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2021/04/22

新時代の扉を開ける渡邊雄太(ラプターズ)

日本時間4月22日の対ネッツ戦は渡邊にとって本契約後最初の試合となる(写真をクリックすると前日の練習後インタビュー映像を見られます)

 

 4月19日にトロント・ラプターズとのNBA本契約サインを発表した渡邊雄太が、その後最初の試合となる日本時間22日のブルックリン・ネッツとの試合で、新たな時代の扉を開く。

 渡邊にとっては、意欲もプレッシャーも高まり、内面のコントロールが簡単ではないだろうとも思われる状況だ。また、ラプターズはパスカル・シアカム、OGアヌノビー、カイル・ラウリー、フレッド・ヴァンヴリート、ゲイリー・トレントJrらがこぞって戦列に戻り、万全に近いロスターでこの試合に臨むことも、試合前の会見で明らかとなっている。
 前日の会見では渡邊自身は「相手がネッツだからとか、契約が本契約になったこととは一切関係なく、いつもどおりのプレーをしっかりやればどのチーム相手でもある程度のレベルでやれる自信はある」と話しており、内面を心配する見方は老婆心に過ぎないのだろう。今年3月25日に株式会社博報堂DYメディアパートナーズが公表したアスリートイメージ評価調査で、「常にチャレンジ精神を持ち続けているアスリート」の3位に名を連ねた渡邊には、こうした挑戦はまったく動じるような要素ではないのかもしれない(ちなみに同項目のランクは1位が水泳の池江璃花子、2位がフィギュアスケートの羽生結弦、3位の渡邊雄太に続いて4位にはテニスの大坂なおみ、5位にはサッカーの久保建英がランクインしていた)。しかし、実際にコート上で普段の自分でいられるかどうかは、やはり注目すべき大きなポイントではあると思う。

 試合前の会見ではナースHCも、渡邊のパフォーマンスに本契約にサインしたことでのメンタルなブレが生じることはないだろうとの見方を示していた。「そうしたことのほとんどは彼には影響しないことを正直なところ期待しています。私として言えることは、彼は準備できているということです。昨日の練習も良かったし、映像を見たときも集中していたし、今日の午後に行ったウォークスルーでも集中していました」。とのことで、渡邊選手の様子を見た上で心配はあまりしていないようだった。
 直近3試合のいずれ19分以上出場し、いつも通りのディフェンス面での活躍に加えそれぞれで11得点、キャリアハイの21得点、10得点を記録して3連勝に大きく貢献した渡邊を、ナースHCはこの試合でも出場させると明言した。

 少なくとも今シーズン中に関しては、何らかのアクシデントでもない限りは、出場時間を心配する時期は明らかに終わったのだ。「私の計画では…、必ずしもそれに固執するとは限りませんが、彼にはセカンドユニットでそれなりの時間出てもらいたいと思っています。彼がどう対峙するか見たいマッチアップもありますし。それで評価して、彼をテストしたいですね。でも、質問された点が気にかかるのはわかります。一番大きいのはスターターが戻ってくるという点でしょう。プレーヤーがたくさん帰ってきますからね。25分とか28分から29分といった出場時間は半減するかもしれません。だからと言ってそれに意味があるわけではありません。彼はこれまでと同じことをしてくれればよく、懸命にプレーして、チャンスがあれば得点をねらい、そうでなければ頑張り続けるというだけのことです」
 ヘッドコーチの信頼を勝ち取った渡邊のキャリアにおいて、この対ネッツ戦はスタッツ面がどうあれ記憶しておいてよい試合の一つだ。前述の直近3試合は平均14.0得点(フィールドゴール成功率60.9%、3P成功率54.5%、フリースロー成功率88.9%)に4.7リバウンド、2.3アシスト、0.7ブロックという数字を残している。しばらく前の記事でこれからは「驚くべき貢献が日常的に期待できるような存在になる必要がありそうだ」と記したが、これらの数字はまさしくそれそのもの。この日の対ネッツ戦では、ナースHCのコメントを参考にすれば数字は落ちるかもしれないが、プレーメイカーで得点源のカイリー・アービングからビッグマンのディアンドレ・ジョーダンまで、折々マッチアップするだろう相手とエキサイティングな瞬間を生み出してくれることが期待できる。

 新時代の扉が「開いた」と過去形にするのはまだ早いのかもしれない。しかしそれがこじ開けられていく瞬間を、渡邊は今、見せてくれている。

 

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対ネッツ戦試合前会見でのナースHC。本契約を得たとしても渡邊にメンタルなブレはないだろうと自信を見せていた(写真をクリックするとインタビュー映像を見られます)

 

☆対ネッツ戦試合前会見での月バスドットコムからの質問に対するナースHC自身による英文回答
“Well, I hope that not much of that matters to him, to be honest. I think that from what I could tell he’s prepared well. He was very good in practice yesterday. He was very focused in the film, very focused in the walk-through this afternoon.”
“My plans are as I sit here…, I don’t always stick to these plans. But my plans are as I sit here today that he is in, you know, the second unit with some, you know good minutes. I think there are some interesting match-ups for him to see out there that I do wanna see him match-up with to continue to evaluate…, you know test him and evaluate him on that.”
“But I hear you. All the points you make are legitimate, probably the last one most. There’s a lot more players back, right? And that 28, 25, 28-29 minutes, it’s probably gonna be half of that tonight. It doesn’t mean anything. I think that he needs to just do what he’s been doing. Play really hard, take these shots if they present themselves and if they don’t, keep playing really hard.“

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)


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