月刊バスケットボール8月号

大学

2021.04.26

【大学バスケ始動!】白川万智(日体大)×樺島ほたる(筑波大)の両キャプテンが語る新シーズン

4月18日に日本体育大世田谷キャンパスにて開催された日筑定期戦の本戦終了後に、新シーズンのキャプテン対談を実施。女子キャプテンの日体大・白川万智選手と筑波大・樺島ほたる選手の2人に、試合の振り返りや新チームのカラー、目標を聞いた!

 

左・樺島(筑波大キャプテン)と右・白川(日体大キャプテン)

 

−−まずは試合の振り返りをお願いします。

 

樺島 全体的にチームとしてやろうとしていたことはできたんですけど、40分通してできたかと言われるとそうではありませんでした。気が抜けてしまった部分もあったので、そこはトーナメントで修正できればと思います。具体的にできていたのはボールマンに常にプレッシャーをかけ続けることやセンターの選手への守り方です。フルフロントで守るのか、それともアンダーで守るのかを使い分けていたんですけど、その部分はよくできていたと思います。その反面、日体大はシューターが多くいる中でそれを打たせてしまったという面ではノースリーという約束事を徹底できていませんでした。

 

白川 今回の日筑戦では「40分間リバウンドを取り切ることをこだわろう」とチームで話して試合に入りました。でも、リバウンドの部分でうまく取りきれなかったというのと、オフェンスリバウンドの面で、(ムボムボ・ムロロ)ファーロンを抑えられたときにほかの選手の足が止まってしまったと思います。それにゲームの出だしの部分で硬さが出てしまって、自分たちのプレーがなかなか出せなかったのは反省点です。

 

−−筑波大はセンター陣も含めて複数人でリバウンドをティップして、こぼれたボールをほかの選手が拾う場面が多かったですね。

 

白川 そうですね…。留学生のところに対して2、3人ディフェンスが寄ってきたところで1人に頼ってしまった場面が多かったと思うので、そういう場面ではほかの4人が足を使って一緒にリバウンドに加わっていかなければいけないなと思います。

 

【関連記事】日筑定期戦2021 女子本戦/ルーキーの活躍も光った筑波大が攻防に日体大を上回り快勝!

 

−−試合全体を見ると第2Qと第3Qの攻防が勝敗のポイントだったと思います。筑波大側からすれば20分間で相手を17得点に抑えることができ、日体大側からすれば17得点(筑波大は41得点)しかできなかった要因はそれぞれどんなところでしたか?

 

樺島 私たちは第1Qも立ち上がりがうまく入れて「ディフェンスからのブレイクをこの先も継続していこう」という話をして、それ以降もできたことが流れを渡さなかった要因だったと思います。

 

白川 オフェンスではファーロンのインサイド以外は4アウトのスタイルだったんですけど、4アウトの動きの中でダウンやフレアなどのスクリーンを使ったプレーをしていました。でも、スクリーンがしっかりとかけ切れていなくて、相手のディフェンスを掻き乱せていなかったのがオフェンスが止まってしまった要因だったと思います。それにファーロンにボールが入ったときの筑波大の寄りが早く、そこで潰されてしまった場面が多かったです。本来であれば高さの利で点が取れるところを抑えられてしまったのと、周りの選手の動きも止まって、コーナーと45度の選手の入れ替わりだけの動きになってしまう場面が多かったです。もっとカッティングなどを使いながら攻めていけら良かったのかなと思います。

 

−−日筑定期戦自体が昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまい、2年ぶりの開催でした。キャプテンとして臨む中でどんな思いがありましたか?

 

樺島 今年初の公式戦でもあり、2年ぶりの開催で、4年生としては最後の日筑戦ということもあって…。いろいろな思いが重なった中で「とりあえず楽しもう」っていう思いで臨みました。実際に試合をしてみてすごく楽しかったです。

 

白川 勝ちたいという思いは大きかったので、その分、出だしの部分で日体大らしさというか、自分たちのプレーができていなかったのに悔しさが残ります。ただ、昨年のこの時期はチームとしての活動自体ができていなかったので、そうしたことを考えると開催できたこと自体が率直にうれしかったです。

 

日体大は4年生が土台を築き、下級生が力を上積みしていく

 

−−キャプテンとして戦った日筑定期戦で、お互いの成長を感じた部分はありましたか?

