月刊バスケットボール5月号

【南東北インターハイ記者の目】決勝の見どころ

大会5日目を迎えた南東北インターハイは、いよいよ準決勝が行われた。先に行われた女子は、大阪桐蔭に快勝した岐阜女と、明星学園との接戦を制した桜花学園が決勝へとコマを進め、決勝戦は3年連続の同カードに。また、男子は第1シードの福岡第一を下した明成、そして帝京長岡との四度のオーバータイムを制した福岡大附大濠が決勝へと進出。3年前のインターハイ決勝の再戦となった。 激闘だった準決勝の模様は、8月25日発売の『月刊バスケットボール10月号』でたっぷりとお伝えするとして、ここでは決勝の見どころを紹介しよう。  

■女子決勝 岐阜女(岐阜)vs.桜花学園(愛知) 2015年以降、インターハイ&ウインターカップの決勝は常にこのカードとなっており、今や“2強”と呼ばれる東海地区のライバルチームが今年も激突。ただ、これまでの年は東海大会等の対戦を見ても桜花学園に分があったが、今年は東海新人、東海大会といずれも岐阜女が優勝しており、今シーズン公式戦では岐阜女に一度も勝てていない桜花学園が、チャレンジャーとして挑むところに例年との違いがある。 岐阜女のエースは、毎試合で大量得点を挙げる⑦クンバ。絶対的な高さと身体能力を生かしてインサイドでコツコツと得点を挙げるだけでなく、ディフェンスも上達してファウルをしないで守るため、ほぼフル出場でゴール下に君臨する。またキャプテンの④石坂も、3Pシュートやドライブをここぞという場面で決める第二の得点源。これにガードの⑤池田やエースキラー⑥木下が脇を固め、4番ポジションの⑩江田がリバウンドに絡んでくる。 一方の桜花学園も、ディフェンシブなチーム。特に準々決勝では、高いオフェンス力を誇る関東1位の東京成徳大を54-83でシャットアウトし、ディフェンスから勝機をつかんだ。オフェンスでは、1年生の頃からスタメンPGを務めてきたキャプテン④山本が起点に。山本は得点やアシストだけでなく、統率力や勝負強さも兼ね備え、高校界では抜きん出た必見のプレイヤーだ。また、きれいなシュートやドライブで攻める⑦藤本にも、エースとしての活躍に期待したい。そしてカギを握るのが⑥出原&⑧伊森。クンバ相手にリバウンドをきっちり押さえ、ディフェンスでもどこまで体を張れるかが、勝負を大きく動かしそうだ。なお、ノーシードから勝ち上がってきた桜花学園は岐阜女より1試合多く戦っており、準決勝も明星学園に手こずるなど、体力的な疲弊も気になるところだが、桜花学園もそれは大会前から覚悟の上。大会6連覇が懸かる女王のプライドが、試合をきっと面白くするはずだ。

  ■男子決勝 明成(宮城)vs.福岡大附大濠(福岡) いずれも全国優勝経験多数の、名門対決となった男子決勝。現役生が入学する前年ではあるが、2014年のインターハイ決勝と同カードになった。 東北1位の明成は、昨年から試合経験を積んできた3年生が主軸。特にセンターの⑧八村は、得点&リバウンドで毎試合ダブル・ダブルの数字を残し、頼もしい存在として活躍している。春はファウルがかさんで退場する試合が多かったが、今大会は相手のフェイクにも簡単には引っかからず、ブロックショットのタイミングもうまく合わせてきている。福岡大附大濠戦では同じ梅丘中出身の同級生、⑮井上とのマッチアップが濃厚と見られるが、インサイドで必ずやイニシアティブを握るだろう。また、カギを握るのが⑥相原。荒削りでプレイにムラはあるものの、時おり見せる力強いリバウンドやドライブは必ずやチームを勢い付けるはず。これに⑤塚本のドライブや⑩田中、⑫本間の3Pシュートが続けば、自ずと頂点は見えてくるだろう。 一方、福岡大附大濠の要は、プレイでも精神面でもチームを引っ張るキャプテンの④永野と⑬中田の2ガードだ。2年生の中田は高校生で唯一U19日本代表に選ばれた逸材で、常に仲間に気を配るすばらしいリーダーシップの持ち主。彼がコートにいるのといないとでは別のチームのようになるほど影響力があり、決勝の大舞台でも活躍が期待される。また、準決勝で勝利の立て役者となったルーキー⑭横地も勢いに乗っており、センター⑮井上の高さも明成にとっては厄介だ。主力選手に、4度のオーバータイムにもつれた準決勝の疲れはもちろんあるだろうが、層の厚い福岡大附大濠はベンチメンバーがカバーするはず。今年の福岡大附大濠は皆がコミュニケーションを取り、非常に雰囲気が良い。チーム一丸となり、総力戦で挑みたいところだ。 (月刊バスケットボール編集部)

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