月刊バスケットボール5月号

【中国インターハイ2016記者の目】優勝へのファクター

伝統校の敗戦、新興勢力の台頭、東北勢の躍進。 群雄割拠らしい大会となった今年のインターハイも、明日で最終日を迎える。 ファイナリストとなったのは、福島南、山形南と東北勢の粘りを退けた東山と福岡第一。 試合によっては苦しい時間帯こそあったが、ここまでの試合運びは盤石そのもの。 先制、中押し、ダメ押しと相手の幾度も引き離す力があり、様々なチームの挑戦を退けてきた。 互いに留学生が在籍しているが、日本人選手が主軸となり、チーム一丸で戦うスタイルも印象的だ。 その中でも東山は④岡田、⑧藤澤、⑨パトリック、福岡第一は④重富周希、⑤友希、⑦ジョナサン、⑫蔡が攻防の中心なるが、勝敗のカギを握るのはそれ以外の選手たち。 脇役と言ったら失礼だが、彼らの献身的な活躍があってこそ、ここまで勝ち上がってきたと言っても過言ではない。  

東山の大澤コーチが「こだわってきた2人、チームの土台」と話す⑤山内、⑥松本。 山内はチーム一のディフェンダーで、北陸学院戦は⑫大倉に次ぐ得点源の⑦高田、福島南戦はドライブが得意な⑥木口を苦しめた。 また岡田とパトリックにディフェンスが寄るとコーナーからピシャリと沈められるシュート力も誇る。 そして松本はリバウンドの貢献度が高く、どんな苦しいときでもリバウンドに絡み、チャンスを見出していく。 リング下やミドルシュートなど打つ本数は少ないが、要所の活躍でチームに勢いを付ける。  

福岡第一も同様に数字に現れない活躍を見せる、⑧土居の存在は大きい。 身体能力が高く、フィジカルの強さも生かし、開志国際戦は⑤西村をディフェンスで徹底的に抑え、準決勝でも山形南⑤斉藤に思うような仕事をさせなかった。 「このチームでは自分はディフェンスとリバウンドを頑張りたい」と話し、献身的な働きでチームを助ける。   28メートル×15メートルという狭いコートで、5人で戦うバスケットはどうしても数字で評価されがちだ。 だが狭いからこそ欠けていい選手は一人もおらず、5人がそれぞれの役割を果たしてこそ、チームの強さにつながる。 今大会は全員バスケットを展開するチームこそ上位に勝ち進んだ傾向があり、その集大成が東山vs福岡第一の決勝戦。 男子決勝は11時40分に運命のティップオフを迎える。 (月刊バスケットボール編集部)

PICK UP