月刊バスケットボール8月号

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2021.04.19

【日筑定期戦2021 男子本戦】第4Qだけで39得点の猛攻を仕掛けた筑波大が日体大を撃破!

 2年ぶりに開催された日本体育大(以下、日体大)と筑波大による日筑定期戦。昨年の新型コロナウイルスで開催を中止したことで、今大会に臨む選手たちからは昨年の分も奮闘する姿が見られた。ここでは男子本戦とJr.戦の模様をレポートする!

 

強力なセカンドユニットがリズムを生み出す

 

 男子本戦は第4Qに猛攻を仕掛けた筑波大が、思わぬ大差で日体大を退けた。

 

 この試合、立ち上がりは日体大の積極的なディフェンスの前に筑波大は思うようにサイズの利を生かせず、逆に日体大は#28井手拓実、#23小川麻斗のツーガードがスピードのミスマッチを生かしてペイント内をかき回し、ディフェンスではこの試合でスターターを務めた#9モンゾンボ・クリスティンがインサイドの門番となって筑波大のシュートタッチを狂わせた。

 

日体大は序盤、#28井手と#23小川のツーガードが機能した

 

 結果、第1Qは12-6で日体大がリード。第2Qもロースコアな展開が続いたが、ここで筑波大を蘇らせたのはセカンドユニットから登場した#11横地聖真と#34三谷桂司朗の2人。三谷は出場するやいなやいきなり3Pシュートをヒットし、横地も三谷に続くように3P、速攻のレイアップと一気に流れを引き寄せた。第2Q残り5分55秒には中田嵩基の長距離砲でこの試合初めてのリードを奪うと、第3Qに一度逆転を許す場面もあったが再び日体大に流れを渡すことはなかった。

 

 

反撃の起点となった筑波大#34三谷はこの試合でチームトップの23得点

 

 試合が大きく動いたのは第3Qの終盤、筑波大がオールコートプレスを仕掛けた場面からだ。「後半のディフェンスでの仕掛けが成功してブレイクから得点につながった場面がいくつかあったと思うのですが、そこで一気にリズムをつかむことができたと感じています。その中でも三谷や横地がブレイクで走ってくれたので良かった」と、筑波大#23半澤凌太が振り返るように、192cmの三谷と横地、197cmの#7浅井修伍らサイズのあるウイング陣が走り、イージーレイアップを演出。ディフェンスでもサイズを武器に日体大の前に立ちはだかった。日体大も小川の3Pなどで反撃を試みるも、流れは徐々に筑波大に傾きかけていた。

 

高さと機動力が爆発力を生んだ筑波大

3年生の浅井修伍に火がつく!

 

 筑波大がリズムを掴みつつある中で迎えた第4Q。結果としてこのクォーターのスコアは筑波大の39得点に対して日体大はわずか15得点だった。筑波大は第3Qでエンジンがかかり始めた浅井がトランジションからのレイアップ、ゴール下の合わせ、フリースローなどで点を伸ばすと3年生の#21笹山陸もベンチからの出場で大きな働きを見せ、連続で3Pシュートをヒット。第3Q終了時点で54-48の6点差だった試合は、わずか2分足らずで64-50と2桁の差が生まれていた。

 

筑波大#7浅井は後半だけで16得点の猛チャージ

 

 笹山の2本目の3Pが決まった残り7分54秒の場面で日体大はたまらずタイムアウトを取ったが、筑波大の勢いは収まらず。「第4Qでスターター5人が交代した時間帯に点差を広げられてしまいました。スターターがコートに戻ってからも悪い流れを断ち切ることができずに、足が止まってしまったことが敗因だったと思います。筑波のオールコートプレスのプレッシャーもうまくいなすことができませんでした」と井手。

 

【関連記事】日筑定期戦2021 女子本戦/ルーキーの活躍も光った筑波大が攻防に日体大を上回り快勝!

 

 前半でも活躍した三谷、横地、笹山のセカンドユニットトリオに加え、第4Qで火がつき10得点を荒稼ぎした浅井の活躍には目を見張るものがあった。浅井は試合終盤に中田からロブパスを直接リングにねじ込み、この試合では三谷の23得点に次ぐ計18得点。そのうち後半の得点は16だった。高さと機動力のある浅井の躍動と前半にリズムを生み出したセカンドユニットの三谷&横地、特別指定選手も経験してよりたくましくなった笹山らが存分持ち味を発揮し、筑波大が93-64のハイスコアで負けられない一戦を制した。

 

筑波大のオールコートプレスが日体大のリズムを乱した

 

 前半で28得点とリズムをつかめなかった筑波大だが、後半は64得点と爆発的な得点力を発揮。一方、敗れた日体大も井手、小川をはじめとしたガード陣の同時起用など、新チームのスタイルが垣間見えた試合となったはずだ。

 

 昨年は新型コロナウイルスの影響で開催を見送るほかなかった日筑戦だが、今大会では小チームの関係者やOB・OG、複数のメディアも会場に足を運び感染対策のガイドラインもきっちりと定められた上での開催となった。

 

筑波大 6|22|26|39|93

日体大 12|13|23|16|64

 

【男子Jr.戦】

 

 男子Jr戦は第1Qは筑波大Jr.が、第2Qは日体大Jr.がリズムをつかみ、前半を終えて日体大Jr.が僅かに2点のリード(29-27)。後半に入っても一進一退の攻防が続いたが、日体大Jr.のディフェンスが徐々に筑波大Jr.の動きを鈍らせていく。32-32の同点の場面から日体大Jr.は#10中山星磨が力強いインサイドムーブから得点すると、その流れに乗るように直後のプレーで筑波大Jr.からターンオーバーを誘発し、ファストブレイクで連続得点。この2つのプレーで11点(43-32)の差を生み出した。

 

 それ以降も日体大Jr.の勢いは止まらず#37永江郁哉の3Pシュートにディフェンスから#18井川響成がワンマン速攻を試みると、それを止めにかかった筑波大Jr.がアンスポールマンライクファウルを宣告されるなど、順調な試合運びを見せた。

 

 結局、第3Qは筑波大Jr.の得点を10点にとどめながら自分たちは22得点を稼ぎ、その勢いを継続した第4Qではさらにギアを一段上げた。#77高山唯斗が力強いドライブからレイアップをねじ込むとディフェンスでも、オールコートでキャッチアップし筑波大Jr.を追い詰める。試合時間残り44.2秒にはベンチに控えていた4年生をコートに送り出す戦いぶりで勝利を手にした。

 

日体大Jr. 11|18|21|27|77

筑波大Jr. 18|9|10|24|61

 

写真/松村健人

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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