【インタビュー】加藤 三彦氏(元能代工高監督)が”9冠時代”を例に語る 「相手との差を付けるオフェンス」と「選手間のコンビネーションの作り方」とは?③
【スペシャルインタビュー③
“田臥・菊地・若月”というトリオを擁し、高校3年間で9冠という前人未到の記録を打ち立てた能代工高。その時代に監督を務めたのが加藤 三彦氏(西武文理大監督)だ。彼らが入学して何が変わったのか、相手に差を付けるためにどのようなプレーをしたのか、3人によるコンビネーションがどのようにして作られたのか…今だからこそ、全てを明かしてもらおう。そして、それを現在のバスケットボールに置き換え、チーム作りに役立つフィロソフィーとは何かを加藤氏は語った。
リバウンドを取って走る…など、
良いプレーを2つ続ける習慣を付けたい
【『1つのプレーで2つの良いことをする』ことが相手との差を付ける】
※②の続き
――18時に練習が終わり、その後は選手たちが自主的に練習をしていたのですか?
「彼らは20時ぐらいまで好きにやっていましたね。ウェイトトレーニングしたり、シュートしたり、1対1をやったり…その時間が“自分たちの練習”という意識が強かったです」
――それが内発的動機(内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機付けられている状態)ということになりますね。
「皆さんはチームでの練習時間が長いのではないでしょうか。チームとしての時間よりも、個々の選手の時間をいかに作ってあげられるかということが重要な要素になるかもしれません。『自分がどうなりたいのか?』というものに対して、チームにはある一線を超えることでユニフォームを着られるとか、試合に出られるなどといった目標が明確にあったからだと思います。そういう環境がある明成高や福岡第一高などは強いのです。その環境を作るのがコーチの役目なのではないでしょうか」
――話を少し元に戻します(笑)。 コンビネーションを作る上で最も気を遣ったことは何でしょうか?
「個々の選手にある特性と、その見極めです。あとは、個々の選手が何にこだわりを持っているのか、などですね」
――それから、『1つのプレーで2つの良いことをする』という話がありましたが、詳しく教えてください。
「それが相手との点差が開く要素です。1つは相手チームも頑張るので、こちらが1つ頑張っても1対1ですが、2つ頑張ることによって状況は2対1になります。これはとても大切なことだと思っています。BリーグやNBAでも言葉にはしませんが、選手自身が分かっているから続けるのではないでしょうか。厳しい状況でリバウンドを取り、アウトレットパスを出して、そこから全力で走るというようなことを指しています。 『休みたいな』と自分でタイムアウトを取る前に、相手チームがタイムアウトを取ってくれる…能代工高時代、田臥たちがすごかったのはタイムアウトを取った記憶がないことですね(笑)」
――タイムアウトを見た記憶もないです(笑)。
「悪い状況のときは、タイムアウトではなく選手交代から手を付ける。だからこそ6、7番手の選手が重要になってくるのです」
――選手たちが作ってきたコンビネーションがあり、それは自分たちの特性を理解した上で作られたもの。当然、相手の特性をも理解して使っているからということですか?
「選手たちは練習や試合での成功体験で、その部分を分かっていたと思います。こういうものを数多く積み重ねている選手が“良い選手”なのです」
※④へ続く
『加藤 三彦氏が“コンビネーションの作り方”と“相手との差を付けるオフェンス”などを伝授!』
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