月刊バスケットボール5月号

【中国インターハイ2016記者の目】痛感したベスト4の壁

    “男女そろって日本一”   そんな高い目標を大会前から掲げていたのは、新潟県代表の開志国際高校だ。今年で創部3年目ながらメキメキと頭角を現し、今大会は男女ともにベスト8に進出。だが、今日行われた準々決勝で男子は福岡第一、女子は札幌山の手にそれぞれ敗れ、掲げていた目標は叶わなかった。   男女でベスト8に入ったことだけでも、端から見れば立派な成績だが、当の選手たちは全くその結果に満足していない。試合後はがっくりと肩を落として、うなだれていた。   特に三度目のインターハイとなった女子は、過去の最高成績がベスト16。今年、三度目の正直でその壁を初めて乗り越え、勢いそのままにと、頂点だけを見据えていた。だが、「全国は、甘い世界ではありませんでした」と伊藤コーチ。   いつもなら強みになるインサイドでは、札幌山の手の#4栗林(188cm)を止められず、中のディフェンスを固めれば、#6池田らにアウトサイドから気持ち良く決められた。逆に、大黒柱の#15ソカナは退場に追いやられ、大事な得点源の#5中島は最後までシュートに当たりが来ず4得点。それでもディフェンスで意地を見せて接戦に持ち込んだが、最後は68-74で力尽きた。   体育館を出たところの廊下で、しばらく悔し涙が止まらなかった選手がいる。3年生の#12船生晴香だ。司令塔を担う船生(晴)は、自らも果敢に攻め込み16得点を挙げるなど良い働きをしていたが、後半の途中で膝を痛めてベンチへ。その後再びコートに戻ってきたが、思うようなプレイはできなかった。   「最後のインターハイだったので、痛くても出たいと思って出させてもらったのですが、その後何もできなくて……。みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と船生(晴)。   また、プレイ以外での反省点もある。「正直、勝てば桜花学園に当たるので、そのことも頭にありました。だから力を発揮できなかったのかもしれません」   頂点を目指しながら、目の前の試合に集中すること。口で言うのは簡単だが、分かっていても難しいものだ。ベスト4の壁は、手の届かない高さではなかったものの、簡単に越えさせてくれるものではなかった。   ただ、今大会で大きな収穫もある。昨年までずっと課題だった選手層の厚さについては、控えから出た#7中村や#9生野が、全国の舞台でも存分に力を出せることを証明した。それは冬につながる大きな好材料だ。   こうして、ベスト8で大会を終えた開志国際。チーム最高成績ながら、その結果に満足している者は一人もいない。点差以上に、自分たちに足りないものを痛感させられた敗戦だったからだ。しかし、落ち込んでいる暇はない。「選手たちは頑張りました。ただ、頑張るだけではこの上には行けない。戦術、個々の技術、判断力…僕自身も含めて、もっと磨かなければいけません」と伊藤コーチは強い決意を見せる。   冬のウインターカップは、何もないところからスタートした1期生たちの集大成を見せる場だ。次の戦いに向けた日々は、早くも始まっている。     (月刊バスケットボール編集部)        

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