 

樺島 なんでしょうね?(笑) 筑波は上級生が多く試合に出るのですが、万智ちゃん(白川)たちは下級生が多く試合に出ています。その中で下級生が伸び伸びプレーできる雰囲気を作っているように感じました。筑波の後輩たちにももっと伸び伸びプレーしてほしいので、そういう雰囲気を作れているのは良いなって思いました。

 

白川 そう見られているのはうれしいことです。ただ、逆に筑波は上級生がチームをしっかりと引っ張っているチームだと思っています。それを見て、後輩たちの活躍にプラスして私たちも上級生がしっかりと引っ張れるチームになっていきたいなと思いました。

 

樺島 キャプテンになってから大きく意識が変わりました。それはオンコートもオフコートも含めて全てです。後輩たちは4年生の背中を見ているので、常にその子たちの手本でなかればいけないと思っていて、そうでなければ私たちも後輩たちに何も言えません。そういう部分があるので、意識の変化はありますね。

 

白川 それはあります。昨年までよりも声を出してチームを引っ張らないと、という意識でいます。まだまだですが…。私生活のところでも特別見られているという意識はしていないのですが4年生になったからこそ、見られているような感覚はあります。私は高校3年生でもキャプテンをさせてもらったんですけど、プレー面でも考え方の面でも大学と高校では大きく違うと感じています。

 

実力者のルーキーが加わり、個性的なメンバーがそろった筑波大

 

−−今年のチームカラーはどのようなものですか?

 

白川 日体大というと上限関係が厳しいようなイメージがあると思うんですけど、ここ数年ではそういうのを少しずつ少なくしていて、下級生も意見を言えるような雰囲気作りを心掛けています。昨年の先輩の代くらいから少しずつ伝統や文化的な部分を塗り替えていくような、以前よりもさらに伸び伸びと居心地の良い、意見の出しやすい雰囲気は少しずつできているのが今年かなと思います。

 

樺島 自分が4年間いた中でも学年問わず仲良しなチームかなって思います。自由人ばっかりで動物園のような感じです(笑)。筑波って結構、物静かというかそういうイメージだったんですけど、今年は下級生も元気な子が多いなって思いますね。チームとしても1年間戦う中でいろいろな変化があると思うんですけど、そういう変化があっても大丈夫なように自分たちで主体的に行動していこうと話しています。やんちゃなメンバーが多いんですけど全員が大人になって、考え方もみんなが4年生のような考え方を持ているようにいっぱい話をしています。

 

2年生ながら高いスキルで日体大をリードする小野寺佑奈

 

−−日体大は下級生が多いチームで、今回の日筑波戦でもほとんどが3年生以下というメンバー構成でした。そういった中で4年生として見せていきたいプレーはどんなものですか?

 

白川 下級生の活躍に4年生も加わっていくことができれば、私たちがやってきた4年間の思いも乗せることができると思っています。それに下級生が試合に出たときにコートで思う存分暴れられるように4年生が「やってこい!」ってコートに送り出せるような存在になりたいです。思い切ったプレーができるようにサポートしていきたいなって思っています。下級生の活躍に自分たちがさらにプラスアルファをしていきたいです。

 

−−筑波大は今回の日筑戦で新1年生も大いに活躍しました。ルーキーの活躍は樺島選手の目にどのように映りましたか?

樺島 正直、1年生の試合内容についてはびっくりしています(笑)。練習の何倍も動きが良かったんですよ。いつもの練習とは全然違って、この試合を見て「良いじゃん!」って(笑)。何が理由なのか分からないんですけど、今回の試合ではすごく勢いがあって良いプレーが続きました。1年生同士で試合に出る場面も多かったので、そういうところではやりやすかったのかもしれませんね。これからスプリングトーナメントまでの成長が楽しみです。

 

−−オフコートではバスケ部のチームメイトと過ごすことは多いですか?

