月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.23

渡邊雄太所属のラプターズ、プレーオフ争いに向け重要な一戦 - 「今夜は両チームとも這いつくばってでも勝ちたい試合(two teams should be scratching and crawling for a W tonight)」とニック・ナースHC

 

 2月末から新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現在8連敗と低迷しているトロント・ラプターズが、日本時間3月23日(アメリカ時間22日)に、こちらは20連敗中のヒューストン・ロケッツと対戦する。この試合前に、両チームのヘッドコーチが会見に応じた。
ラプターズでは、日本のファンとしては渡邊雄太が登場するかが気になるところだが、現時点ではチームの立て直しを短期間に行い、再びプレーオフを語れる立場に戻ることが一番の重要事項なのは間違いない。この試合を前にして、ラプターズは17勝25敗の成績でイースタンカンファレンス11位。この位置ではプレーオフへのチャンスがつながるプレーイン・トーナメント出場権さえ逃してしまう。渡邊のプレーオフでの活躍を期待する前に、いずれにしてもラプターズが勝ち上がらなければ話にならない。
ラプターズのニック・ナースHCは、そのような状況で行われるロケッツとの試合について「今夜は両チームとも這いつくばってでも勝ちたい試合(two teams should be scratching and crawling for a W tonight)」と話した。「両チームとも連敗脱出に向けてがむしゃらにやり合うことでしょう。また激しい戦いになりますよ」
ラプターズは前の試合までの8連敗を含め直近11試合で1勝10敗。その背景には、冒頭で触れたパンデミックの影響によりナースHCを含むコーチングスタッフ5人と、パスカル・シアカム、フレッド・ヴァンヴリートらが欠場を余儀なくされたことが大きく響いている。また、その直前にはチームのオフェンスを組み立てる役割を果たしていたアシスタントのクリス・フィンチが、ミネソタ・ティンバーウルブズのヘッドコーチに就任するという出来事もあった。
この影響が特に大きく出ているのがディフェンス面だ。コーチ陣の欠場が始まった3月3日の対デトロイト・ピストンズ戦以降、ラプターズの失点はそれまで(110.4)に比べ10ポイント近くも悪化して120.1と言うデータになっている。オフェンスに関しては、その前後の比較は112.9から109.8への3.1という変動。ノーマン・パウエルらの奮闘がシアカムやヴァンヴリートらの欠場でできた穴をほぼ埋めており、フィンチ氏が移籍したことによる「ダメージ」を強く感じさせるデータにはなっていない。
ナースHCもディフェンス面の遂行力をこの日の課題に挙げ、「ラプターズとしてやるべきことにしっかりと的を絞って、ディフェンスでは結束を固め、オフェンスではオープンの味方にしっかりおぜん立てして、というのを48分間行うことができるように準備しています。タイムアウトで何をするか、ィフェンスの目的意識を明確にして、遂行力を高められるようにして、自分たちのことに集中していきますよ。ぜひ勝ちたいですね、毎試合そうですが...。そうしたことを高いレベルで実行できれば、勝つ可能性は高いでしょう。いい試合になりますよ。最近はどこのチームも非常に強いですから、今日も同じ心構えです。最高のパフォーマンスをしないと」
ナースHC自身による英語の回答は以下のような流れだった。
“I think that two teams should be scratching and crawling for a W tonight, right? I expect both teams are really hungry to try to get off their streaks. (It is) expected to be a hard played game again. It’s a…, really really really trying to focus on the Raptors and just get enough to, you know, play each possession defensively with some cohesiveness, hit the open man on offense and play the full 48 minutes. You know execution at the timeouts, defensive scheme execution and all those things and I’m trying to focus in on right now with us. You know, yeah, we’ll try to win the game. We’ll try to win every night we step out there... And I think if we do majority of those things at a high level, then we’ll have a very good chance to win. I think it will be a very good game. I mean I know a lot of teams are tough here lately and we’re expecting the same tonight. We need to put out our best performance out there tonight.”
この日のロケッツ戦でナースHCはディフェンスを重要視している様子であり、かつOGアヌノビーが休養。となれば、コメントの中で特に触れられていないとはいえ、直近2試合に出場がなかった渡邊の登場も期待したくなる。ラプターズにとっては浮上への糸口を見つける重要な一戦にもなりそうだが、その中で渡邊に機会が巡ってくるかにも注目してみたい。

 

日本時間3/23の対ロケッツ戦の重要事項はディフェンスとなりそうなだけに、渡邊の起用を期待したくなる

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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