月刊バスケットボール8月号

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2021.04.19

【日筑定期戦2021 女子本戦】ルーキーの活躍も光った筑波大が攻防に日体大を上回り快勝!

 2年ぶりに開催された日本体育大(以下、日体大)と筑波大による日筑定期戦。昨年の新型コロナウイルスで開催を中止したことで、今大会に臨む選手たちからは昨年の分も奮闘する姿が見られた。ここでは女子本戦とJr.戦の模様をレポートする!

 

序盤から起用されたルーキーたちが

流れを呼び込む!

 

 女子本戦は試合開始序盤から筑波大がリズムをつかむ。日体大はセンター#6ムボムボ・ムロロ・ファーロの高さを生かしたインサイドとガード陣のペイントアタックを起点に攻めるも、「ボールマンに常にプレッシャーをかけ続けることやセンターの選手への守り方は良くできました。センターに対してはフルフロントで守るのか、それともアンダーで守るのかを使い分けていたんですけど、その部分はよくできていた」と筑波大・#21樺島ほたるが振り返るように、筑波大の硬いディフェンスの前に得点が奪えず。オフェンスでも力強さがある筑波大のフォワード陣がドライブでインサイドを掻き乱し、外で待ち構えるシューターにキックアウト。快調に3Pシュートを射抜き点差を広げると、今春入学したルーキーたちも積極的に起用。

 

筑波大#9荻田は3Pシュート3本を含む13得点

 

 京都精華学園高のエースだった#9荻田美は出場するやいなやインサイドの合わせからファーストポイントを挙げ、2Q終盤にも点差を広げる貴重な3Pシュートをヒット。八雲学園高でキャプテンを務めた#36粟谷真帆もファーロへのディフェンス、リバウンドの部分で大きく貢献し、高校時代から磨いてきたアウトサイドシュートで得点する場面も見られた。昨年のウインターカップで東京成徳大高を準優勝に導いた#0山田葵も、持ち味の積極的なディフェンスと冷静なゲームメイクで4Q終盤まで要所で起用された。

 

冷静なプレーを見せた#0山田は試合終盤でもコートに立った

 

 試合は第1Qで21-15と筑波大がリード。そして試合展開が大きく動いたのは第2Qだった。筑波大がディフェンスの強度を上げ、日体大のドライブインに対しては2線、3線がうまくカバーリング。相手のオフェンスをシャットアウトしている間にペイントタッチからのアウトサイド、インサイドでの合わせなどで加点していき、みるみる点差を拡大。このクォーターでは得点こそ14点に留まったが、ディフェンス面で日体大をわずか4点に抑え込む堅守を披露し、前半を終えて35-19とリズムをつかんで後半へ。

 

日体大のゲームプランを上回った筑波大が快勝

 

 流れを変えたい日体大は第3Q、キャプテンの#18白川万智の3Pシュートでファーストポイントを挙げ、順調な滑り出しかと思われたが、流れを呼び込んだのはまたも筑波大。白川のショットが決まった直後に#19鈴木侑がバスケットカウントを獲得。以降も#52増田泉美、#72出原菜月が起点となってインサイドからスムーズなオフェンスを展開すると、ディフェンスでもオールコートでもキャッチアップや前半から効果的に決まったスイッチディフェンスで日体大のオフェンスを停滞させることに成功。

 

巧みなハンドリングスキルとパススキルで日体大をけん引した#3小野寺

 

 白川は「ダウンやフレアなどのスクリーンを使ったプレーをしていましたが、スクリーンがしっかりとかけ切れていなくて、相手のディフェンスを掻き乱せていなかったのがオフェンスが止まってしまった」と苦しい時間帯を振り返る。攻め手を欠く日体大はショットクロックギリギリでのタフショットも増え、攻防になかなかリズムをつかむことができなかった。終わってみれば3Qまでで61-32と筑波大が大きなリードを取っていた。

 

【関連記事】日筑定期戦2021 男子本戦/第4Qだけで39得点の猛攻を仕掛けた筑波大が日体大を撃破!

 

 4Qこそ日体大も#13安江沙碧梨や#3小野寺佑奈のペイントアタックや3Pシュートで反撃を試みたが、筑波大は最後までディフェンスとリバウンドで安定感を発揮。「今回の日筑戦では『40分間リバウンドを取り切ることをこだわろう』とチームで話して試合に入りました。でも、リバウンドの部分でうまく取りきれなかったというのと、オフェンスリバウンドの面で、(ムボムボ・ムロロ)ファーロを抑えられたときにほかの選手の足が止まってしまった」と白川。終始、日体大のゲームプランを上回った筑波大が最終スコア77-45で新シーズン初勝利を挙げた。

 

 

筑波大のディフェンスが最後まで日体大の前に立ちはだかった

 

筑波大 21|14|26|15|77

日体大 15|4|13|13|45

 

 

【女子Jr.戦】

 

 女子本戦に先立って行われた女子Jr.戦は、序盤からロースコアの大接戦となった。フィジカルの強さに勝る日体大は、力強いドライブでペイントをこじ開けアウトサイドへキックアウトし攻撃の起点を作ると、筑波大も絶妙な合わせから内外にバランスの取れたオフェンスを展開。両チームともにフィニッシュの精度は高くなかったが、お互いのスタイルがはっきりと現れた前半は29-28と日体大が僅かに1点をリードした。

 

 後半も接戦が続くと思われたが、抜け出したのは日体大。#77神宮杏樹のショットクロック間際の3Pシュートで後半をスタートすると、その流れに乗ってアウトサイドが決まり出す。#26赤穂かんなが3P、#15高橋小春がレイアップを沈め、試合開始から約2分半の間に11-3のランを展開しリードを9点に拡大(40-31)。筑波大のピックプレーに対してもロールマンのディフェンスが積極的にスイッチし、打開策を作らせず。53-42で最終クォーターを迎えた。

 

 立て直したい筑波大は日体大のプレッシャーディフェンスに徐々に対応し、終盤には#54長谷川有咲の3Pで3点差(59-56)に詰め寄る猛攻を仕掛けた。しかし、最終盤で筑波大はトラベリングを複数回取られ、逆転のチャンスを失うと、ラストプレーではオールコートプレスで日体大のターンオーバーを誘発するも#18水上七菜美の3Pが外れ万事休す。62-59の好ゲームを日体大が制した。

 

日体大Jr. 15|14|24|19|62

筑波大Jr. 16|12|14|17|59

 

写真/松村健人

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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