白川 日体大は全員が寮生活なので、女バス同士でいることもあるんですけど、いろいろな部の子がいるので同じクラスの子や違う部の子たちの関わりも多いですね。女バスの子たちはコートではみんな真面目にプレーしているんですけど、オフコートでは結構おもしろい子もいたり騒いでいたり、オン・オフのメリハリは大きいです。

 

樺島 私たちは日体大のように寮生活ではなくて、一人暮らしの子が多いので、ほかの大学に比べてチームメイトと一緒にいる時間は少ないです。ただ、バスケ部はバスケ部同士で集まりたがるので、逆にほかの部の子たちとは交流が少ないかもしれません。そういうところではすごく仲が良いと思いますね。…うるさいです、良い意味でも(笑)

 

ルーキーの活躍に負けじと3年生の池田沙紀も高パフォーマンスを見せた

 

−−お互いに聞いてみたいことはありますか?

 

樺島 …ファーロンは日本語どれくらい話せるの?

 

白川 えっとね、結構しゃべれるけどペラペラってわけではないかな。でも、会話は普通にできるよ。フランス語が基本だけどね。

 

樺島 試合中に頭に着けていたウィッグが取れたよね(笑)

 

白川 そうそう(笑)。試合によって髪型とかも変わっていて、いつも髪の毛に何か着けるんだよね。でも、練習中はあの髪型じゃなくて、試合のときとかに着けていて多分おしゃれ系の理由なんだろうなって。何で着けているのかは聞いたことないけど、あの髪型は結構チーム内でも「かわいいね〜」って感じで好評だから多分、本人も気に入っているんじゃないかな?(笑)

 日体大は寮生活だから寮内でコミュニケーションを取ることができるんだけど、筑波はどうやってコミュニケーションを取っているの? 授業が始まればお互い時間もバラバラだろうし。

 

樺島 練習時間もそうだし、その後に学年関係なくみんなでご飯を食べたりとか。あとは、ほかのチームよりもチームメイトとコミュニケーションを取る時間が少ないから、練習後とかに練習中の映像をみんなで見るとか、そういうところでコミュニケーションを取るようにはしているかな。でも、そうやったとしてもほかのチームよりも一緒にいる時間は少ないと思うけどね。

 

【関連記事】日筑定期戦2021 男子本戦/第4Qだけで39得点の猛攻を仕掛けた筑波大が日体大を撃破!

 

−−新シーズンになって初めての対戦でしたが、お互いのチームの印象はどうでしたか?

 

白川 筑波はディフェンスがすごく堅くて、リバウンドまでしっかりとヒットしてくるチームだなという印象です。先ほど足が止まったという話をしましたが、ディフェンス力の高さに圧倒されてしまいました。オフェンスでもピックプレーからのずれを作り出すことがうまくて、そういう面の守りづらさも感じていました。

 

樺島 日体は毎年1対1がうまくて、外のシュートも多く打ってきますし、個人の能力が高いなという印象です。

 

−−では最後に、キャプテンとしての1年間の意気込みをお願いします。

 

白川 個人としてはプレーでの課題よりもキャプテンとしてそうあるべきかに課題があります。なので、まずはキャプテンとしてどうあるべきか、どうやってチームをまとめる必要があるか、どう行動で示していこうかというところをいち早く見付けたいと思っています。この課題に前向きに取り組んで、早く本当の意味でチームのキャプテンを託してもらえるようになりたいです。まだ自分自身、そこまでのところに達することができていないので。まずはその位置にたどりついてから、技術的な面の課題に取り組んで、その上で去年の結果を超えたい、優勝したいというチームとしての目標があると思っています。

 

樺島 選手がコーチの次に頼りにするのは、キャプテンである私の言葉だと思っています。だからこそ、自分自身もコーチと同じレベルの考え方を持って、私に発した一言でみんなが納得してくれるような信頼関係をもっと深めていかなければならないです。チームを状況見てどこが課題で、何が足りていないのかを私がしっかりと見て、選手一人一人の状況に合わせるような声掛けをしながらチームが一丸となっていくような働きかけをしないといけないなと思っています。

 

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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