつある栃木をホーム・アリーナ立川立飛で迎えた。順位としては東地区1位と6位の対戦となったが、ここ最近の栃木の状態と実力を考えれば、順位は関係ないと言ってもいい。 試合が始まっても立ち上がりからきっ抗した展開になり、A東京は#53カークのダンク、#15竹内の3Pシュートに、栃木は#13ボーズマンの得点で応戦。その後はA東京が離しても、ゾーンとマンツーマンのチェンジングディフェンスで好機を見いだす栃木が追い付く展開に。 しかし4QはA東京#31ウィリアムズとここまでアシストに徹していた#24田中がギアを入れ、栃木に一気を突き放した。 終盤はオフェンスが機能したA東京だが、試合を通してディフェンスがさえ渡り、全クォーターで栃木を10点台に抑えた。パビチェヴィッチヘッドコーチも、「勝因はディフェンス。ディフェンスで我々は主導権を握れました」と振り返る。  

  そしてパビチェヴィッチヘッドコーチ同様、「久しぶりに自分のディフェンスができました」と手応えを得ていたのが#1小島だ。 小島は攻防ともにアグレッシブなプレーが持ち味で、昨シーズンは京都でスターターとして活躍。今シーズンは、「最高の環境で自分を高めたい」とA東京に移籍した。 しかし、開幕直前に負傷で戦線を離脱。昨シーズンは半月板を損傷するなど、大学時代からケガの多さがたまにキズ。特に今回は移籍直後だったこともあって焦りがあり、復帰後もタレント集団の中、自分の“居場所”を探し続けていた。その心の持ちようが持ち前のディフェンスでも悪い方向に表れ、「ディフェンスに迷いがありました」と言う。 ただ、徐々に試合の感覚やチームのシステムに慣れるとアグレッシブな攻防が見られるようになり、何よりも「このチームでは根本的に自信を持って出ないとチームに貢献ができません」と強豪クラブにいるという自覚が、小島のプレーの質を変えていった。   この試合では5得点、3リバウンド、5アシストに加え、2スティール。そうした数字よりも、相手が誰であろうとファウルを辞さないディフェンスを見せたことが印象的だ。栃木の#0田臥、#46生原といったガード陣が、小島のディフェンスを前に何度苦しい表情を見せただろうか。そうしたディフェンスを踏まえ、「今日は良かったです」とようやく居場所を見付けた様子だ。   元々明るい性格で、チームを盛り上げる存在でもある小島。コート上の積極性を含め、経験豊富なA東京の中で“起爆剤”になっていることは間違いない。

  (月刊バスケットボール)

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